山の中で
清流が流るる
雨で増水し濁った川が
一晩たって
元の清らかさを
取り戻しつつある
未だ咲く
雨にうたれる紫陽花に
一体今は何月だったかしら、と
現実的な感覚が麻痺してゆく
ここでは
時間の流れ方が
違うのです
どこかから
耳の奥へと届いた声
あなたは誰なの
ふらり、と身体が動いて
川に近づいてゆく
水にふれると
冷たい
この冷たさは
ここにいるのが
決して夢ではない
という証拠
何も考えなくていいのです
あなたは
ただ
ここに存在している
それで十分なのです
だって
それだけで素晴らしいこと
なのですから
これは大いなる浄化
すべてに身を任せて
この場所にいられる贅沢さに
心から感謝して
この瞬間を味わう
いらないものは
すべて手放して
周りのものと溶け合って
ただ清らに流れて
素敵なうお座満月を
お過ごしください。