『千家尊福と出雲信仰』 ちくま新書

今回読了したのが、表題の新書になります。実は読了したのは2~3週間ほど前なのですが、個人的に勉強する期間を設けていたため更新ができませんでした。
この新書の目次は以下の通り。
1 出雲国造の世界―近世までの大社信仰(出雲国造
列島各地にある出雲国造ゆかりの神社
中世近世の出雲信仰と大社の御師
幕末の出雲歌壇と教学)
2 卓越した指導力をもつ生き神(明治宗教界の若き泰斗
祭神論争―伊勢派との対立
大社信仰の確立へ―殉教する生き神)
3 政治の世界へ(政への回帰―埼玉・静岡県知事としての功績
政財界の重鎮へ―東京府知事・司法大臣・東京鉄道社長として)
4 尊福が遺したもの―晩年の巡教と後継者たち(生涯にわたる巡教
受け継ぐ人たち)
大学で江戸末期から明治に誕生した教派神道(天理教、金光教、扶桑教など)と呼ばれた神道系の新宗教を学ぶ機会があったので、そのうちの一つである「出雲大社教」を立ち上げた千家尊福のことをより知ることのできる本だと考え、読み始めました。
1部では明治以前の出雲大社や出雲信仰についての歴史的概略で、まぁここがわかっていないとこの後の内容が追えなくなるという前提となる部分でした。そこでは、埼玉や静岡、新潟などに出雲信仰が広く伝わっていたことが示されています。
2部からが尊福の活躍の場面となり、各地に根付いていた出雲信仰の繋がりが尊福の宗教的・政治的背景の強さであることが述べられています。また、実力や信念はあったものの政争や政治的判断によって無念な結果となる祭神論争などに波及していきます。
基本的には尊福のすごさをアピールことに終始しているような印象でした。おそらく、情報源が出雲大社・出雲大社教など尊福に崇敬の念を抱く関係各所であったために、そのようなある種の偏りが生まれているように思われます。
そのため、読む際には多少差し引いて読む必要があるものだなと感じました。しかし、一般の読者にはなかなかそれは難しい部分もあるので、なかなか厳しい一冊かもしれません。