格安スマホに乗り換えた。
と言っても、このジャンルはわしにとっては未知のジャングルで、
どんな靴を履けばいいのかから分からない。
まさかハイヒールではダメだろう、
そもそもそんな靴は履いたこともないが、
その程度のレベルなのだ。
けれども、毎月何もしないのに、一万なんぼか、
ドコモに払っている日常に不満はあった。
すると友人が格安スマホに替えたといって電話を掛けて来た。
何だかすごく嬉しそうなのだ。
電話と、競馬場の入場券の購入と、Lineとメールができれば
それ以上何もいらないので、徹底して安くしたという。
(但し、ヤツもレベルはわしと大差ないはずだ)
毎月何千円か安くなるのは大きい。
何処に行ってどうしたのかを聞いて、さっそく行ってみた。
このジャンルに強い人は徹底して安くできるようだが、
それは何ごとにも共通の原則。
門外漢が多くを望んではいけない。
巨大なモールの片隅にあったカウンターで、
若いお兄さんとお姉さん、総勢3人でかまってくれた。
高校生から見れば、すべておじさんとおばさんだろうが、
わしから見ればピチピチの宇宙人である。
4時間もかかった。
わしは何もしていない。目の前で彼女たちが
古いスマホと新しいスマホをいじる。
ただそれだけで疲労困憊した。
電車で遠征したので、帰り時間は駅前が酔客でごった返していた。
どいつもこいつも満面の笑顔で今日を楽しんでいる。
あぁいいよ。君たちが頑張っているから後期高齢者も安心して
明日を楽しめる。
新しいスマホはひと回り大きくなり、ピカピカで、
液晶は夢のように美しい。
あいつはこれを見たんだな。
電話を掛ける。testだ。
「もしもし。おれも行ったよ」


