朝起きたら友人からわずかに関係性を揺るがすようなLINEがきていた。その返信を考えつつ、流れで自分の人生についても考えていたらBADに入ってしまって、つまりはまたゴロゴロして午前中を終えてしまった。


重い腰をあげて、電車に乗る。パートナーの仕事が終わらないとかで、今日の予定がなくなってしまったので、ひとりでデ・キリコ展を見にいくことにした。


その前に日暮里で降りて、馬賊冷やし中華を食べる。冷やし中華が大人気で、慣れた人は「バゾヒヤ」と注文している。

馬賊のもちもち手打ち麺がきゅっと冷たく締められて弾力を増しており、たしかにこれはおいしいものだと思った。麺も具ももりもりだが、ワシワシと一心不乱に食べた。

​馬賊冷やし中華


歩いて東京都美術館へいく。途中、谷中霊園を通る。谷中霊園は真っ平でひらけていて、お墓なのに気持ちがいい道だなといつも思う。


デ・キリコ展は作品数も多く、そのすべてがデ・キリコの作品で構成されていて、見ごたえがあった。構図やモチーフに違和感のある絵画や彫刻が、もやもやとしたいまの自分の気持ちに合っていて、今日観にきてよかったと思った。


美術館に入ってすぐに、友人のRくんから「いまから飲もうよ」という連絡がきた。彼と連絡を取るのは5年ぶりくらいな気がする。彼が日本にきていたことも知らなかったので心底おどろいた。

美術館に入っちゃったからすぐには行けないよ、と言うと、偶然にもRくんも上野のべつの美術館にいるということで、お互い展示を見終わってから合流することになった。


Rくんは彼が日本に留学しているときに知り合った飲み友達だ。彼が母国に帰って起業してからはまったく連絡を取っておらず、ときどきSNSで動向を知るのみだ。


日暮里の立ち飲み屋でRくんと合流する。あまり変わっておらず、元気そうだ。

ハイボールやレモンサワーを飲みながら、あれこれ近況を話し合った。彼の事業はすこぶる好調だそうで、ひとりではじめた会社もいまや複数名の社員を抱え、日本支社を立ち上げるまでになっていた。しかしその最中で白血病をわずらい、一時は入院生活を送っていたものの、いまとなってはそこから完全な復帰を遂げている、とのことだった。ドラマか?


Rくんは音楽関係の仕事をしているので、会うと異国のしらないバンドを教えてくれて、大変ありがたい。そのほか映画の話や今日それぞれが見た展示の話などをした。Rくんは仕事柄、めちゃくちゃに友達が多いので、てっきり忘れられているものかと思っていたのだが「ひなちゃんとはこういう話ができるから」といって存在を覚えていてくれたことがうれしい。


そこから電車に乗って彼の行きつけの立ち飲み屋に行き、Rくんの彼女も合流して3人で飲んだ。国境をこえた遠距離恋愛は大変そうだが、彼女もいい方なのでがんばって乗り越えてほしい。


いくら体調がよくなったとはいえ、いまだ週1で点滴を打っている白血病患者が、長時間立ちっぱなしで、わたしよりも早いペースで酒を飲んでいていいのかはわからないが、ごきげんで彼は電車に乗ってホテルへと帰っていった。


わたしは美術館帰りにジムと銭湯にいくつもりで体操服などを持ってきていたのだが、もうどちらもいけないほど酔ってしまったのでそれは諦めて、すこし長い散歩をして、途中の公園でブランコをこぎ、今朝ラインを送ってきた友人と電話ですこし話して、すっきりして家に帰った。彼もわたしのよき友人だが、男女の友人関係は維持するのがすこし難しいときがある。


おつぎはかなさんです。