朝からバーフバリを観に行った。2作ぶっ通しで観たのでだいたい5時間くらい新文芸坐の椅子に座っていることとなり、お尻が痛くなってしまった。


バーフバリは圧倒的ヒーローの英雄譚であり壮大な復讐劇なのだが、敵を殺してHappy Endなので、観終わるころには「やはり暴力はすべてを解決する…!」という歪んだ倫理観が育まれる。ここのところちょっと疲れ気味でしぼんでいた闘争心が掻き立てられ、お尻を犠牲にしても観てよかったと思った。


名画座には観客の結託感のようなものがある。これだけいろんな映画や動画がうまれているなか、あえて過去の作品をお金を払って観ようとするのは、奇特な人間の部類に入るのかもしれず、そういうひとが集まった空間なので全員とてもマナーがいい。いい映画を観たあとに自然と拍手が起こるのも、映画に対するリスペクトを感じてじんとする。



映画館を出て、かなさんの個展に行った。東大の近くのしずかなカフェにたくさんの短歌が貼り付けられていて、かなさんの沸きあがったイメージで描いた絵も1枚飾られていて、かなさんがふとんのなかにごろんと寝ていて、個展とは関係なしにカフェに寄ったであろうマダムたちがドリンクを飲みながらおしゃべりをしていて、だれもがなににもしばられない空間が心地よかった。


コピー用紙にプリントされた短歌とサインペンでイラスト(あるいは線だったり点だったり)がラフに書かれていて、それをマスキングテープで壁にぺたっと貼っていて、なんとなくその気の抜けた感じもすきだった。短歌ってこう、かしこまらずに楽しむものだよね(いや、べつにかしこまってもいい、それすらも自由なんだけど)、と思う。


短歌もユーモラスだったり、はっとしたり、すきな歌をいくつも見つけた。引用していいかわからないので伏せますが、今日の気分でいえばわたしはじゃんけんの歌がすきです。


かなさんも展示の一部(?)なので話しかけるのは粋じゃないなと思いつつも、展示なのでカメラを向けてみたら、自然と話す流れになって、いつもどおりおしゃべりをした。

歌集を出してから会ったこともあるのにずっとサインをもらいそびれていたので、サインを入れてもらった。雨の日も持ち歩いていたせいで本がすこしひしゃげてしまって、これを作者に渡すのはすこし申し訳なかった。



個展を出て、西荻窪のtypicaへ行った。わたしが電車を間違えたり電車が遅れたりしてラストオーダーの時間をすぎてしまったのだが、先に入っていた大貝ねえさんがわたしのぶんもパフェを注文してくれていたので無事にパフェにありつくことができた。(補足すると、ねえさんも一緒にかなさんの個展に行く予定だったのだが、いろいろあって時間に間に合わず、パフェ屋さん集合になったという経緯があります)


typicaのいまのラインナップはどれも食べ逃したくなくって、結局前菜のパフェと旬のパフェと季節のパフェの3種をいただいてしまった。

さつまいもを使った旬のパフェは、こっくりとした甘みとごぼうの土くささが豊かで、豊穣の秋を思わせるおいしさだった。

一方、ウイキョウと和梨のパフェは、梨のみずみずしさとウイキョウの生き生きとしたさわやかな香りで、なんとなく透き通った夏のイメージ。

毎年楽しみな無花果のパフェは、いちじくを中心にお豆腐とか味噌とか揚げドーナツとか、素朴な素材が使われていて、なんとなく残暑の夕暮れどきを思わせる構成だった。このあたりはたぶん去年と変わっていないはずなんだけど、今年はきゅんとすっぱいプラムや、シロップ漬けのナタデココが入っていて、切ないけどなんとなく心踊るような、そんなパフェだったなと思う。


ともかく、今回のパフェにも感動した。ねえさんと「ここでしか食べられないパフェだね」ということを話したり、ねえさんが過去に食べたパフェのカードを広げはじめてデュエリストみたいになってたり、ナタデココの作り方を聞いて「なんでナタデココは日本で作れないんだろうね」と話したりと、ゆっくりと過ごさせてもらったので、丁重にお礼を言って(店員さんたちにも丁重に見送っていただいて)お店をあとにした。



ねえさんがもう一軒すてきなパフェ屋さんがあるというので、予約をとっていただき、誘われるがままに歌舞伎町のパフェ屋へとむかった。60分ごとの入れ替え制なので、コンビニの新商品をアレコレ見たりして時間をつぶした。ねえさんが「昨日来たとき、外に立っていたら男のひとに声をかけられた」というので最近の大久保公園事情を話した。ほんとに気をつけてほしい。


ロイトシロに来たのは青唐辛子とココナッツのパフェが目当てで、実際にそれは期待を超えてくるおいしさだった。グリーンカレー味のアイスが鮮烈で、グラスの中の海老やパクチーともよく合った。かといってしょっぱすぎるわけではなく、ココナッツや桃やパンナコッタと調和して、ちゃんとおいしい一杯のパフェだった。

さらにラムレーズンのパフェも食べてみたかったので、ねえさんに半分こしてもらう提案をいただき、ふたりでわけわけして食べた。ラムの香りが濃厚なラムレーズンアイスに、ゴルゴンゾーラのクッキーサンド、濃くなりすぎないようにナガノパープルとゼリーが敷き詰められていて、これも絶妙なバランスだった。わたしは甘いもの耐性が低いので、最後がフルーツやさっぱりした味で終わるパフェがすき。

ロイトシロは深夜まで営業しているので(深夜にパフェを食べる罪を許せるのなら)気軽にいくことができそうだ。またよきパフェ屋さんを知ってしまった。


いくらこってり甘い系のパフェでないとはいえ、甘党でないわたしにとって4.5パフェは致死量なので、帰りにジムに寄りたかったのだが最寄りのジムが改装工事中のため、1時間くらいのウォーキングののち銭湯で汗を流して帰った。


なんだか刺激の多い一日だったと思う。


おつぎはかなさんです。個展おつかれさまでした!