髪を乾かしおえたエリーは、ベッドの上に横たわっている私に抱きついてきてくれた。互いに薄手の寝間着を身につけているだけだから、彼女の柔らかい体の感触がもろに伝わってくる。
私はエリーのやや肉厚な背中を右手で撫でながら、さっき不覚にも感じてしまった彼女への愛おしさが、その手にこめられていくのを、もはや避けられない思いである。
「犬、猫、飼ってるか?」
とエリーが聞いてきた。
「いない。でも亀、いる」
「カメいるか!かわいいなぁ…!名前は?カメの名前」
「忠左衛門(忠臣蔵の吉田忠左衛門からとった)」
「チュウザ…むずかしい名前」
こんな無邪気な会話を、私たちは抱き合いながらつづけていた。国籍がちがうために単純な会話しか出来ないことが、かえって良かった。ベッドの上での男女の会話に、むずかしい内容は必要ない。まるで子供同士がするような無邪気な会話を、暗い部屋のベッドでエリーとつづける私は、今夜初めて会ったのではないような親しみを彼女に対しておぼえるようになっていた。不完全な日本語を話す彼女に、「…うん、うん」と相槌をうってやるとき、自分の心の中に愛情に近いものが湧くのを、私はたしかに感じていた。
「アナタ興奮してるか?勃ってきてるの、わかるよ」
「…うん」
「ナマするか?」
「いや、ゴムつけてで、いいよ」
「ナマしよ?な?」
私は病気とかも恐いし、万が一彼女を妊娠させたりしたら可哀相だから、ゴムをつけてしたかったが、女性の側から言われると、男としては断りようがないところがある。男の私から「ナマでしたい」と頼むのならともかく、エリーからそう言ってきたということは、私に対するサービス精神以上の何らかの感情があるわけで、私はエリーのせっかくの気持ちを無視するわけにはいかなかったのである。ここで頑なに拒否することは、彼女を傷つけることになる。
エリーは私の股間の上にまたがり、野性的なあえぎ声や咆哮をあげ、何度か絶頂をむかえたようだった。先ほどの交わりよりも、彼女は情熱的だった。
「もう…やばい」
我慢しきれず私が言うと、
「いいよ」
とエリーにゆるされ、私は彼女の中で果てた。