私は今週末で見納めになる
「エリザベート」。
浮かれていないで大切に鑑賞します。

どのキャストも好きですが、
田代万里生さんと佐藤隆紀さんのフランツ
とても好きです。


これからご覧になる方で、
鑑賞の邪魔になるようなら、
お読みにならないで下さいね。


こちらが
田代万里生さんと佐藤隆紀さん。





佐藤さんは、声量が豊かで
聴いてとてもお得感があります。

ミュージカルは、
お芝居の台詞と歌の部分がありますが、
この「エリザベート」はほとんど歌で
進行します。

ミュージカル俳優さんによっては、
演技の台詞部分はオマケのような、
歌ではりきるパターンや、

演技も集中できるのに、歌になると
役を離れて歌手が持ち歌を歌うみたいに
なる方も時にいますが、

田代さんも佐藤さんも
見ていて集中力を削がれるような事は
一切ありませんでした。

何でもない
当たり前の事のように思いますが、
芝居の声と歌う声は、
声帯のスイッチが違うので
このお二人は素晴らしいのだと思います。


佐藤さんは、童顔のかわいらしい方ですが
フランツになると少し貫禄がつきます。

悪口じゃありませんよ爆笑


昨年は、若いのに、

アリスの堀内孝雄さんみたいだな、
結婚前から貫禄あるな、
少しおじさんぽいかな、
これでエリザは好きになるかな、
でもフランスのルイ16世みたいだと思えば
いいか、

と思って見ていました。


今年は印象が違います。


1幕の登場シーン「謁見の間」。

男前になっていましたびっくり
高橋克典さんみたいになっていて、
目をこすりました。

カッツミーじゃなくて、
「特命係長」の方の高橋さんですよ。
わかりますよね、「特命係長」。
「サラリーマン金太郎」の方の高橋さん。

「トリビアの泉」カッツミーの方じゃなくて。


でもすぐにおじさんぽくなりますが、
何度見ても「謁見の間」は、
昨年の佐藤さんではありません。

結婚してすぐに
エリザベートとわかり会えず、

「あなたは私を見殺しにするのね、
 一人にしてください。」

とかなり辛辣な事を言われて、
くるっと背中を向けて歩いていくシーン。

不器用なモサッとした感じが、
何とも佐藤さんのフランツ像らしいです。

好きだけどどうしたらいいのかわからない
不器用そうな優しそうな感じの
フランツです。


田代万里生さんは、
登場シーンの「謁見の間」では、
とても美しい凛々しい皇帝として
現れます。

お見合いのシーンでは、
ニコニコ可愛らしいカップル誕生で
見ているだけで
お似合いで嬉しくなります。


それでも佐藤さんと同じで
やっぱりうまくいかないんですけどね。

田代さんはとても若く可愛らしいので、
フランツの2幕がどうなるのか、と
心配しておりましたら。

1幕以上に熱演されますびっくり
ルドルフとは対立するし、
エリザベートは離れていくし、
もうぼろぼろになる田代さん。


「夜のボート」から「悪夢」
そして「カーテンコール」までの
田代さんは本当に観られて良かった!と
満足できます。
もう大好きです。

「夜のボート」のデュエットは、
エリザベートの長いソロから始まりますが
その時点で田代さんは、
涙をポロポロ流して、
エリザベートを見つめます。

もうおひげも衣裳も床にも垂れるくらい
泣いておられます。

こちらが苦しくなるくらい。

♪わかってほしい。君が必要だよ♪
♪信じてほしい。君を愛している♪

涙も鼻水もどうしようもなく流しながら、
それでも完璧に歌い上げる田代さん。

長時間の観劇に眠くなっている場合では
ありませんよ。

ここは涙なくしてみられません。


人生のゴールは寄り添いたいフランツと

二人のゴールは別々。
すれ違う度に孤独になるから、と
いうエリザベート。


そして「悪夢」。
ここから一気にクライマックスですよ。
目も覚めます。


眠かったんかい。


いえ、
他のお疲れ気味のお客さまの気持ちに
なってみました。

どうも「コルフ島」と「夜のボート」で
気が遠くなる、という方がおられたので。
子守歌じゃありませんよ。


この「悪夢」。
ここの田代さんも凄いです。

真っ白なトートがタクトを振り、
最後にエリザベートをめぐって争う
トートとフランツ。

ビジュアルは、歳をとらない白トートが
圧倒的にカッコいいに決まっているのに、
何故かヨロヨロの田代さんから
目が離せません。

「わが妻だ!」
「エリザベートがいない!」と

半狂乱で舞台センターで叫ぶ田代フランツ。

トート一味に立ち入り禁止!と遮られたり
ルキーニには突き飛ばされて、
上手の方にズルーンと滑り倒れます。

この「ズルーン」が派手な日ほど
盛り上がります。


もうぼろぼろなのに、「カーテンコール」
では勲章をつけた真っ白な正装で、
満面の笑顔で直角にくるっと向き直って
出てきてくれます。

この「カーテンコール」のフランツまでが
見所です。

登場シーンからカーテンコールまで、
生涯の時間経過をたっぷり見せてくれるのは
このフランツです。

カーテンコールの時、
田代さんは白の正装。
佐藤さんは群青色の正装。

この衣裳の違いもいいですよね。