こんにちは。きのひです。

「猫見酒」 風野 真知雄 著 を読みました。

2018年6月15日 初刷











町内の呑(の)ン兵衛たちが互いの家に集まって、しょっちゅう飲み会をおこなっている。

いずれも一升は軽いというくらいの並外れた酒豪です。











今日は左官の馬次(うまじ)の家が当番になっている。

「そろそろ始めたいけど、遅いな、ほかのやつらは?」











「三吉(さんきち)は朝方会ったとき、今日は仕事先で打ち上げがあるので、こっちには来られないと言ってたぜ」と、大工の熊吉。

「松五郎(まつごろう)と長太(ちょうた)はたぶん遅くなるぜ。こんな天気のいいときは、駕籠(かご)も遠くまで行ったりするからな」 表通りの油問屋で手代をしている清七(せいしち)が言いました。












「だから、馬よ、今日は三人で飲もうや」

「そうしよう」












「でもよぉ、三人で飲むならちょっと乙な酒盛りをしたいよな」 馬次が茶碗(ちゃわん)に酒を注(つ)ぎながら言った。

「乙なって、どんなやつだい?」 清七が訊(き)きます。











「ほら、雪見酒とか、月見酒なんてのがあるだろ」

「にゃあお」











「なんだよ?」 と馬次が熊吉に言いました。

「なにも言ってねえよ」











「にゃあお」また声がして小さな黒い猫が庭の植木の陰から現れました。

混じり毛のない黒猫で、毛並みがいい艶(つや)をしている。











薄汚れていないので野良猫ではない。首に鈴もついています。

生後半年くらいだろうか、どことなく頼りない感じがする。











「そうだ。猫を見ながら飲むことにしよう。猫見酒だ」 馬次が提案しました。

「猫見酒か」「面白(おもしれ)えや」 皆で月明かりの縁側に出た。











「名前はなんて言うのかな」

「たどんじゃねえか」











「なんで?」

「黒いから」












くだらないことを言い合っているうち黒猫はゆっくり立ち上がり、表のほうに向かって庭を横切っていきます。

「お、行っちゃうよ」











「そうか、猫というのは桜や月と違って場所が動いていくってえのを忘れてた」

「しょうがねえよ。始めたんだから、このままつづけようぜ」











三人はぞろぞろと黒猫のあとをついていきます。

大川にかかった永代(えいたい)橋を渡った。




黄色くて、うまそうな月が皓々(こうこう)と輝いている。











渡り切ったところで馬次が右手を指差した。

「あんな川っ縁で猫が集まりを開いてるよ」











「満月の夜だから、特別な集まりなんじゃないか」

「おや、あの黒猫が混ざっちまったよ。仲間なのかね」











猫の宴会。

みるとあの黒猫がこっちを見て手招きしているように見えます。











「ほらほら馬さん、行ってあげなさい」

「酒はたっぷりあるだろう」











「ほら、酒と茶碗。スルメも持ってけ」

「駄目ですよ。猫はスルメを食うと腰を抜かすから」













猫がスルメを食べると腰を抜かす・・

猫ちゃんはスルメを食べないほうがいいってことでしょうか。











アイペット損害保険株式会社さんに「猫がイカを食べても大丈夫?腰を抜かすって本当?」との記事がありました。

最終更新日は2023.4.27











「『猫がイカを食べると腰を抜かす』と言われるのにはちゃんと理由があるようです」

生イカの内臓に含まれる『チアミナーゼ』という酵素は猫の体内のビタミンB1を壊してしまう。











ビタミンB1欠乏症になると、よだれが多くなる、食欲低下、ふらついて歩けなくなるといった症状が現れます。

「この状態を見て『猫が腰を抜かす』と言われてきたと考えられる」











ただ、こうした症状はイカを長期間、大量に与えると見られるもの。

「もし猫がイカをひと口食べた程度なら、慌てて病院に駆け込む心配はありません」











そして生のイカを乾燥して作られたスルメは消化が悪く、胃の水分で膨れて胃腸に詰まる危険も。

「猫にねだられても与えないでください」



「アタリメ、さきいかなども匂いにつられて猫が口にしないよう注意が必要です」











PECO編集部さん2021.9.4更新の記事によると「スルメによる塩分の過剰摂取」について危険性が指摘されていました。

「商品によって多少の誤差があるものの、スルメには一般的に100gあたり2g程度の食塩が含まれています」











そのため長期に渡って食べ続けると、高血圧や心臓病といった、人間でいう成人病の原因になる可能性がある。

「スルメに限らず、人間用の食べ物は猫にとっては塩分が強すぎるので、過剰に与えるのは危険です」











2023.3.23更新の記事には「猫に牛乳を与えることは厳禁ですが、チーズは?」と。

牛乳、厳禁なんですね。











牛乳にはラクトース(乳糖)という成分が含まれています。

このラクトースを分解するための酵素が猫の体内には少ないために消化不良を起こし下痢になってしまうことが多い。











ラクトースは乳製品であるチーズにも含まれています。

牛乳に比べて微々たる量といわれていますが、積極的にチーズを与えることはあまりおすすめではない。











「猫用チーズ」であれば副食として与えても問題はありません。

人間用のチーズでは「唯一、カッテージチーズは塩分や脂質が少ないので基本的には問題ないでしょう」











ただ愛猫が気に入っても過剰に与えると猫用チーズでも害になってしまう。

大切なことは「飼い主が正しい知識を持っていなければならないということ」











ちなみにアイペット損害保険株式会社さんによるとチアミナーゼはイカ以外に、ハマグリなどの二枚貝やタコにも含まれている。

「食べさせないよう気をつけましょう」











ネコちゃん・・・

美味しいものって身体にいいものとはかぎらないんだよね・・・