気になる言葉 <第864回> | MIKEのブログ

気になる言葉 <第864回>

第三十五侯「大暑」の次侯、『土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)』になります。

土が潤い蒸し暑くなるころ、という意味ですが、沸き立つような蒸し暑い日が続いています。蒸し暑いことを「溽暑(じょくしょ)」、暑さの盛りを「極暑」、過酷な暑さを「酷暑」、燃えるような暑さは「炎暑」と言いますが、このところ連日35℃以上の「猛暑日」が続いています。

あまりの暑さに、ちょっと一休みがほしいのですが、全く容赦がありません。

 

朝散歩はこの暑さを少しでも避けるため、5時前に出発するようにしていますが、気温の方は、早朝でもまだ十分下がらず、29℃止まりとなっています。

 

<写真1>

 

朝日が昇り始めると、散歩道の脇に百日紅の花が湧き立つように咲いているのが目に入ってきます。猿滑とも書きますが、両方とも「さるすべり」と読みます。

 

<写真2>

 

百日紅の方は、「約100日間、ピンクの花を咲かせる」ところから、また猿滑は、幹が滑らかでサルも登ることができないというところから来ているようです。

ただ、いずれにしても同じ花が百日も咲き続けることはなく、一度咲き終わった枝先に、新たな花が咲き続けることのようです。花の色には紅、白、ピンクなどがあります。

 

坂道を下れば白い百日紅 (黒田さつき)

百顔に百の笑みあり百日紅 (小澤克己)

散れば咲き散れば咲きして百日紅 (千代女)

 

名前に「すべる」という言葉が含まれていることから、受験に落ちたり、運気が下がったりするため縁起が良くないと言われていますが、すべて迷信ということです。むしろ滑らかな幹に子どもが登って落ちたら危ないというところから、庭木としては避けられているようです。

 

昭和2年に夭折したクリスチャン詩人、八木重吉に『百日紅』という詩があります。

 

さるすべりをみたらば

たくさんに

いい花がさきみだれてゐた

紅くて

そっとわたしの肩をたたくようなきがした

 

また、韓国には百日紅に関する悲しい言い伝えがあります。

「ある海岸の村には毎年海の水難を鎮めるために竜神に娘の生贄を捧げる風習がありました。そこを偶然通りかかった王子が竜神を倒して娘を助けました。

人目で恋に落ちた二人でしたが、王子は旅の途中だったため、100日後に帰ってくることを約束します。しかし、娘は王子が帰ってくる前に病気で亡くなってしまいます。

その娘のお墓がある場所には一本の木が生え、赤い花を咲かせていました。その花は百日間咲き続け、百日間待った娘の生まれ変わりとされ、「百日紅」と呼ばれるようにな

ったということです。」

何だか悲しく、かわいそうな話ですね。

 

 

 

今週の<気になる言葉>は、二年前に亡くなった稲盛和夫さんが、母校の鹿児島大学で講演した時の言葉です。

「あなたの現在の状態は、すべてあなたの心の反映であり、その考えや思いを抱き、実行してきたことを積分したものが、今後の人生となっていきます。」

という言葉ですが、確かにそうですよね。それぞれの自分が思い考えたことの集積が今の姿に反映され、その人の人生を形作っているわけです。

そういう意味では、結果は自分自身の責任であり、誰にも文句を言えないわけですし、運が悪かったと自分以外のせいにして嘆いてもしょうがないのです。

「蒔いた通りの花が咲く」と言われる所以でもあります。

 

 

 

今週の<旅スケッチ>は、ある夏の朝、二人の子どもと母親が散歩に来ていたのですが、子どもたちがかわいい花を見つけて採りに行ったときの様子です。

 

 

暑さも忘れて花を摘んでいるその様子が、見ていて何となく微笑ましく感じられました。

夏の野に咲く花と言えば、オモダカ、タカサゴユリ、ヒメジョオン、ヌスビトハギなどが挙げられますが、何が採れたのでしょうね。

川の堤に咲くいろいろな草花の感じを出すために水彩絵の具だけでなく、水彩鉛筆なども使ってみました。人を描くのが苦手で、雰囲気だけでもお楽しみください。

 

 

 

今週の<朝の散歩道>の一枚目は、酷暑の中をメスを求めて懸命に鳴くオスの油蝉の様子です。

 

 

アブラゼミは、この辺りでは最も馴染み深い蝉ですが、羽が赤褐色なのでよく目立ちます。

そのせいか、ヒヨドリやカラスなどに捕らえられることも多いようですね。理由はよく分かりませんが、このように羽が透明でない蝉というのは世界的にも珍しいそうです。

その名前の由来は、羽が油に濡れたようないろであるから、とか油で何かを揚げているような音を出すからという二説があるようですね。

 

一幹に風熱くなる油蝉 (ほんだゆき)

樹の裏へ鳴きつつ隠る油蝉 (常坂幸次郎)

油蝉午後を通して鳴き継げり (蔵澄茂)

 

二枚目は、散歩道のそこかしこで見るランタナの花です。

 

 

ランタナは小さな花が集まって手毬のように丸く咲く可愛らしい植物です。近づいてよく見ると小さな赤や黄、ピンク、紫などの小さな花が身を寄せ合うようにして咲いています。

いかにも鮮やかでカラフルな花の様子は見る人の心を明るくしてくれますね。

花言葉は、「心変わり」だそうですが、実際にそれらの色も時間が経つと変化するそうで、色の七変化から来ているようです。

ただ、よく分からないのが、ランタナは国立環境研究所の「侵入生物」とされており、有害植物だとか、多種の虫や菌の寄生、ネズミの巣になったりするそうで、何だか恐ろしげ

なことが書いてありました。

可愛い花に見えるのですが、実はややこしい花なのかもしれませんね。

 

 

 

1.「あなたの現在の状態は、すべてあなたの心の反映だ」

              ー稲盛和夫(京セラ創始者)ー

 

京セラの創始者であり、KDDIを設立し、JALの会長に就任して、その再建を果たすなど、数々の驚異的な活躍をした稲盛和夫さんが逝去してから、二年が経とうとしています。

今さらながら稲盛さんの果たした功績の大きさに驚くことが多くあるのですが、その背景にある「稲盛哲学」について、自身の母校、鹿児島大学で若い人に語った内容が本に

まとめられていました。今、私の座右の書の一つにもなっています。

 

皆さんは必ず物事を考えて実行に移します。考えや思いを抱き、それを実行してきたことを積分したものが、今後の人生となっていきます。

たとえば、稲盛和夫という男は生まれてから今日まで80年近く、その間に自分が思ったことしか実行してきませんでした。

自分が思わなかったことは何もしませんでした。

ですから「あなたの現在の状態は、すべてあなたの心の反映だ」と言えるわけです。心で思ったことをしてきたのが現在ですから、今の状態については誰にも文句が言えない。

全部、貴方が心で思った通りのことが起きているのです。

思ったことを実行してきたことの累積が今日をつくっている。思ったことを必ず実行するのが人間であり、その結果が現在をつくっているわけです。

 

たしかにその通りだと思いますね。例えば科学技術の発展にしても、「もっと便利なものを」という人間の欲望が土台になってきたと感じます。

「空を飛べないだろうか」という思いから頭を使い、知恵を出し、次から次へと研究した結果が飛行機の発明に繋がってきたわけですが、私たち日常のことについてもこれと同じで、考えてきたものが積み重なった結果、その人の人生を形作っているのです。

 

このことで思い出す、中村天風の言葉があります。彼は松下幸之助をはじめ、多くの著名人に多大な影響を与えた人ですが、その中に「考えたことが鋳型となって、その考え

た通りの人生を形作っていく」という箴言があります。

つまり、その人が考えたことが、そのままその人の人生をつくっていく。まさに、「蒔いた通りの花が咲く」のです。

だから、苦しくても決して消極的な気持を持ってはならない、という励ましの言葉でした。

 

それではまた。