3月8日(火)のマチネで観劇しました。
東京国際フォーラム  ホールC。


ジキル&ハイド  石丸幹二
ルーシー  濱田めぐみ
エマ   笹本玲奈
アターソン  石川禅
ダンヴァース卿  今井清隆   他


医者ジキルは精神を病んだ父親に心痛め、
人間の善と悪を分ける薬を作り、
人体実験の希望を試みるも却下される。

店で知り合った娼婦ルーシーの色仕掛けの
「私で試して」の言葉から、
自分自身で薬の人体実験をする事を
思いつく、と言うお話でした。


細部に触れますので、
お知りになりたくない方は、
先をお読みにならないで下さいね。





ロビーには、メインキャストの石丸さん、
濱田さん、笹本さんのパネルがありました。




ジキル役の石丸幹二さん、
ルーシー役の濱田めぐみさん。




石丸幹二さん。
濱田めぐみさんと笹本玲奈さん。




青の衣裳の笹本玲奈さん。
赤の衣裳の濱田めぐみさん。


パンフレットは、ブラック一色。

中身もお稽古風景のカラー写真以外は、
モノクロでシックな作りです。




私個人の偏った感想です。

冒頭の照明の使い方が斬新で、
これから始まる舞台にワクワクする
演出でした。

強い照明の場合、演劇の時は、
光源が見えると興ざめになりますが、
そんな事はありませんでした。

あと火を使う演出も良かったです。


キャストは、
まず伯爵婦人の役で、
文学座の塩田朋子さんが観られるのが
私はとてもうれしいです。
老舗劇団で培われたキャリアのベテラン女優が一人いるだけで舞台が締まる、
さすがの存在感でした。


エマ役の笹本玲奈さんが、
まだもっと若い頃に、私が想像したのとは
違う女優さんになりそうな仕上がりに
なっていて、良い誤算でした。

笹本さん、ファニーフェイスで
とても可愛らしいお顔なんです。

だから、童顔がハンデになり、
大人の女性を演じる歳になられたら、
少し苦労されるのではないか、などと
勝手にお節介な心配をしていたのですが
杞憂でした。

とても可愛らしいお顔立ちはそのまま、
これからも息長くエレガントな女性を
演じられる大人の女優さんに
なっていました。


そして、
メインの石丸幹二さんと濱田めぐみさん。


これは役者さんでも演出家でも、
誰もがやりたくなる作品だと思います。

ワイルドホーンさんの作曲は、
マイナーなコード進行に、旋律は、
メロディアスで迫力で推す印象的な曲が
多いです。

話もドラマチックです。

ジキルはインテリの紳士、
ハイドはサディスティックな殺人鬼の
二重人格。

運命的な一言をもたらす
哀しい娼婦ルーシーは幸せになる夢をみて
愛した男に殺される。

はからずも殺人鬼になった自分を
コントロールできずに、
友人に自分を撃ってくれと懇願し、
結婚式の夜に新妻に抱かれて
息絶えるジキル。

一度観ただけで、見落としや、
再確認できない所もあるのですが、
友人アターソン役の石川禅さんの話によると、
「撃ってくれ」と言うのは
ハイド人格らしいです。

このように奥深く人間を描きながら、
エンタメ要素も多いので、
ヒットしないわけありません。

でもまだまだ日本版、進化しそうな、
伸びしろの多い作品だと思いました。

石丸さん、
さすがに歌も聴かせてくれます。
かっこいいし、すばらしいのですが、
お芝居が貴公子然として、
スマート過ぎる印象でした。

この作品の見所は、
やはりジキルとハイドの二重人格。

ジキルはもっと苦しんでほしいし、
ハイドはもっと恐ろしくなってほしい。


濱田めぐみさんも、さすがに歌を
聴かせてくれます。

途中、
少し観ている私の集中力が
なくなった時にも、
濱田さんが歌い出すと、
パッと目が覚める位。
本当に素晴らしいんです。

でも難しいものだな、とも思います。

声も容姿もルーシー役に
ぴったりなんですが、
何かが足りない、もったいない、
と思ってしまう。

歌唱も台詞も濃淡が浅く、
きれいにまとまりすぎている印象でした。

身体や表現も、
ほんの少しの違いなんですが、

肩の位置を下げるとより哀しくなるのに、
腰をひねる角度とヒップの高さで
下卑た退廃さが、

手の伸ばし具合で渇き求めてる感じが
もっと伝わるのに、
首と背中をはもっと伸ばすと美しいのに、
顎の上げると官能度増すのに、とか、


素人の私が何なんですが、
濱田さんが日本のミュージカル女優の
至宝になれるものがあると思うから、
余計にもったいないと思うのです。

あと少しで、的確になり洗練されて、
スターオーラが出そうなのに!って。

ポスターやパネルをみても、
少しそんな感じがしませんか?

今はルーシー役より、情感たっぷりに
歌をうたう歌手「濱田めぐみさん」、
に映りました。


ジキルに優しくされて、

「♪あんな人と出逢えれば、
魔法のように何もかも変わる♪」

と夢を見るルーシーのお芝居が
一番無理なく似合って良かったので、
もしかしたら濱田さん、
素はこんな可愛らしい方なのかな、
とも思いました。


主役の石丸さんと濱田さん、
とても素晴らしかったんですよ。

まだまだもっと感動の傑作になる余地が
あります、という意味の感想でした。

私がストレートプレイを
見馴れてきているので、
見当違いな事を綴っているのかも
知れませんが、

ミュージカルも「演劇」だと
思っているので、様式美もさることながら
何より芝居が大切だと思うと、
このような感想になりましたよ。