読書記録です。


「雷神」道尾秀介  新潮社







小料理屋を営む店主の藤原幸人。
シングルファザーで
大学生の一人娘夕見と二人暮らし。

夕見が4歳の時に妻悦子が不慮の事故で
亡くなっているのだが、
過酷な真実を娘には伏せたままに…。

ある日、幸人に「娘に真実をバラす」
と金無心する脅迫電話がかかってくる。

何も知らない夕見は
大学写真学科の課題提出の
撮影場所を父親の故郷にしたい、と
幸人と伯母の亜沙実の三人で
雷電神社のある村を訪れる。

幸人と亜沙実の姉弟にとっては
30年ぶりの故郷。

そこで31年前の母親の不審死、
30年前の祭りで起きた毒殺事件、
犯人に仕立てあげられた父親、
村を離れた幸人一家…
そんな悪夢を呼び起こしたような
不穏な雰囲気に包まれた村は…。


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久しぶりに読む道尾秀介さんの長編です。
タイトルを見た時に「龍神の雨」を
懐かしく思い出して…。
確か龍神はきょうだいの物語でした。
本作は姉弟と親子二代の物語です。


「雷神」
謎も盛りだくさんで…
なかなか真実に辿り着かない。
久々に長かった〜笑い泣き

ミスリードがそこここにあって、
ヒントなのかな?
ひっかかってはいけないのかな…?
と文学の楽しみはちょっと横に置いて、
「ミステリーの謎解きを愉しむ♪」
そんな読書時間になりました。


主人公が
フクジュソウとフキノトウを間違えて
台所に置いて注意される、とか
危ないキノコを見つけて横取りされる、
とか、所々記憶が消えてる可能性…とか
南人と幸人の漢字の引っ掛かり…とか
文字トリックは人名じゃなかったのか!
とか。


きっとこの小説を読んだ方々は
同じ所で同じように
「ん?ここは…キョロキョロ」と
頭に付箋つけるみたいに
読み進めたのかなぁと
ミステリーファンの皆さまに
思いを馳せました。

「雷神」というタイトルどおり、
人の罪のみならず
その罪に神の采配をまとわせたような
作品でした。


姉の亜沙実さんという人が
とても興味のある人物で
この小説の中では、
善き人の間の悪さ、
悪夢の枷を負わされるような
気の毒な女性なのですが、

描き様によっては
無自覚なサイコパスにも見えて
私はちょっと怖いなぁと思いました。