前回、前々回までは、K2第2期なんですが、実はこの第2期の最後の方、特に1998年頃から、また、ちょっと状況が変わっていきます。そのことを書いてみたいと思います。

 それは即ち、音楽媒体としてのCDRの登場とそのCDRが自分達でも焼けるようになったことです。ある日、田野さんから、その事を教えてもらって、電子雑音の関係者のGovernment Alphaの吉田くんが早速、田野さんと共同購入した(のかな?)CDRレコーダーで、AstroのCDR作品”Acid Safari”をリリースしています。後にBastard NoiseとGovernment Alphaの作品で、CDRをBastard Noiseのトレードマークの骸骨の型紙に入れたハンドメイド作品”The Relic”やKK Nullさんと田畑満さんとGovernment Alphaの吉田くんそれとその時3人でやっていたMonster DVDのセルフ・タイトルのCDR作品で、CDRそのものを医療用手袋に入れたハンドメイドの作品もありましたね。


Astro CDR作品 “Acid Safari” (1998)


Bastard Noise & Government Alpha CDR作品 “The Relic” (1999)


KK Null, Mitsuru Tabata, Government Alpha, Monster DVD CDR (手袋入り) “s/t”  (2003)


 しかも、その時代は、PCで高速で焼くのではなく、CDRレコーダーでカセットテープのダビングみたいに、60分なら60分掛けて焼き、しかもファイナライズしなければならないような代物でした。それでも、カセット作品と違って、70分位は入れられましたし、「CDっぽい」外観や音は、我々をウキウキさせてくれました。ただ、盤面の印刷には、専用のプリンターを使わなければならないので、自分でラッカーを塗ったり、そのままにしたりしめいましたし、また、読み取り側の盤面にちょっとでも傷が着くと、再生出来なかったり、音飛びを起こしたりと短所もありました。田野さんがリリースした作品で良く覚えているのは、日本のGovernment Alphsと日本の666 Psych Up Girls(多分、田野さんの別名義)とアメリカMacronympha&OVMNの2枚組特殊包装CDR作品”Mafia vs Yakuza”ですね。Macronympha&OVMNは、8分位、映画”Godfather”のテーマ曲を入れており、そこから、突然、ハーシュ・ノイズに雪崩れ込むと言うドラマチックな曲を入れていました。


Government Alpha/MSBR/666 Psych Up Girls / Macronympha & OVMN  2枚組CDR作品 (円形鉛包装) “Mafia vs. Yakuza” (1999)


それで、その頃、市川市本八幡のマンション(この頃はマンション住まいで、元パートナーも去り、独り身でした)に住んでいた私も、そんなCDRレコーダーを購入し、自身のレーベルからもCDR作品も出すようになりました。Blazen Y Sharp(伊/米)や山安籠(日)やK2のCDR作品ですね。


山安籠 CDR作品 “Aoi” (2000)


K2 CDR作品 “Weight Over Emergency” (1999)


 また、その頃(1998年頃)、海外のレーベルからも、CDR作品がリリースされてくるようになり、それに乗っかる形で、K2の作品もCDRでリリースされるようになりました。例えば、Self Abuse RecordsのCDR専門のサブレーベルSolipsismからは、K2 “Schizophereniak Signal Transduction”やK2 & Cornucopia(プエルト・リコ)のスプリットCDR作品”Crack The Sun”、K2 & Dead Body Love(伊)のスプリットCDR作品”Traumantra”もリリースしています。Solpisismは、ノイズ・ミュージックの登竜門的レーベルで、CDR専門にリリースすると言う立ち位置だったので、日本の若手ノイズ・ミュージシャン達も数多く出していました。

K2 CDR作品 “Schizophereniak Signal Transduction” (1998)


K2 / Cornucopia スプリットCDR作品 “Crack The Sun” (2001)


K2 & Dead Body Love コラボ・スプリット作品”Traumantra” (1998)


 また、ギリシャのレーベルAbsurdからは、IncapacitantsとK2のCDR作品”We Are All Stupid”がCDRでリリースされましたが、装丁に粗い紙やすりを使っていた為か、取り分が送られてくると、読み取り側盤面に傷や剥がれが多くあり、再生不可能なブツが多くて、お店に納品しても、苦情が殺到する事態となり、こちらも、ほとほと困ってしまったことがありました。因みに、この作品は、その後2020年に正規のCDとしてNew Forces (米)から再発されており、紙やすりも無くなっています。

Incapacitants & K2 スプリットCDR作品(オリジナル) “We Are All Stupid” (1998)


 こう言ったCDR作品を主に作るレーベルでは、最初こそ高価で遅いCDRレコーダーを使っていましたが、やがてPCを使って高速で焼くことが出来るようになり、それは、多分、2000年代以降まで及び、今でもCDR作品を出しているレーベルも残っています。K2も、第3期(2005年〜現在)の初頭や第2期終盤(2000年〜2002年)には、CDR作品”Brainwash Education”や”Oogonia” (共に独:Tochnit Aleph), Target To Nowhere” (豪:Cipher Productions), “Drug Delivery System” (台湾: Noise Taiwan), “Flake Nitro” (米: Harshnoise), “Pink Drug: Mono No Aware” (フィンランド: Hammastrats)を出してもらっています。


K2 CDR作品 “Brainwash Education” (2010)


K2 CDR作品 “Oogonia” (2000)



K2 CDR作品 “Target To Nowhere” (左は鉄板装丁で特別限定盤) (2009)


K2 CDR作品&CDV “Drug Delivary System” (1999) *CDVは今では規格外なので再生出来ないです。


K2 CDR作品 “Pink Drug: Mono No Aware” (2003)

 そして、それに加えて、国内のレーベルからもCDR作品として”Galeomagnetism” (京都: ParaDisc)や”Diazo Aesthetika”(名古屋: SSSM)、フランスのChristian Renou(Brume)とのコラボ作品”Untitled Collaboration”(名古屋:Test Tone Music)”なんかも出してもらっていました。


K2 CDR作品 “Galeomagnetism” (2000)


K2 CDR作品 “Diazo Asthetika” (2000)


Christian Renou (Brume) & K2 コラボ・スプリットCDR作品 “Untitled Collaboration” (2011)


 ただ、多くのレーベルでは、割と100部前後の限定もので、装丁の完成度もバラバラでした(と言ってる自分はどうなんだ!と言われるとぐうの音も出ませんが、、、)。

 その後には、CD, レコード, CDR, カセットに加えて、ネット配信と言う音楽の形態も出てきました。それが良いのか悪いのかは、リスナーによって意見も違うし、一長一短もあるとは思いますが、私個人としては、レコードとか46分〜60分カセット作品が一番しっくり来ますね。その次はCDかな? 何故かと言うと、レコードとかカセットって、A面とB面があるので、A面が終わったら、わざわざひっくり返してB面を聴くと言うちょっとした行動が、耳休めに丁度良いからなんです。CDは、単純に音が良くて/クリアーで、長持ち(初期のCDは20年も保たないものもあるようですが)するからだと思ってます。また、ここら辺のことは後で纏めて書いてみたいですが、取り敢えず、今回はここまでとします。続きは、また気が向いたら、、、ね!