2/21(水) 7:03
新NISA制度がスタートし、アメリカ株のインデックスファンドに人気が集まっている。だが、その投資スタイルにも死角はある。経済アナリストの森永卓郎氏と東京大学大学院教授の鈴木宣弘氏の対談書『国民は知らない「食料危機」と「不適切な関係』から一部を抜粋・再編集してお届けする。
連載第2回前編
「暗黒の木曜日」で株価は10分の1に
1929年の10月24日、ニューヨーク株式取引所で空前の大暴落が発生しました。いわゆる「暗黒の木曜日」です。
ただ、株価の下落はその後も続き、底値に達したのは1932年の7月です。3年弱でダウ平均株価は約10分の1になった。
「それは昔の話。いまそんなことが起こるわけない」と金融業界の人たちは言いますが、果たしてそうでしょうか。
つい数年前まで、メディアは「これからはBRICsの時代だ」と宣伝していました。BRICsとはブラジル・ロシア・インド・チャイナ・サウスアフリカの頭文字ですが、その話に乗ってロシアファンドを買った人がたくさんいました。
いまどうなったでしょうか。ウクライナ戦争の影響で10分の1に値下がりしてしまいました。投資の世界ではこういうことも十分あり得るんです。
一生懸命貯蓄したお金が10分の1になったら大変です。
鈴木宣弘(以下、鈴木) これまで収奪的に儲けてきた人たちが、次のバブル崩壊で痛手をこうむるということですか。
森永 エコノミストもそうですけど、体制に従っていた人って、構造転換の時期には弱いんです。いままでの流れでしか物事を見ていないから。
でも一歩引いて見ると、世界経済が追い詰められているのは間違いないわけです。なのにどうして気づかないんだろうと思いますが。
バブルはいずれはじける
森永 たしかにこれまでは投資をやっていれば儲かりました。厚切りジェイソンさんの『ジェイソン流お金の増やし方』という本が2022年の経済書ベストセラーでしたが、私は2回か3回くらい彼と話したことがあるんです。
アメリカ株全体を買うインデックスファンドがあるんですが、余ったお金はすべてそれに投資すべきと言っていました。それでも平均で年6%ものリターンがあると。
私は、いずれバブルがはじけますよと言ったんですが、彼は、「いいじゃないですか。下がったら、同じお金でもっとたくさん株を買えるチャンスです。バブルがはじける心配ばかりしていると、いつまで経っても株を買えませんよ」と。
ただ、安いときに買って高いときに売るのは投資の大原則です。だからいまのバカ高い相場には手を出せないと思います。
とくにそう思うのは不動産。東京23区の新築マンション価格はいまや平均で約1億3000万、首都圏全体でも約9000万です。男性の生涯賃金が2億2000万、女性が1億6000万ですから、1億3000万のマンションなんて買えるはずがない。この異常さに気づかないのは、単に感覚が麻痺しているだけだと思います。
みんな感覚が麻痺している
森永 農業、食についてもみんな感覚が麻痺しているんですよ。38%という食料自給率は、先進国の水準と比べると異常な数字と言わざるを得ません。
冷静に考えれば、たとえばキュウリが全部まっすぐで、虫もいなくて、プレーンな味がすること自体がおかしいんです。それをおかしいと思わないのは感覚が麻痺している証拠なんですよ。
鈴木 日本はもともと、飼料穀物の輸入が非常に多いので、それが38%という低い自給率に反映されている。ただ、化学肥料についてもほぼ100%が輸入だということは考慮されていない。
もし肥料の輸入が止まれば、「まっすぐなキュウリ」の生産は止まってしまうでしょう。
ほか、野菜の種の九割は海外の畑で種取りしたもの、要するに輸入しているんです。また、米の種は現状輸入していませんが、将来的に輸入に切り替えられる可能性はある。もし米の種まで止まってしまうと仮定すると、日本の真の自給率はカロリーベースで9.2%に下がる。37%どころの騒ぎじゃないんですよ。
有事には食料輸入だけではなく、肥料など生産資材の輸入も止まる。その対策が必要なのは明白なんですよ。マイクロ農業のように、自然の摂理にあった、持続可能な農業の仕組みを模索しなければならない。
森永 有事で農薬や化学肥料の輸入が止まった場合、ふだん使っている農家でも、無農薬でやれないことはないんです。農地さえあればね。ただ、効率はドンと落ちてしまう。そうすると生産量ががくっと落ちるから、やっぱり都会の人に食料は回らない。いま、「勝ち組」と言わんばかりにキラキラした暮らしを謳歌している都会人は、みな飢え死にするんですよ。
一方、都会の人たちが内心ちょっと格下に見ている農民は生き残る。
鈴木 そのことを理解していませんよね、いま。
森永 そうですね。ただ、そのときになれば社会はきっと大転換をはじめるでしょう。やっぱりこれまでの資本主義のあり方、都会の金持ちの暮らしや考え方は間違いだったんだと。
後編記事『必ず上がると信じて「FIRE」を目指した人の末路…森永卓郎が勧める「バブル崩壊に強い資産」が「農地」である「納得の理由」』へ続く
2/22(木) 7:03
連載第2回後編
前回記事『近い将来「キラキラした勝ち組」はみな飢え死にする…軽視されていた「農民」たちが生き残ると断言できる理由』
暴落で焼かれて丸焦げになってしまう
森永 いま「FIRE(ファイア)」という、早期引退して、投資のリターンで左うちわで暮らすのを目指す若者が増えているんですが、私はずっと呆れているんですよ。お前らいい加減にせえよと。
だってこれからエブリシング・バブルが崩壊するんですよ。投資のリターンで左うちわどころか、資産が10分の1になるかもしれないのに、よくFIREなんて目指すよなと。それこそ暴落で焼かれて丸焦げになってしまう。そういう意味のFIREならまだわかりますが(笑)。
鈴木 いまはバブル経済が崩壊する寸前ということですよね。その後は森永先生が実践されているような、より農業を重視する社会に変わってくるでしょう。持続可能で豊かな生き方をしていかないと、地球環境も資本主義ももう持たない。
森永 バブルが崩壊すると、世界からお金が消えてしまう。だから資産をお金として持っている人は危ない。経済評論家の三橋貴明さんは、講演会で「いま、何に投資をしたらいいですか?」と聞かれ、「農地」と答えたそうです。
実際、彼は長野県の飯田市に土地を買って、将来はそこで農業をはじめるそうです。
よく農業委員会を通りましたねと言ったら、農地として買ったわけじゃないので大丈夫なんだそうです。彼はたくさんお金を持っているから買えるんです。
投資商品を買うより、農地を持っているほうが安全です。飢え死にしませんからね。
政府はNISAを拡充して「貯蓄から投資へ」と言っていますが、それに安易に乗っかるとひどい目に遭うと思います。
鈴木 宣弘(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)/森永 卓郎(経済アナリスト)
田舎なら1000万円で買える
森永 田舎に行くと、家と畑と山がセットで1000万円以下くらいで買えるんですよ。山なしだと、100坪ぐらいの家が500万円しない価格で売りに出ている。
だから住宅ローンを組む必要さえないんですよ。真面目に貯金すれば、500万ぐらいは貯められるでしょう。
先述した三橋さんの言う「農地を買え」という投資法も、それなりに正しいんじゃないかと思います。
うちは農地を持っておらず、借りています。一応買おうとしたんですが、本物の農地は農業委員会の壁があって買えなかったんです。
ただこの前、長崎在住の女性から、「やる気になれば買えるのよ」と教えてもらいましたけど。「農業委員会にダメって言われても、乗り込みなさい」と(笑)。その人はそうやって農地を買ったそうなんです。
「マイクロ農業」に広い畑はいらない。先に触れたように日当たりが良ければ30坪もあれば十分。だからわざわざ農地を買う必要もない。しかもうちの近所だと1500万円もあれば住宅地を買えるんです。
鈴木 三橋さんは、「鈴木さんのお話を聞いて、自分でもやろうと思った」とおっしゃってました。
森永 じゃあ、三橋さんに指南したのは鈴木先生だったんですね(笑)。
引用は此処まで。
投資商品を買うより、農地を持っているほうが安全です。飢え死にしませんからね。
その通りでしょうね。
政府はNISAを拡充して「貯蓄から投資へ」と言っていますが、それに安易に乗っかるとひどい目に遭うと思います。
これもまさに・・・。
絶対に騙されてはいけませんよ?
あの政府が私たちに推進していることなんですから。
38%という食料自給率は、先進国の水準と比べると異常な数字と言わざるを得ません。
日本はもともと、飼料穀物の輸入が非常に多いので、それが38%という低い自給率に反映されている。ただ、化学肥料についてもほぼ100%が輸入だということは考慮されていない。
もし肥料の輸入が止まれば、「まっすぐなキュウリ」の生産は止まってしまうでしょう。
ほか、野菜の種の九割は海外の畑で種取りしたもの、要するに輸入しているんです。また、米の種は現状輸入していませんが、将来的に輸入に切り替えられる可能性はある。もし米の種まで止まってしまうと仮定すると、日本の真の自給率はカロリーベースで9.2%に下がる。37%どころの騒ぎじゃないんですよ。
ですよね。
有事には食料輸入だけではなく、肥料など生産資材の輸入も止まる。その対策が必要なのは明白なんですよ。マイクロ農業のように、自然の摂理にあった、持続可能な農業の仕組みを模索しなければならない。
しかし日本政府は日本国の農業に対して本当に冷酷で。
酪農なんかも、そうだけど。
これは民主党政権の時も、そうだった。
自給自足。
これは人間が生きて行くうえで一番、大事なことだと思う。
それなのに戦後の日本政府は世界に金をバラまき、
食べ物は輸入に頼るばかりで。
車とかの日本からの輸出品を受け入れて欲しいからなのかな。
ササっと調べたところでは日本国は、
農産物の輸入額は一番多いのが米国で、
二番目に多いのがシナみたい。