「 Romale ロマーレ」
~ロマを生き抜いた女 カルメン~
東京芸術劇場 3月24日(土) ソワレ


オペラ「カルメン」も観たことがなくて、
(それでも有名なビゼーのカルメンの曲は
どれも大好きです)
ホリプロさんのミュージカルカルメンも、
宝塚版カルメンも観たことないので、
比較対象がないのですが感想を綴ります。


これから観劇される方や
内容を知りたくない方はお読みにならないで
下さいね。




カルメン / 花總まり
ドン・ホセ  /松下優也
スニーガ  /伊礼彼方
ガルシア/ KENTARO
ローレンス/ 太田基裕
ジャン/ 福井晶一
老人 /団時朗   他

物語は、ロマ族(ジプシー)の研究をしている
学者ジャン(福井晶一)が魔性の女カルメンを
探るためにスペインを訪れる。
50年前に亡くなったカルメンを知る老人から
彼女の生涯の聞き取りを始めるのだが…。

1830年 セビリア。
たばこ工場の女工カルメン(花總まり)は
その魅力で常に衛兵たちの噂の的に
なっている。
傷害容疑のカルメンを連行中に忠実な軍人
ドン・ホセ(松下優也)も気の迷いから
彼女を逃亡させる職務ミスを起こし、
人生の歯車が狂いはじめる。
カルメンと共に生きる道を選んだホセは、
彼女の周りにいる男たちに嫉妬するあまり…。


学者ジャンに老人が昔話を語る、
本編が回想録になる展開です。
老人が回想録を語った後には、
真実のオチがある仕掛けになっており、
そこがとても面白い台本だと思いました。

ただ
歌がオーケストラの音楽の力に助けられる
タイプの楽曲ではなく、
アカペラでもしっかりとメロディや歌詞を
伝えられる位の歌唱力がないと難しく、
本編(回想録)のソロが始まるとついつい、
「頑張れ…キョロキョロ」と
こちらが緊張してしまうことしきり。

ホセの美しい容姿の松下さんでしたが、
発声や音程の曖昧さが気になるところでした。
花總さんは安定感ある音程で
更にカルメンを演じる心意気が非常に
好印象に伝わるものの、
細やかな品のあるビブラートがジプシーの楽曲
とマッチしない感じがしました。

本編のカルメンとホセの回想録が終わった後
に学者ジャンが提示する、
「実はこうだったんじゃありませんか?」
のいくつかのオチの内、
特にカルメンの最後のホセへの語り芝居が
これが女優花總まりの真骨頂かという位、
それはそれは目が覚めるほどの説得力と
美しさで…。

だからこその
やはり本編(回想録)の物足りなさでしょうか。
カルメンとホセの情熱の機敏や物語や
その人生の時間経過が構築していけば、
(もちろん作品上構築しているのでしょうが、
観ている私の中では構築していかず…キョロキョロ)
もっとオチに感動できるのにと思いました。

良いところも沢山ありました。

まず、
舞台装置と照明が美しく効果的でしたし、
キャストに女性が花總さんだけなので、
ジプシーものと言えば
ジプシー女たちの官能的で逞しい群舞が
見たいのに!…ないのかショボーン
残念に思っていたら、
男性ダンサーがそれを担い、
幕開けからテンションを上げてくれました。

現代パート、
学者ジャンの福井晶一さんのソロも聞き応え
あり、老人団時朗さんとの芝居も良かった。

カルメン…をテーマにした舞台はこれからも
観ていきたいなぁと思う作品でした。