「VIOLET」を観劇しました。



◇4/19(金)  マチネ  東京芸術劇場

プレイハウス  1階C列








ヴァイオレット…三浦透子/屋比久知奈

フリック…東啓介
モンティ…立石俊樹

ホールシンガー…sara
ヴァージル…若林星弥
リロイ…森山大輔
ルーラ…谷口ゆうな

老婦人…樹里咲穂
伝道師…原田優一
父親…spi                  他


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1964年   アメリカ南部。
ノースカロライナ州の小さな町。

幼い頃に父親の斧の刃が飛んで
顔面に傷を負ったヴァイオレット。
(三浦/屋比久)。

自分の顔に注がれる同情と差別の視線。
彼女はそんな人生と決別して
美しく生まれ変わるために
長い旅に出る。

目も鼻も肌も髪も…
なりたい美しい顔をつくるために
西へ1500キロ。テレビでみた、
あらゆる傷を治すという伝道師(原田)
を訪ねる。(インチキっぽいの…キョロキョロ)

長距離バスの旅で出会った
黒人兵士フリック(東)と
白人兵士モンティ(立石)の間で
惹かれ合ったり、
フレンドリーな白人老婦人(樹里)と
親しくなったり、
中継地の夜のクラブで
シンガー(sara)のショーを楽しんだり…。

やっと伝道師(原田)に会えても
思ったような願いが叶うわけもなく、
更にベトナム戦線も激しくなり…。

一言でいうと
ルッキズムと人種差別、
かわいい子には旅をさせよ、
という作品です。


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休憩なしの2時間10分です。

オープニングに
人種差別抗議のスピーチがあったり、
黒人役キャスト(sara、谷口、東)の
3人が迫害に恐怖する姿と
その後に白人ヴァイオレットが
自身の顔の傷に悩む姿で、

この作品が
ルッキズムと人種差別という
社会性のある作品だとわかります。

ヒロインが
自分の顔と受けた心の傷には
非常に敏感であるのに、
白人が黒人を差別することには
差別という概念すらなく
それが「自然」であるかのような
様子だったり、
鼻が低い、シワ・シミ、薄毛…加齢と
他人の容姿にはかなり辛辣。

顔と心に傷があるから、
寛容で心優しい…という
共感されやすいヒロインではない
というちょっとした驚きがあります。

それと、昨年上演された
「ラグタイム」という非常に
レベルの高い社会派ミュージカルがあり、
比べるわけではないのですが、
「似て非なる所」の謎がありました。 
同じ藤田俊太郎さんの演出です。

「ラグタイム」では
白人黄色人黒人を肌の色で表現せずに
衣装の色や音楽のビートで
解るようになっておりました。
(でも少し暗めのオークルのドーラン
をお使いかなぁと思いましたが)
それがとても好評だったと思います。

今回もそれなのですが、まず
ヴァイオレットの顔に全く傷がない。
そして黒人役のキャストにも
明らかな肌の色の表現もない。

傷に悩むルッキズムなヒロインと 
人種差別の話を
「見た目」で表現しない演出。

「ラグタイム」では
気にならなかったこの演出が
今回はね…
正直私は気になりました!

同じ演出なのに
今回は気になるという謎。


これは
私の個人的な好みとしか
言いようがないのですが、
私、傷はあってほしかった!

というのもラストには
ヒロインはこの顔の傷も含めて
自分らしく生きていく話なんだと
思います。

顔に傷の残るヒロインがラストには
傷があるからこそ誰より美しくみえる!
という演劇マジックってあるでしょう?

演劇マジックでなくても現実でも
葛藤を乗り越えたり、心の成長で、
表情や人として美しくなる!って…。

ヴァイオレット三浦透子さんの涙と共に、
あれをカタルシスにして
感動したかったのです。


オペラ座の怪人が
仮面つけてても取っても
誰よりカッコよかったら
あそこまで感動するかな…みたいな。


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はじめて拝見する三浦透子さん。
ミュージカル調の
クラシカルな歌唱ではなく、
ポップでこなれた歌唱に驚き、
でもライトで少し憂いの色ある歌声が
とても良かったです爆笑

昨年「ファントム」を降板されて 
長くお休みされていたので
心配しておりましたsaraさん。
美しくてパワフルに復活されたお姿が
見られて本当によかった〜ラブ

他のキャストの皆さまも
隙なく好演されておりました爆笑


あと、
お気に入りは最初の場面です。
黒人差別のスピーチと
キャスト3人が恐怖する様子、
そこに
ヒロインが水溜まりを歩く様子が
スクリーンに水紋として映る場面。
オープニングから感動しましたラブ


2000年には
緊急事態宣言が出されて
見られなかった「VIOLET」。
ようやくみられて幸せでした爆笑