ノーベル賞受賞 | よっしーのブログ

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浦添市にある「島尻キンザー前クリニック」の院長のブログです。

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皆さんこんにちは!


寒露の季節となり、宮古島にはサシバという渡り鳥が群れで訪れ、秋の気配を運んできております。


今日は大変うれしいニュースについてです。京都大学の山中教授がノーベル賞を受賞されました。おめでとうございます。


再生医療はこれからの夢の治療法です。多くの科学者が挑んでいたテーマにあっと言う間に辿りついたという感じです。まだまだ臨床応用は時間がかかるでしょうが、その日が来るまでもっと勉強しておこうと思いました。


山中先生は実は私と同じ大学(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)に留学されていたようです。私も再生医療の研究を末席でやっておりましたので、今回の受賞は自分のことのように嬉しいものです。私の場合は道半ばにして臨床が恋しくなり戻って参りました。


「糖尿病は治るのか?」という疑問を胸に、アメリカに留学し、私が取り組んだテーマは膵臓の原基(幹)となる細胞がどこにあるのか、と言うものでした。当時は(今でもですが)、胎児幹細胞(ES細胞)の方から研究する人が多く、現に山中先生も最初その方法で研究をされていたようですが、どうも倫理面から臨床応用するのが難しいと思われました。というのも、使う細胞が将来赤ちゃんになる細胞だったからです。動物実験なら良いのでしょうが、臨床応用の段になると難しいと考えるのが医学者の間ではささやかれていました。


私のボス(Michael German)もそう言ったお考えでしたので、ES細胞より大人の細胞から幹細胞を探る方法を模索しておりました。そして次のプロジェクトとして、Sox2という遺伝子を私の次の研究テーマにするように持ち出していました。私はもしこのプロジェクトをやり始めるとおそらくそのまま何年もアメリカに残らなければならないだろうと感じ、話をはぐらかしてとうとう日本に帰ってきたのでした。


今回山中先生のご研究は、4つの遺伝子の組み合わせで皮膚の細胞から何にでも分化できる可能性をもった細胞(iPS細胞)ができたというものですが、我々のボスが注目していたSox2もこの組み合わせに入っているのを聞いて「さもありなん」という思いが半分と、我々ももう少しだったのかも知れない、もしかしたら他にももう少しのところまで行っていた研究者がいたのだろうな、ということなどを思い合わせると、これもまた山中先生の凄さだろうと鳥肌がたちました。


「糖尿病は治るのか?」という質問はこれからどんな患者さんからも聞かれるでしょう。今は難しいかも知れないですが、いつかはもしかしたら膵臓(β細胞かランゲルハンス氏島)の代替えが自分の細胞を使って作れる時代が来るのかも知れません、とお答えできるものと思います。


その日が来るまで、気長に従来通りの治療継続して合併症を来さないようにしていくことが一番です。


では、山中教授にエールを送りましょう。これからも頑張ってください。


Yoshinori