この土日の競馬はそこそこの成績でさわやかな目覚めの月曜日だ。
こういう朝は珍しい。
滅多にないとは言いたくないが、まぁそんなものだ。
以前、ドトールでふと横を見ると、100kgは優にある大男が
スポーツ新聞の競輪欄を広げて熱心に赤ペンを使っている。
まさに一心不乱の集中を見せていた。
その五十男はズボンをルーズにはいていて、夏だったと思うのだが、
背中が開けて真っ赤なパンツを見せていた。
勝負パンツか、とワシは思わずニヤッとした。
真っ赤なパンツは乾坤一擲の勝負に臨む
ギャンブラーの正装である。
ワシも昔は持っていた。
余り効き目を感じなくて止めたので今はない。
ジンクスやゲンかつぎはいろいろ持っている。
競馬場の窓口選びは基本だ。
以前は穴場にオバサンが座っていて発券をしていた。
今でもオールドファンのために少し残っている。
当たったら同じオバサンのところに行く。
外れたら行かない。
今は自動発売機が主流だ。
この場合も同じ。当たる発売機を使う。
また、人気のない発売機はゲンが悪い。
金の溜まっている発売機を狙う。
マークシートもそうだ。
テーブルのケースに15cmくらい積み上げてあるが、
あれを上から取っていてはいけない。
あそこには摘みとる客の指先からこぼれた運気が
下に下に沁み込んでワインの澱のように溜まっている。
底から取るのが正しい。
競馬場で、ケースに積んであるマークシートを持ちあげて
底から取っている老人を見かけたら、
それはワシだ。
こんなことは誰もやっていない。