Boy◇Ten

『…ごめん。』

琉伊はただただ「ごめん」と謝り続けていた。


何故,今更謝るのか分からない。
でもそう思うと,同情されてるようで苦しかった。


『…あたしは,好きだった。琉伊のこと。だけど琉伊はあたしの事嫌いでしょ?…それなのに。…謝らないでよ。…もう,話す事なんてないよ。』

あたしはそう言って図書室から出ようとした。

……のに。
あたしはまた,琉伊の腕の中。
いつもそう。
あたしが消えようとするのに,琉伊はそれを引き止めて。

『…離して。』
『じゃあ話聞いて。』
『…何?』

どうせまたごめんとか言うんでしょ?
あたしに同情するんでしょ?
家族関係気にしてるんでしょ?

それなのに。





『好きだ。』





好きだなんて言わないで。
あたしの好きだったその低く甘い声で。
好きだなんて言わないで。
せっかく諦めようとしたのに。

やっぱり琉伊はずるい。
琉伊はやっぱりあたしを引き離さない。

だけど。
やっぱりあたしも好きだから。


『…あたしも好き。』

そう言ったんだ。



狂った時計の針はまた。
規則正しく動き始めた。
Boy◇Nine

傷つくのは怖い。

傷つくなら信じたくない。

それなのに,また期待してしまうのは何故?


それはきっと,あたしがまだ琉伊が好きだから。


『……。』

あたしが図書室に向かうと,琉伊はもうそこにいた。
『…李空。』

琉伊があたしを呼ぶ。
だけどあたしはそれに応えられない。
また,突き放されるんじゃないか怖いから。

『……。』

琉伊があたしに近づいてくる。
あたしはそれに比例して後退りする。

好き。
好き。
大好き。

だけど怖い。
好きなのに怖い。

また邪魔だって。
迷惑だって。
ウザイって。
消えろって言われる気がして。

『……李空,ごめん。』
琉伊はそう言ってあたしを抱き締める。

『……嫌ッ!!!!!』
だけどあたしはそれを拒んだ。
好きなのに,嫌だ。
好きだから,嫌だ。

好きな人に突き放されるのは怖い。
だからあたしは,勝手に壁を作ってしまった。

叶えたい恋は。
見てるだけの恋へと姿を変えた。

『李空,ごめん。俺…李空に凄い悪い事した。』
『…あたし,ショックだった。…琉伊が大好きだった。なのに,突き放されて…怖くなった。…好きなのに怖い。…琉伊が怖いよ。』
あたしは心に闇を抱えていた。

好きだからこそ。
離れたくないからこそ。

あたしの心の闇は大きくなるばかり。
Boy◇Eight
 
『李空,大丈夫?』
『え?何が?』
『だって,琉伊…』
『神山くんが何?あたしには関係なくない?』
 
 
あれから数日。
あたしは笑えてるけど,心からは笑えてない。
 
親友の水(ミナ)はそんなあたしを見て辛そうな顔をするけど,もう終わった事だから。
 
もう,琉伊とは呼ばなくなったあれからあたしは「神山くん」って呼ぶようになった。
 
もう,好きな人でもなければ友達でもない。
友達でもなければ。
 
あたしはただのクラスメイト。
琉伊とは全く無関係の,知り合い程度。
 
 
そんな現実が辛かった。
 
本当に心から好きじゃないとは言えない。
だけどあたしは好きでいちゃいけない。
恋をすること事態許されないから。
 
 
『神山くん,今日の委員会で────』
あたしは今日も神山くんと呼ぶ。
なんとなく。
神山くんと呼ばれた琉伊が切なそうな顔をした気がしたけど,きっと見間違え。あたしを離したのは琉伊だから。
 
『…李空。』
 
だけど琉伊は,完全にはあたしを離してはくれない。琉伊が李空と呼ぶから。
少しだけ。
期待してしまう。
 
 
ねぇ。
その言葉に期待してもいいかな?
また,琉伊って呼んでいいかな?
まだ,好きでいてもいいのかな?
 
 
『…放課後,図書室で待ってる。』
 
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