5)数量積算の実際 | 木の家散歩

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木の家の設計監理経験豊かな建築家・山中文彦と木材産地、職人技術者のネットワークにより、夢の木の家を造る「木の家づくりネットワーク」のブログです。自然素材を活用し、家族と環境に優しい、本物の木の家をCM型施工管理システムによるリーズナブルコストで実現します。

実際に数量を積算することは地道な作業です。


他社が作成した図面を読み取ってそこに記載された情報の正否も含めて確認しながら算定する作業は決して楽しいといえるものではありません。


まさに、”仕事”として割り切って考えてコツコツと行う仕事で、ひらめきとかアイデアといわれるような創造的な業務ではありません。


したがって、設計をがんばってやっている設計士にとってはあまり魅かれる内容ではないものですから適当に考えがちでもあります。


しかし、自身が設計した建築物がどのような材料と内容で出来上がっていくか、どのようなものが集まって出来上がっていくかを確認しないで完成を見ることは、決して自身の仕事を分かっていると言うことではありません。


それどころか、積算や見積、価格から現実の物づくり、木の家づくりを見直すことはとても重要なことであるとやってみて気がつくものです。


特に、設計のディテールや施工との関連、近代建築によって分けられてしまった設計と積算、施工が一つにつながるのが積算でもあります。


図面を積算分野の工事別にプリントして、そこに色鉛筆やマーカーで確認しながら数量と仕様を確認して、場合によってはCADで数量を拾いながら、設計の甘さを思い知らされることがしばしばです。



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これはA3版の図面のコピーをその上から色鉛筆などで確認しながら建材や材料をひとつひとつ拾い出していった資料です。


このような資料から工事ごとの積算データをまとめて数量を算定し、適正な単価を掛けることで工事金額が算定されます。


材料と単価が分かれているものは材工分離で積算できますが、ガス工事や床暖房などの近年に工事職種として出来てきた工事の見積は材工複合単価になり、かつ図面から見積を依頼することになります。


しかし、ほとんどの職種は材工分離で見積もることができますので、お金の使い方がよく分かります。



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このような資料が一冊のファイルにまとめられると一抱えもあるファイルになります。


この資料を建築主さんにお見せしながら見積のご説明をしますので、するほうも、聞いていただく方も大変です。


これが説明責任です。


しかし何よりもご用命を受け賜って、その使命に責任と倫理観をを持って業務に徹する意識がなければ、信頼関係は確立できません。


先頃の耐震偽装はほんの一例に過ぎず、こうした積算、見積においても、その真偽が問われています。


その上で、それぞれの職種と資格者が更なる努力を重ねることで、より一層の発展があることと思われます。


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