日曜日の競馬中継。12Rが終わり、土日の競馬のすべてが済んだところで
アナウンサーの女性が藤代三郎の死を伝えた。
新聞は読んでいないし、スポーツ新聞も年に数回買う程度。
一番接しているニュースはYahooだが、回転が速く、
目に入ったときに出ているタイトルを読むくらい。
藤代三郎は知る人ぞ知る文化人で、きっと朝日や読売には載っただろうが、
マイナーな訃報だろうと思う。知らなかった。
わしには藪から棒の衝撃だった。
彼は、たまたま今、グリーンチャンネルで
「日本ハズレ馬券委員会」という番組の委員長として活躍していた。
それでグリーンチャンネルとしては収録済み分の放送について、
放送する理由を説明したのだった。
たぶん、一昨日放送分が最後だと思う。
まだ見ていないので見逃し配信をあとで見ようと思う。
わしの歳の前後10年ずつくらいは彼の仲間たちの本に接して
若い頃を過ごした。
椎名誠、沢野ひとし、そして藤代三郎の三人だ。
20代の後半に「本の雑誌社」という出版社を始めて、それで存在を知った。
骨の髄までの競馬ファンで、1990年前後の空前のブームの時に
彼のエッセイで読んだエピソードが忘れられない。
秋の天皇賞の指定席を手に入れる話だ。(当時予約制はない)
だいたい朝7時に並べば大丈夫という。その続きを読んで驚いた。
それは前日の土曜朝7時なのだった。
金曜日に徹夜で仕事を片付けて府中競馬場に向かう。
指定席窓口に陣取ると、まず駅前の川崎屋に食事に行くのだろう。
そこからは本を読んで過ごしたに違いない。
死因は肺がんという。76歳。
冥福を祈る。
