「スウィーニー・トッド」です。
先月の公演初日に
東京芸術劇場で観劇しました。


美しい愛妻を判事に見初められたが故、
無実の罪で流刑された理髪師が、
「スウィーニー・トッド」と名前を変えて
復讐にやってくるお話です。

以前見たジョニーデップ主演の
映画「スウィーニー・トッド」は、
舞台の世界観そのまま映像化した感じなので、初見なら映画をみてから行くと、
よい予習になります。

パンフレットはこんな感じです。







スウィーニー・トッド (市村正親)
ミセス・ラヴェット (大竹しのぶ)
乞食女 (芳本美代子)
アンソニー (田代万里生)
ジョアンナ (唯月ふうか)
ターピン (安崎求)
ビードル (斉藤暁)
トバイアス (武田真治)


まず印象的なのは、
客席を纏うような舞台装置で、
地下を排水が滴り落ちる水音まで聞こえて、
幕が上がる前から作品の雰囲気に浸れる
アトラクションのようでした。

そして演出がとてもスピーディで
キャストの見せ方にメリハリがあり、
あまり詳しくない私が言うのもなんですが

「なるほどこれが
世界で仕事をしてきた演出家なんだな」

とあらためて感じるのです。
宮本亜門さんの演出です。

メインのキャストに的確にスポットを
当てながら、
人海戦術のようにアンサンブルを集めて
ワァーっと客席を征服するような場面など
「舞台を観にきて良かったな」
と思わせてくれる迫力があります。

今回は、
主演の市村正親さんと大竹しのぶさんの
ファイナル公演ということで
観に行きました。

市村さんも大竹さんも、この作品の
キャラクターにぴったりです。
二人のバランスもとてもいいです。

大竹さんは、ミュージカル専業の女優さん
ではありませんので、
ものすごく歌がお上手というわけでは
ありませんが、
それを凌駕する才能なんですね。

ミセス・ラヴェットが歌が上手くなくても
成立する役というわけではなく、
大竹さんに限ればそこは何の問題もない。

ミートパイ屋の女将が上手くもない歌を
機嫌よく歌っている芝居が出来ているし、
役の生命力を感じるのです。

そう、大竹しのぶさんを見て
何故この方が名女優なのか、
と思うかというと
どんな芝居の時でも「役の生命力」
を伝えてくれるからだと思っています。

またいつか次回に再演されたなら、
キャストは一新されるのですね。
また楽しみに待ちたいと思います。

最後にパンフレットの感想です。
市村さんの舞台写真や
全体のお稽古風景の写真が
とても良かったです。

あと、作家の岩井志麻子さんが、
ウィリアム・ホガースの「ジン横丁」の絵画と「スウィーニー・トッド」の世界を重ねてエッセイを寄せているのが、
嬉しかったです。