気になる言葉 <第849回> | MIKEのブログ

気になる言葉 <第849回>

四月も中盤に迎い、春真っ盛りの季節になりました。

第十四侯の『鴻雁北(こうがんきたす)』になりますが、冬を過ごした渡り鳥の雁が温かくなる前に北国へと帰り去る頃、という意味ですね。春の象徴の一つです。

 

朝散歩の途中で見た赤い色の名鉄電車です。何だか春の季節の中を走っていくような爽やかな感じがしました。私の中では春を実感する風景です。

<写真1>

 

しばらく歩くと散歩道のそこかしこに満開のタンポポの花が目に入ってきます。とくに温かい朝は早朝から一斉に花を咲かせ始めます。

<写真2>

 

この辺りで咲いているのほとんどが帰化植物の西洋たんぽぽですね。日本古来のタンポポは関東タンポポですが、今や西洋たんぽぽが日本オリジナルであるかのような顔をしています。

花が咲き終わると白くフワフワした綿毛になりますが、その様子が「たんぽ」(綿を丸めて布で包んだもの)に似ているから「たんぽ穂」と名付けられ「たんぽぽ」になったと聞きました。

ついでですが、風に乗っていくタンポポの穂が耳の中に入ると厄介だ、と子どもの頃に聞いたことがあります。今はどうか知りませんが、、、。

 

アメリカでは強すぎるせいか、タンポポは嫌われていました。庭の手入れをしていない象徴として「この庭は荒れてるなあ、タンポポだらけだ」と言うそうです。私のアメリカ出向時代にも借りた家の庭を手入れをするように時々アドバイスを受けました。

ちなみに英語名は「ダンデライオン(ライオンの歯)」で、独特の葉のギザギザを荒々しい獅子の歯並びに例えた言葉だそうです。可愛い花のことを言わずに葉のことを言うのは何となくかわいそうな感じもしますね。

 

太陽の色に似たくてたんぽぽ黄 (遠藤タミ子)

畦道のたんぽぽ視野をはみ出せり (穴澤光江)

蒲公英がたんぽぽとなる風の中 (塩見恵介)

 

タンポポの根は深く伸びて、なかなか抜けない強さを持っていますが、そんなタンポポの強さを唄った仏教詩人、坂村真民さんの『タンポポ魂』という詩があります。

 

踏みにじられても

食いちぎられても

死にもしない

枯れもしない

その根強さ

そしてつねに

太陽に向かって咲く

その明るさ

わたしはそれを

わたしの魂とする

 

小さいときから辛いことや悲しいことを一杯体験してきた真民さんにとってタンポポは自分自身であり、どんな逆境にあっても、なお太陽に向かう如く前に向かって進んでいこうという、生きる力の源として捉えていたんですね。

 

 

 

今週の<気になる言葉>は、エッセイストで”暮しの手帖”編集長でもある松浦弥太郎さんの本からの気になる言葉です。

人の話を聞くというのは、易しいようでなかなか忍耐の要ることでもあります。人の話を聞かなくて自分の意見ばかりを押し付けたり、無駄な話をしたくない、とばかりに効率ばかりを優先したりするところに良き人間関係は築けません。

時には無駄な時間もとても大切なのです。

人間関係に効率化ばかりを優先すると、何となくギスギスした雰囲気になり、いわゆる軋み(きしみ)を生むようになりますからね。

一回きりの関係ならともかく、長く付き合っていきたいなら、あまり効率とかムダを無くす、などと言い過ぎないほうがいいような気がするのです。

とくに、無駄話が不得意な男性の人は要注意です。

 

 

 

今週の<旅スケッチ>は、朝散歩でのタンポポの話題が出ましたので、以前北海道で見たタンポポが一面に咲く風景を絵に描いてみました。

 

 

 

うねるような広大な草原に黄色いタンポポが咲きひろがっていました。遠くに山が見えますが、そこまでずっーと広がっているような印象を受けました。

 

近くの花は大きく細かく描いて遠近感を出すようにしました。また、黄色い花の間には蓮華のような小さな赤い花も咲いています。

いろんな色が反映し合って共存しているように描くのがいいと、先生のアドバイスがありました。

実際の写真とか人間の目にはそういう色の反映は現れていないのですが、人間の脳の中では共存するから、というのがプロのアドバイスです。さすがですね。

そのために、いろんな色の反映をバランスを考えて、パステルなどを上からかけるようにしてみました。

 

 

<朝の散歩道>の一枚目は、ツルニチニチソウ(蔓日日草)が竹林のそばで咲いている様子です。

 

ツルニチニチソウは明治時代に園芸植物として日本に渡ってきたものだそうで、繁殖力が旺盛であることから野生化したものが定着して広く分布するようになりました。

地中海沿岸が原産地で、紫色のプロペラ状の5弁の花をツル状に伸びた茎の先につけています。また、常緑で冬の間も枯れないことから不死の力や魔力を持つと言われてきた

ようです。

名前はもともとあった日日草そっくりな花を咲かせ、ツル性であることからきたもので、今では、グランドカバーなどにも使われていますね。

 風薫る小道に揺るる蔓桔梗 (遊雀)

 

二枚目は、見た目もかわいいペチコート水仙の様子です。

 

花冠の広がった黄色いペチコート(Petticoat、 スカート状のもの)のような花を一茎に一花だけ咲かせます。花の形がとても印象的で、記憶に残る花ですね。

もともとは地中海沿岸域を中心に森林の開けた場所などに自生していたようです。

 

『ペチコート水仙』という白星トキオさんの短い詩があります。

黄色い口を尖らせた

野の花の名を知りたくて

調べて顔が赤らんだよ

君の名はペチコート水仙

青い純真恥ずかしかった

 

 

 

 

1.「人間関係に効率を求めはいけません」

               -松浦弥太郎(エッセイスト)ー

 

「それはそうと、、、」「ところで、あの話だけど、、、」こうやって人の話の腰を折ってはいないでしょうか? 

私もエラそうなことは言えませんが、最近とくに雑談でもミーティングでも、他人の話を遮ってまで自分の話をしようとする人が多すぎるような気がします。このことについて松浦弥太郎さんが、エッセイ集の中でこんな風に分かりやすく語っていました。

 

相手がまだ話し終わっていないのに強引に別の話をしたり、人の話に途中で割り込んだり、おそらくこれも、自分が場をコントロールしたい、支配したいという「我」の表れなのでしょう。せっかちだから、時間がないから、だらだら話す人を遮りたくなるのかもしれません。しかし、話が多少長引いたところで、たかが知れています。

あらゆる人間関係は、話をきちんと聞いていさえすれば、うまくいくもの。恋愛関係でトラブルが起きるのは、たいていどちらかが話をちゃんと聞いていません。

聞いているふりで上の空だったり、その場を早く終わらせるためのいい加減な相槌を打っていたりするから、こじれるのです。謙虚になって相手の話にひたすら耳を傾けましょう。

急がずに、じっくり、ただ聞いてみましょう。そうすれば、お互いの間に流れる空気は確実に変わります。

 

仕事でも同じことですよね。「人間関係に効率を求めてはいけません」、せっかく時間をやりくりして、電車を乗り継いできたんだから、この日のうちに商品を紹介したい、などと畳みかけるように打ち合わせを始めたら、相手は引いてしまいます。たった一回で終わる関係ならいざ知らず、関係を続けていきたい、絆をつくりたいのなら、ゆっくり話をするだけでなく、まず相手の話を聞くことから始めるべきではないでしょうか。

 

「初回は”無駄な時間の無駄話”くらいで人間関係の土台を作っていく方がむしろいい」という指摘もその通りですね。

そういえば、若い頃先輩から雑談の大切さを教えられたことがあります。

「世の中には雑談でしか伝わらないこともあるし、雑談が話し相手との潤滑剤になることもあるんだからすべてをムダと思うな」と。同じように人間関係の基本を教えてくれていたのかもしれませんね。

 

それではまた