「魔女の宅急便」の作者、角野栄子さんの作品です。ジブリの映画にもなっていますが、そのイメージで読み始めると思いっきりギャップがあって驚くかもしれません。読みやすく、低学年のお子さんから読めますが、大人が読むとまた違った楽しみがあると思います。なんともいじわるおばあさんと月さんやおうちのスミコさんの関わりがなんともおかしいです。
森の中の一軒家に一人で住んでいるザザさんは朝から晩までもんくばかり言っているおばあさんです。ある夜、ザザさんの家、スミコさんがもうがまんできないと家出を始めます。おこったザザさんが追いかけていくと、騒ぎに驚いた月さんに会います。わけを聞いた月さんは、いつも怒ってばかりのザザさんに、面白い話をする約束をします。スミコさんも家出はひとまずとりやめることにしました。
次の日から月さんはザザさんの家に来て、いろいろな話をします。「夕焼け小焼け」の歌の歌詞を間違えた女の子が落とし穴に落ちてしまって大変だった話をしたと思ったら、次の日はお風呂に月さんも入って、森の木3本も来てしまったり、夢が風船に入って飛んでいくことを教わったり、月さんの代わりに雨さんが来たらカエルやナメクジだらけになったり、不思議なことがいろいろ起こります。でも、いじわるなザザさんは無理してつまらなそうにしています。そんな姿がクスリと笑えます。
素直になれないザザさんも少しずつ話を聞くようになります。一緒にオムレツを食べたり、逃げ出した影を探しに行ったり、月さんに激辛カレーを作るのはいじわるでしたが、その後はお父さんの思い出の椅子の話になります。後半はちょっと変わってくるザザさん、犬と海坊主の友情の話やお父さんの椅子に関係する話は少ししんみりできます。
じつは、イラストも角野さんご本人が描いています。味のある絵も魅力の一つと言えます。いじわるなおばあさんのおもしろいお話、読んでみませんか。