第5話


朝から太陽が照りつけてくる、当日。

8時59分。

三人は、会場の入り口前に立っていた。

黒羽は時計を確認する。

「なんでいちいち時間ぴったしに来なくちゃいけないんだよ」

と、すねた口調で言い、「あ、あと30秒ぐらい」と付け足す。

風梨は眼鏡をかけ、書類を片手にガムをかんでいる。

「・・・・・・・・」

警部は頭を垂れ、小刻みに震えている。

9時まで残り3秒。

2秒。

1びょ・・・

「・・・二人とも・・・」

警部が青い顔で二人にいう。

「「なんだよっ??」

ドアはもう開いている。

「じ、実は・・・その、便所行きたい・・・」

「「ああ!???」」

「き、緊張して・・・」

「「無理に決まってんだろーが!」」

「あ・・・で、で・・・」

「「汚いから行ってこいっ!」」

警部はよろよろとした足取りでトイレへ向かう。

場所はドアからすぐ近く。

「あ、あのときの警部さんですね」

入ろうとする警部に声がかかる。

振り向くと、あのひょうきんな男性に稲原と呼ばれていた女性がいた。

「にゃ、にゃんでしゅか・・・???」

警部は限界っぽく、稲原を見ながら、トイレの方へ足が少しずつ動いている。

「あの、トイレ入るとき、気を付けた方がいいと思いますよ・・・。昔、一番奥のトイレで自殺した人がいまして・・・、一番奥は入らない方がいいです・・・」

「えええええええええ!???」

「では」

驚く警部をよそに、稲原は颯爽とさっていった。

警部は捨てられた子犬のような目で風梨と黒羽を見る。

「あの、トイレのドアの前で待ってて・・・」

「「誰が待つか!ってかもう9時過ぎてんじゃねえか!」」

そうしたら、やっと警部は入っていった。

5分後。

10分後。

「「長えよ!!!!」」



続く