読書記録です。
「コンビニ人間」村田沙耶香
主人公恵子は
「普通」がわからない、
「普通」だと思う事がずれてる、
それで孤立してきた女性です。
大学生の頃に
新規コンビニ店のバイトを始めて
生まれてはじめて「ここ」が
自分が生きる場所だと天啓にも似た
確信で30半ば18年間勤務している。
恵子が自身を
「人間」である前に
私は「コンビニ」である。
その「コンビニ」が
こんな店になりたいと
なりたがっている声が
恵子には聞こえる、
という描写には
一つ仕事を長年続けていると
誰しもそんな気持ちにもなるなぁと
いう共感もうまれる。
でも
この作品の素晴らしさは
「誰でもこういう仕事人間のような
感覚になることあるよね」という
共感にとどまらない点です。
同僚や新人男性店員、同級生や妹、
他者の目から見える主人公を
残酷なまでに問い、
「正常な人たちから削除される私」
「正常な世界は私にはとても強引」
「私は正常な社会の異物である」
と自覚させて、
「普通」の社会が
彼女を線引きする様を
哀しいとかつらいではなく、
彼女自身が痛ましいほど冷静に
自分身体の全て存在意義は
「コンビニにある」と
あきらかに掴む所だと思いました。
一度目に読んだ時には
痛快にも感じる疾走感、
二度目には
そのたくましさにとてつもない孤独、
そして
感想を綴ろうとすると
作者の客観性とその才能に
どこから何を感じたのか
その糸口に迷う、そんな小説でした。