GW序盤に、またもや現代ノイズ進化論でDummuneに出演してきました。NEdSのオーナーU氏と充分に打ち合わせしておらず、殆ど、現地での軽い打合せだけで、ほぼほぼアドリブで進行しましたが、まあ、当日は元SPKのTone Generatorのライブもあって、皆さんどこに行くか迷っていたも思いますので、そこそこ気楽にやらせてもらいました。まあ、観客はそんなこんなでイベントが重なってちょいと少な目でしたが、、、。しかしながら、最初からトラブル発生!MCの宇川直広さんが放送開始時間になっても現れず、皆んなどうした?どうした?とやや心配になってきてはいましたが、取り敢えず、SPKのビデオを流しつつ、宇川さんの到着を待っていました。すると、スタッフの1人が「宇川さん、今、1階に着いたようです」と。この時点で、5〜10分位押していて、暫くして、宇川さん登場!本人曰く「痔が酷くて、遅れてしまった」とのこと。それで、何の打ち合わせもなく、宇川さんが、「現代ノイズ進化論」本論に入ろうとしたところで、NEdSオーナーU氏が、「先ずは、K2先生の1990年代末(第二期K2の終わり)から2000年代(第三期K2の始め)までをやりましょう」と流れを変えてくれましたので、私としては、助かりました。

 と言う訳で、取り敢えず、前回掛けそびれたK2のファーストCD “Metaloplkia”から、1曲目”Ironolost”でスタート。しかしながら、これは選曲ミスだったかなぁ?と反省。リズムがある曲とリズムレスの曲があって、話を繋ぐにはリズムレスの曲の方が良かったのですが、敢えてリズムのある曲を掛けたら、宇川さんの反応も薄く、「嗚呼、失敗したなぁ」と心の中で反省しました。

K2 CD “Metaloplakia”(1994年)より”Ironoklast”


 それで、このCDを通じて、独逸の実験ノイズ・レーベルSelektion(ゼレクチオーン)のRLWことRalf Wehowskyと知り合い、お互いにコラボをし合ったのと話へ、強引に持っていき、本来ならRLWのCD5組”Talpus”を紹介すべきでしたが、手元になく、RLWのテキストCD “Pullover”を掛けました。宇川さんは「これは5分位聴かないといけない」とおっしゃってましたが、如何せん「無音系ノイズ」でもあったので、適当に切り上げました。そこで、1990年代に出てきた音響系ノイズの究極の形態「無音系」の話しへ。まあ、このCDは、Markus Casperが書いた独逸語テキストを各アーティストに配り、それを朗読したり、歌ったりした音源を集めて、RLWがそれらを変調・加工・コラージュして作り上げた作品であるとネタバラシしました。最初、1曲目を掛けたいたのですが、私やChristian Renouの朗読が入っている6曲目を掛けたら、偶々、俄然良い塩梅の曲が掛かって、嬉しかったですね。

RLW CD “Pullover (1986年) より1曲目”Atmosphereと6曲目”Reise”


 そんな中、音響詩やSound Poetryの話しへズレ混んだので、ここぞとばかりに、Z’evが本名名義Stefan Weißerで、Subterranean Recordsから出していたシングル”Poextention”を掛かることに。これには、宇川さんも喰らいついてきて、意味の無いテキストに基づいて、人の声を当時のテクノロジーを駆使して作っていたとの話しで盛り上がりました。

Stefan Weisser 7”EP “Poextendion” (1981年)よりA面”Poextension” at 33 1/3回転にて再生


そうして、Subterranean Recordsと繋がりで、当時、SFに住んでいて、私も大ファンてあったFripperの”Sex Bomb (シングル・ヴァージョン)”をやや強引に掛けさせて貰いました。日本の放送で、Flipperが掛かったのって、初めてじゃないかな? NEdSオーナーU氏は「後半の方が良いね。コラージュが入っているから」と言ってました。まぁ、Flipperも、ドラムのSteve DePaceとギターのTed Falconiしか居なくなってしまったのが残念との声もありました。 

Flipper 7”Single “Sex Bomb/ Brainwash” (1981年) よりA面”Sex Bomb (single version)” 


ここで、話しをノイズ・ミュージックに戻し、1990年代にCDRを焼く機材が出てきて、割と安直に作品化出来ることのリスナーと作者との間合いがより重要になってきたと宇川さんからの指摘があり、それだったら、カセット作品の方が良いのではとの意見やカセットの耐久性やCDRの媒体としての脆さなどについてのお話しが続きました。ここで、そう言う中で、声についての話しになり、灰野敬二氏のヴォーカリゼーションの話しから、私も録音する時やミックスする時に、他の楽器/非楽器音はフェーダーを上げて行くと潰れていきますが、声は最後まで潰れずに残ると言うことで、音楽における声の重要性とか存在感について、宇川さんと私とで納得していました。そんな話しで盛り上がっていたら、Self Abuse RecordsのCDR専門のサブ・レーベルSolipsismからリリースされたK2 “Schizophreniak Signal Transduction”の第1曲目を掛けて貰いました。この頃は、メタル・ジャンクの演奏をカットアップ・ミックスする方法論も円熟期でもあったので、メタル・ジャンクだけでなく、アナログ・シンセRoland SH-101や自作楽器Friktorでエフェクトを通した音も使った時期だと説明しました。このタイトルには裏話があるのですが、今回は、その話はパスしました。また、NEdSオーナーU氏は、「Solipsismはノイズ・ミュージシャンの登竜門だあった」とコメントを貰えました。

K2 CDR “Schizophereniak Signal Transfuction” (1998年)より”Part 1”


そうして、ここら辺で、そろそろ時間が程良くなってきたので、後、2〜3曲掛けて、本題の「現代ノイズ進化論」にいきましょうと。それで、次に選んだのが、K2/Allan ZaneのセルフタイトルのスプリットLPから、K2サイドの曲”Mirror For Colored Sin”を掛けました。これは、ちょっと先に進み過ぎたのですが、フィードバック・システムとエフェクターとドラムマシンTR-606を使った電子音をカットアップした作品で、ドラムマシンを使っていながらもノン・ビート長尺の曲で、途中で聴き終わって、宇川さんが「いつまでも聴いていられる」と言った感想は大変嬉しかったですね。それで、トニさんにも感想を求めた所、「眠くなってきました」との感想を聞いて、故)田野幸治氏も「自分のノイズを聴いてると、波長が合うからか、眠くなってしまう」との話をして、私も「寝る前には自分のノイズを聴きていると熟睡できる」との話しに発展していきました。それと、ジャンク・エレクトロニクスを演奏していると言った私の話しに、宇川さんが、「ミキサーがあれば、楽器要らないじゃん!」と反応。面白かったです。

K2 / Allan Zane splitLP (2014年) “s/t”よりK2サイド”Mirror For Colored Sun”


そうして話も盛り上がってきましたが、最後の曲は、Incapacitants & K2 “We Are All Stupid” CDからHeaven’s Doorでの2組3人でのコラボ・ライブを掛けて貰いました。この作品は、最初は、ギリシャのレーベルAbsurdからCDRフォーマットで、ヤスリと共にパッケージされていたのですが、ギャラ代わりにもらった現物を見ると、盤面が傷付いたり、削れていたりして、再生出来なかった多くて、クレームが多かったのですが、New Forcesからの再発版ではCDとなり、そのような当面の心配はなくなりました。またここでもCDR論争が少し盛り上がりますが、最後は、第二期K2のK2のライブ機材の話しで、カセットMTRのアウトプットを直にアンプに入れて、とんでも無い爆音を放射したいたことを少しだけ、お話ししました。また、この作品のタイトルは、The Pop Groupのシングル”We Are All Prostitute”とIncapacitantsのボックスセット”Stupid Is Stupid”を合わせて、名付けられています。

Incapacitants / K2 CDR (1998年) “We Are All Stupid” [オリジナル]


Incapacitants./ K2 CD (2020年) “We Are All Stupid”より3曲目”Live At Heaven’s Door, 11/12/1987”


これで、大体21:00前までで終わりまして、私は疲れていたので、この本編には出演しませんでした。客席でジンジァエールを飲んで、1983年の欧州・英国のノイズを、私の代わりに佐々木くんも到着していたので、交代しました。個人的には、万全の体調ではなかったけれども、本当なら楽しめました。宇川さん、NEdSオーナーUさんと店員トニさん、Zoo Tapesの佐々木くん、Dommuneスタッフの皆さんそして観にきてくれた観客の皆さんとご視聴者の皆さん、どうも有難うございました!

本楽なら、6/10にも誘われていたのですが、体調不良と週初めとのこともあり、6/10は出演できませんでした。次々回は必ず出演したいですねえー!