読書記録です。
「彼女が最後に見たものは」まさきとしか
クリスマスイブの夜。
新宿の空きビルで50代と思われる
ホームレスの女性の遺体が見つかる。
飛び降りたのか、殺されたのか。
一方で千葉県では
自宅近くの公園で公務員の男性が
殺害されて1年半たった今も
未解決になっている事件があった。
その現場から採取された指紋が
新宿空きビルの女性と一致したのである。
二人は
生活保護申請をした女性と
面談の対応をした公務員で、
面識があったのである。
男性は
今回遺体で発見された女性に
殺されたのであろうか。
調べていく内に
家族の歪みと崩壊が明らかになり…。
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このシリーズは、
ふたつの殺人事件を解決するバディもの
(田所&三ツ矢)としても楽しめますし、
そして…やはり女性の物語でした。
新宿の事件発覚からすぐに
千葉の東山家に場面が移るのですが
その序盤からすでに
女性の物語なんだろうな…と
ザワザワした感じがしてくるのです
謎解きのミステリーですが、
女性たちが虚栄心と逆恨みで
家庭を崩壊させていく様を
目の当たりにする過程が見どころです。
なくしたものが
実はどれだけ得難い幸せだったかと
気付くのは
いつも後戻りできなくなってから
なんですよね…
でもそんな風に考えられる人は
松波郁子さんだけで、
理沙さんや成美さんは…
ずっと他責思考のまま、
満たされない自分は被害者であると
思い続けるのでしょうか
そしてタイトルですよね。
「彼女が最後に見たものは」
松波郁子さんが
ホームレスになってでも
逃げて守りたかったもの。
ドラマチック過ぎて、たとえそれが
刹那的判断であったにしても
彼女の人生苦に比して崇高過ぎて…
とても映像向きの作品だと思います。