このお話イスとお話テーブル、もう作ってから半世紀、およそ50年ほども経過しています。
1970年というと、東京オリンピック(前々回の)の6〜7年後、今とは全く違う時代です。
普通、 木の家具だったとしても、50年も経てばかなり劣化してしまっている頃。
しかし作りの良いものはまだまだ保ちます。
ヨーロッパのアンティーク家具なんかがそうですよね。
このテーブルと椅子は、おおよそ2歳から3歳くらいの子どもの体格にフィットするようにデザインしました。
可愛らしいサイズですが、ずっしりと重たく重量感があるんです。
カツラの木は広葉樹の中では大変軽い木材になりますが、それでも無垢で作ると重たくなります。
木って、重たいんだな。
と改めて発見したような気がするほどです。
シンプルで無駄のないデザインは美しいです。
なるべくシンプルに設計するのは、少しでも職人さんの負担を軽くするためでもあるんです。
このお話テーブルには、両サイドに刻印があります。
多分、最初に焼印したのがうまくいかず、反対側に押し直したのだと思います。
今は電気ゴテの焼印でムラが出にくいのですが、昔は文字どおり「焼いて」押していました。
古い手書きの書体とともに、時代を感じさせますね。
でも、このレトロな刻印は味わいがあります。
写真の男の子は、もう10歳くらいの年齢で、しかも大柄ですが小さい頃から使っているこのイスとテーブルが大のお気に入りで、もう窮屈なのにもかかわらず好きなイラストを描くときなど未だに愛用しているそうです。
小さな頃にもらったイスやテーブルは、その子にとってのファーストファニチャーなので、とりわけ愛着が湧くようですね。
また、子どもは本能的に「良いもの」を見分ける力を持っています。
うちのおもちゃだけは捨てないで取っておいて。
と子どもに言われるという話をよく聞きます。
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