新国立劇場のミュージカル「パッション」です。

全て見終わって、自分なりに結論を出してから記事にしようと思っていましたが
二度と三度観るうちに解ってくる過程も記録しておこうと
無茶を承知ですぐ綴ります。

                       
 (画像お借りしました)

私、基本的に甘々で劇評なんてできません。
綴り方も素人向けで、的はずれな捉え方をするところもありますが
そこは読み流して下さい。

主人公は美しい青年軍人ジョルジオ(井上芳雄)。
仕事も順調で美しい恋人クララ(和音美桜)もいて楽しく充実した毎日。
しかし、田舎の赴任先で上官の邸宅で暮らし始めると、
上官の従妹フォスカ(シルビア・グラブ)に一目惚れされて、
つきまとわれることに…。


稽古写真を初日前に見て、
なんてかわいらしいカップルなんでしょうと思いました。
       


                 (画像お借りしました)

和音さんの愛されている女性の満たされた笑顔もいいし、
井上さんの優しそうな感じも。

でも「セクシー」「人目をしのび燃える不倫」の印象はありません。

この写真を見るまでは、
「二人とも全裸で行け!」
「間違ってもパンツ履くな!」
「和音さんの見えちゃいけないところは
シーツとキミの身体と腕で全力で隠せ!」
「だけどキミは後ろ姿はアクシデントで
お尻まで見えたって気にするな!」
舞台ってそういうもんだ!
(って今までどんな芝居見てきたんだって感じでお恥ずかしいですが…。)

これくらい攻めて行け!と思っていましたが、
冒頭のベッドシーンは、美しく「芸術的」で微笑ましい仕上がりでした。

この「芸術的」は、このミュージカルを語る上でたぶんキーワードです。
「芸術」なくして語るボキャブラリーがない
という自分の底の浅さが悲しくなります。


そして、やっとタイトルの

【「パッション」初見で感想は難しい】

この作品は、プロフェッショナルな立場、つまりやる方はいいと思うんです。

きっと、この1ヶ月で作り上げていく喜びとか
演じきる高揚感とか、これは芸術だ、みたいな
難問に挑戦するプロの恍惚感が充たされる作品なんだと思います。

ただ観る側がこれを「良かった」「感動した」「何度でも観たい」
と思う器を持とうとすると修行が必要なんです。

だから、初見で手放しで感動できた方は、かなりの通です。

素人の私が初見で観たら、
視点が客観からジョルジオ、そのあとフォスカと移るので
つじつまが合わなくなるんです。

見たことないほど醜い女フォスカが醜いけど心が美しい、
というおとぎ話の解りやすいヒロインじゃないからなんです。

醜くて、気持ち悪くて、厚かましくて、死にかかっていると言う割には、
ニタニタしながら美しいジョルジオにまとわりつくし、
騙し討ちのようにキスしたり、自分のベッドに寝ろと言ったり…。
もうホラーなんですね、ここ。

井上ジョルジオ、全力で気持ち悪がってるし、
具合まで悪くなってかわいそうに寝込むし…。

なのに、最後に何を血迷ったか、
美しいクララと別れて醜いフォスカを選ぶんですよ。
それも「彼女に逢わせてくれ~!」と絶叫して寝室に行くんですよ。

いや、解りますよ、井上ジョルジオのパッションは伝わりました。
別にファンだからではなく、素晴らしかったんです。

「初見で感想は難しい」
がタイトルなので、ここまでにしますね。

これだけの感想だったら、ミュージカルのタイトルは、
「ジョルジオの災難」
「フォスカ」
の方が無難なんですね。

あと2回観て、「パッション」を語れる人になります。

とりあえず、次回は視点を極力移さず、

「俯瞰」で観ること。
「芸術」で愛を語る。

今回、油断して観た反省からの自分への二つの課題です。