DVDは、なんのことはない、ツタヤディスカスにあった。

単品利用で借り出した。

レンタル代70円+郵送料300円=370円だった。電車賃より安い。

 

いやぁ、良かったですねぇ。

50余年ぶりのロバート・ミッチャムのフィリップ・マーロウ。

ピタリ、嵌まっている。

 

ひとつだけ残念なことに気がついた。

1975年の製作当時、

評判がもうひとつ盛り上がらなかったのはこの理由か? 

という点を見つけたのだ。

 

原題は『Farewell,My Lovely』で、小説も映画も同じ。

英語は苦手なので、辞書で確認した。

Farewellは「さようなら」。

フェアウェル・パーティ(送別会)とか使う。

 

小説では、犯人のグレイル夫人(=ヴェルマ)は警察に捕まる前に、

ピストル自殺をする。

後日、マーロウと刑事がそのことについて話す場面がある。

  「捕まりたくなかったのだろう」

  「夫のグレイル氏の力で、裁判は無罪にできただろうに」

  「そのために、夫をマスコミのさらし者にしたくなかったのさ」

というような会話が物語の最後にある。

 

では、タイトルの「My 」とは誰なのか?

悪漢ムースか、探偵マーロウか、それとも、夫のグレイル氏か。

いやいや、違うことになるじゃん。

これはヒロイン、ヴェルマなのだ。

ヴェルマが夫に別れを告げた言葉ではないか。

「さようなら、あなた」

 

だからヴェルマは自殺をして終わらなくてはならない。

ところが、映画では、マーロウに撃たれて死んでいる。

 

それは違うだろう…と、大切な処じゃないか、と

チャンドラー・ファンに不評だったに違いない。

 

歳寄りは細かいところに気が回る。

まぁ、いいさ。

 

映画は良かったですよ、繰り返すけどね。