核兵器のない世界を目指して考えるシリーズ2作目です | きんけい図書館

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児童書を中心に、おすすめの本を紹介します。
お子さんはもちろん、大人の方もぜひ読んでほしいです。
私が地元の図書館で見つけた素敵な本たちです。

「わすれないヒロシマ・ナガサキ②核兵器のない世界へ」 安斎育郎さん文/監修、核兵器廃絶のために考えることを訴えたシリーズ、2作目は広島、長崎の悲劇のあと、現在に至るまでのことが書かれています。

 

 世界で核戦争の危機があったこと、キューバ危機は一歩間違えば核戦争、そして人類滅亡でした。その後、核兵器禁止条約がどのように生まれたか、現在に至るまで被爆者の方々が努力し続けてきたことがたくさんあります。放射能による健康被害だけでなく、差別や偏見にも苦しみながら、こんなつらい思いをするのは自分たちを最後にしようと国連などで訴えてきました。そして、昨年のノーベル賞授賞式では田中さんが核兵器廃絶を訴えました。

 世界では原爆をどのように教えているか、とても差があるのが現状です。アメリカでは戦争を終わらせるために必要だったと考えている人がまだまだ多いのが現状です。日本が侵略したアジアの国々では原爆によって解放されたと考えている方々もいます。

 原爆で被害に遭ったのは日本人だけではありません。戦時中、日本に連れてこられた韓国の方、被爆後、海外に移住した日系人の方々もいますし、広島・長崎ではなく、その後の水爆実験で放射能被害を受けた方たちやウラン採掘、実験場のせいで被爆した方たちもいます。そういった方々は高齢化が進み、これからは新しい世代にどう伝えていくかが課題となっています。

 

 私の住む市も非核宣言をしています。被爆者の話をどう伝えていくか、高校生がSNSを使った活動をしたり、署名活動をしたり、伝えていこうという動きには頭が下がります。日本だけでなく、世界の被爆者に救いの手を差し伸べ、本当の平和を目指す行動を起こすのは今しかありません。この本にあるように、日本を含めた核の傘に頼っている国々に対し、本当にそれでいいのかを問いかけながら、核兵器禁止条約批准国を増やして核保有や抑止力に頼ることが圧倒的小数になるようにしていくのが平和的な進め方です。日本こそ、変えていかなければいけません。世界で唯一の被爆国なのですから、世界の非核化の先頭に立つべきです。

 この本の最後は知るための資料がたくさん紹介されています。広島と長崎の原爆関係の地図に、日本中の関係する博物館や資料館が載っています。広島の平和資料館に行ったとき、その内容のすさまじさに見終わってげんなりしました。戦争についての資料は残酷で悲しいことだらけですが、そういったことから目を背けてはいけませんね。私ももっと勉強する機会をつくろうと思います。