十一月新派特別公演「犬神家の一族」
新橋演舞場
11/15(木)昼公演


犬神家の一族ってたしか、
たたりじゃー!って
懐中電灯頭につけるやつかな。

それは八つ墓村や。


小竹さまと小梅さまがでてくるやつかな。

それも八つ墓村や。


あ、洞窟で小指かむやつ…

それも八つ墓村や。


じゃあ、
鵺のなく夜は恐ろしい、のやつかな。

それは獄門島や。


あ、全部の恩田が悪いやつかな。

それは悪魔の手鞠唄や。


ちっとも犬神家が出てこない…と思ったら!

スケキヨやん。
ポスターみたらスケキヨですやん!
よきこときく、の見立て殺人の!

というわけで観てきました。
新派「犬神家の一族」




*金田一耕助(喜多村緑郎)

*橘警察署長(佐藤B作)

*当主犬神佐兵衛(中田浄)

*(長女)犬神松子(波乃久里子)
*(息子)犬神佐清(浜中文一)

*(次女)犬神竹子(瀬戸摩純)
*(夫)犬神寅之助(鈴木章生)
*(息子)犬神佐武(河合穂積)
*(妹)犬神小夜子(鴫原桂)

*(三女)犬神梅子(河合雪之丞)
*(夫)犬神幸吉(児玉真二)
*(息子)犬神佐智(喜多村一郎)

*野々宮珠世(春本由香・河合宥季)

*青沼静馬(浜中文一)
*宮川香琴(水谷八重子)   他


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犬神佐久兵衛の莫大な遺産をめぐり、
犬神家全員の前で遺言状を公開される。

遺産は全て
野々宮珠世に。(彼女は犬神家の居候)

しかし
犬神家の孫、佐助(すけきよ)、
佐武(すけたけ)、佐智(すけとも)
いずれかと結婚することが条件。

いずれも結婚せず、
また孫、珠世が死亡した時には青沼静馬に。

直系の三人娘の松子竹子梅子は
自分たちの名前がないことに激昂するも、
その息子さえ珠世と結婚しさえすれば…と
おのおの画策を始める。

しかし屋敷内で
犬神家の三種の家宝、
黄金の斧・琴・菊(よき、こと、きく)に
見立てた連続殺人事件が起きる。

横溝正史の「犬神家の一族」が
原作のお芝居です。

まず舞台美術がお見事でした。
犬神家の広間は豪華ですし、
現実と回想が照明で美しく対比させた、
長女松子の回想場面は視覚が印象的でした。

私は着物に興味があるので、
犬神三人娘の波乃久里子さん瀬戸摩純さん
河合雪之丞さんの着物姿に
くぎ付けになりました目

犬神家の普段着としての衣装なので、
豪華な訪問着で美を競うのではありませんが
普段着だからこその着こなしや美しさが
それぞれにありました。
襟合わせや衣紋の抜きかたが
少しずつ違うのです。

背の高さ、体型やお顔の大きさなどによって
1人ひとり着付けを少し変えるだけで、
その人の最高の美しさが出せる。
それが着物なのだと改めて感心しました。

特に河合雪乃丞さん(元市川春猿さん)
女性よりも「女」で美しく、
もう匂い立つような色香でした。
話し方、立ち振舞いや仕草って大切ですね。


そして「犬神家の一族」
原作でもスケキヨって佐清と書くのだった
かしら…と本を探してみたら、
なんと私、犬神家、
読んだことなかったみたいですびっくり
なかったの、本棚に!

だから
八つ墓村、獄門島やらと間違えたのですね。
映画かドラマの映像だけ覚えていたみたい。
白マスクのスケキヨ…。

トリックや犯人探しの本格推理小説ですが
この「犬神家の一族」、
人間ドラマとしてとても面白いです。




私、読んだことなかったんだ…びっくり
河合雪之丞氏を女として師匠とお呼びしたい

この二点が収穫の舞台でした。