と私の部屋の扉が叩かれ、お女将があらわれた。十九時四十分くらいである。
「女の子連れてきましたんでねぇー。気に入った子がいたら、ぜひ…」
とお女将は言って、いったん廊下のほうへ出ていった。入れかわりに、女性二人が部屋に入ってきた。
一人は、大胆に胸元のひらいた黒い服を着た、豊満な肉体をもつ女性で、明るい性格なのかニコニコしている。もう一人は、白い清楚な感じのする服装をしているが、先の女性と比べると笑顔がなく、控えめな印象である。
二人は、座っている私の目の前に正座した。
(二人、だけか…)
私は八人くらい女の子がずらりと並んで「この中から一人お選びください」と言われる光景を想像していたために、少し拍子抜けしてしまった。しかし、二人だけで十分と思えた所もあった。先の笑顔の女性を、私は一瞬のうちに気に入ったからである。
肉づきのよい体をしていて、よく喋りそうな明るいオーラをもっている。テンション高めの会話をする夜の商売にはよく合っていそうな女性である。ひと晩一緒に過ごすなら、こういう相手がふさわしい。むかし私が気に入っていた、水商売をしていた或る女性に、やけに見た目が似ていた、という点も作用していた。
つづく