頬粘膜癌、134日目。

 

 血圧 113-77 mmHg

 血糖 98 mg/dL (朝食前)

 酸素 99 %

 脈拍 67 拍/分

 体温 36.7 ℃

 体重 76.9 kg 

 

 

 日曜日、天気は晴れ。

 とても暖かい1日だった。

 

 ウォーキングの時も半袖のランニングシャツでも全然寒くなかった。ぽかぽかと日の光を浴びながら渡り廊下を歩いていると、とても気持ちがいい。体の中で新しい力が生まれてきているみたいなそんな気分になる。

 

 朝と昼に30分ずつ。軽いウォーキング。もう少し追い込んで歩いてみたい感じもあるのだけれど、体の方がそれを押しとどめている。なんだか速めにふくらはぎあたりの筋肉に張りが出てきて、”これぐらいにしときなさい”と言われているみたいだ。通常なら全然まだまだいけるぐらいのボリューム感なのだが。まぁこういう時は体の言うとおりにしとくに限る。

 

 第六感とか、予感とか言われるものがあるけれど、それはにはきっと根拠がある。

 今日のこのふくらはぎの張りみたいなものにも理由があって、その声を聞くのか聞かないのかは本人次第なのだ。最近は素直になったので取りあえず聞く方向で過ごしている。

 

 

 

 今日は、放射能治療の副作用の中の首周りの事をまとめて書き留めておこうと思う。

 

 放射線治療の副作用はいろいろあるが、その中のひとつに肩や首まわりの筋肉が固まって、動きにくくなるというのがある。

 筋肉が動きにくくなると、腕が上がりにくくなったり、首が回りにくくなったりする。

 僕の首は最近は借金があるわけでもないけれど回らない。まぁかなり動きが悪くなってしまった。首を左右に倒そうとすると筋肉が突っ張って全然左右に倒れない。普通の人の半分以下ぐらいかもしれない。もちろん、振り返るようなねじる動きもあんまりできない。突っ張ったり、引っ張られたり、詰まった感じで動かなかったり。左右に倒れないし、ねじる運動もろくにできないので首がほとんど回らないって感じになっている。

 

 首が回らなくなって、勿論それにともなっての痛みはそれなりにある。

 首を回そうとすると突っ張るし、突っ張るから気になるので余計に動かそうとして微妙に痛かったりなんだりでめっちゃ肩が凝る。動かすと微妙に痛いし。

 

 僕の場合は、左の首のリンパを切って取っ払い、その部分と口の頬に放射線治療を行った。首の周りの放射線で、左首から左胸に掛けての筋肉が固まった感じになった。それによって、首や肩を動かすとなんだか左の胸のあたりがキュッと痛む。別に決定的に痛いとかでもなくキュッと痛む。言葉で伝えるのは難しいのだけれど、なんとなく息苦しくて心臓をツンツンと突き転がしているしているようなそんな痛み。ウォーキングしているとずっとそんな感じでキュンキュンしている。

 

 毎日胸キュンである。誰も相手がいなくても胸キュンだ。とてもエコだ。これがまぁ、ずっと続いている。最初は気づくか気づかないかぐらいの軽い胸キュンだったからね。最近ようやく慣れてきたが、このキュンキュンする度合いが、まぁ少しずつ強まっているって感じだ。放射線治療が完了したので新たに放射されることはないから、今までの影響が落ち着いたらそこで完了って感じになるのだろう。今朝も0.1キュンくらいキュン増しした感じだ。

 

 今話したのは動かないという部分の話。物理的に動かないのがこんな感じだ。

 筋肉がうまく動いていないので、もちろんその中のほかの部分もうまく動いていない所がいろいろある。喉が狭くなった。狭くなったというのはわかりにくいかもしれないけれど、自覚症状的には本当に喉が狭くなったと感じる。今まで声を出すのに使えていた空間が半分くらいになった感じだろうか?

 喉が狭くなって動きが悪くなったから高い声が出なくなった。低い声も出なくなった。どっちも声を出すときに喉をゆるく広げて充分な空間が必要みたいだ。残念な事に歌手ではなかったから、この部分についてそれほど困る事はない。カラオケのレパートリーが減ったぐらいのものだ。減ってどうということもないぐらいのものであるw

 

 動きが悪くなって首が回らない ちょっと胸キュン

 喉が狭くなって高い声や低い声がでない

 

 問題は、これらの症状が複合的に組み合わさって起こる現象で、まぁ分かりやすくいうと飲み込むことがめちゃくちゃ下手になっってしまった。飲み込みづらいわけだ。

 喉が狭くなったから当たり前だが飲み込みにくい。喉周りの筋肉もきちんと動いてくれてないので飲み込むぞと思ってから、実際に筋肉が動いて飲み込む動作までの連動がうまくいかない。僕の首周りのメンバーはさっぱりチームワークが取れないボートチームみたいなものだ。みんなてんでばらばらにオールを漕ぐものだから、バランスも悪ければ力も入らないし、タイミングもでたらめで、結局の所がうまくものが飲み込めないわけだ。

 

 簡単に噎せてしまうようになった。

 錠剤の薬を飲むのがとにかく難しくなった。もちろん、放射線治療の影響で唾液が出なくなってしまったのもものすごく影響しているんだが、薬を口に含んで”さぁ、今から薬飲むからね、飲みますよ、いいね、水飲むからね”ぐらいの気合いがないとうまく飲めない時がある。一回噎せるとなかなか大変なのだ。

 今までも、錠剤飲んだときになんだかのどに残ったみたいな感じになって気持ち悪くなったことがあったけれど、そういうのがすぐに起こる。ずっとのどの奥に薬の玉があるみたいな感覚が残って気持ち悪い。

 

 だから、薬を飲むのにものすごく大量の水やお茶が必要になってしまった。

 飲む薬の量も多くなったもんだから、ご飯食べた後に薬を一通りのむとマグカップ1杯分くらい水飲んでたりしてなんだか腹チャプチャプみたいなね。

 

 勿論、食事についても喉の狭さが影響する。

 食事は首周りの状況だけで語れない部分、例えば舌の炎症とかもあるので一概に言えない部分はあるのだが、喉が狭くて飲み込みしにくいのに変わりは無い。

 ただ、こうやって改めて考えてみると、食事の痛みやつらさってのは喉の狭さからくる部分は意外に少ないんだということを知った。そうか、痛い事のほうが問題としては大きいのか。飲み込みにくさは、食材を麺食にしたりとろみのあるものと一緒に食べたり(とろろとか)することで随分と緩和されているのだ。案外、この部分は切り離して考えられるのかもしれない。

 

 

 もう一つ別個に書いておきたいことがある。

 ”つばを飲む”という行為についてだ。

 

 何それ?と思うでしょう?

 僕もそう思う。

 

 

 実は、つばを飲むという事を意識することが普段はないからだ。僕らはしらないうちに口の中に勝手にたまったつばを飲み込んでいる。無意識に。

 

 では実験をひとつ。

 

 今この瞬間から5分間喋らず、じっとしていてみようじゃないか。テレビを見ながらでもいいし、本を読みながらでもいい。もちろん息はしていただきたい。

 僕の場合は放射線治療の影響で唾液が出にくくなっているからそうでもないが、まだ1分ちょいという所かもしれないがみなさんの口の中はどうなっているのだろうか? 僕はほんの少し唾液が溜まり始めているぐらいの感じだ。取りあえず2分でストップウォッチは終了してみた。でも、僕の口の中にはほんのり唾液が溜まり始めている。

 通常、放射線治療の影響がなければみなさんの口の中にはもっと沢山の唾液がたまっているのでは無いだろうか。

 

 今は意識しているから唾液が口の中に溜まっている。

 多分、普段だったらそんなに溜まる前にそっといつの間にか自然に飲み込んでいる筈では無いだろうか。それを無意識にやっているのではないかと思うわけだ。

 

 まぁ違ってたらごめん。言語聴覚士ではないから正確な機序までは追っていけないけれど、おそらくそういう事がおこるんだと思う。

 自然にしらずしらずにつばは飲み込まれて、口の中の潤滑が保たれる。

 

 で、僕に起こっているのは、その自然に行われるつばを飲みこむ事が無意識ではできない事があり、意識すればするほどどうやったらいいのか分からなくなるという現象が起こる。その結果、つばが飲み込めない、飲み込みかたがわからなくなって息苦しくなってしまうというちょっと怖い事になったりする。

 最終的にはつばもなんとか飲み込んで、息苦しくてもなんでも解決はするのだけれど、この中途半端に溜まったつばはどうやったら飲み込めるんだ?と思い始めると結構ヤバい感じなのだ。なんせ、無意識にやっている事は意識して再現することは難しいのだ。たぶん。

 

 軽くパニックになるほどではないが、それに近い所にいるかもなぁと思う事はある。息苦しくてヤバい。このまま息の仕方を忘れてしまうんじゃないかというちょっとした恐怖が僅かにある。実際にはそんなことは起こらないんだけれど、ちょっとだけ死にそうな気分を1日に何度か感じるみたいなこと。

 

 旨く書けて伝えられているかは分からないんだが、そういう事がおこっている。これからも続くのかなと思う。書いておかないとそれっきりになってしまいそうな事のひとつだ。記録に残す。

 

 大丈夫、これぐらいでは死なないからという話である。

 

 ステロイド剤の薬が終わったので血糖値が安定した。ほっと一息。

 焦がしキャラメルカフェオレ。旨し。

 

焦がしキャラメルカフェオレ

 

 今日もいい1日であった。

 

 

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