気になる言葉 <第846回> | MIKEのブログ

気になる言葉 <第846回>

「立春」の末候}『魚上氷(うおこおりにのぼる)』です。

川や湖の水が温かくなり、割れた氷の間から魚が飛び跳ねる時季、ということでしょうか。梅の花も盛りを過ぎて、次はいよいよ桜の時季の到来です。

 

寒さはまだしっかり残っていますが、三月に入って日の出にも何となく春の気配を感じる日が続いています。散歩道の脇にある大きなメタセコイアの木の間から光輝く朝の太陽が見えていました。

<写真1>

 

しばらく歩くと山茱萸(さんしゅゆ)の黄色い花が見えてきました。「茱萸」はグミのことで、秋になるとグミのような赤い実が生るということからでしょうか。もちろん食べられるのですが、最近では食べていることを聞きませんね。

この黄色い小花は30個ほどが集まり、直径数センチの小さな花房を作っています。

春一番に黄金色の花を咲かせることから「春黄金花(はるこがねばな)」とも呼ばれています。原産は中国と朝鮮半島で、日本に渡来したのは江戸時代中期だそうです。

<写真2>

 

山茱萸の黄の明るさに向へらる (大橋晄)

日の粒子ぷちぷちと山茱萸の花 (細川洋子)

さんしゅゆの花満開に春を告ぐ (原田たずゑ)

 

三月というと室生犀星の『三月』という詩がありましたね。

 

うすければ青くぎんいろに

さくらも紅く咲くなみに

三月こな雪ふりしきる

雪かきよせて手にとれば

手にとるひまに消えにけり

なにを哀しと言ひうるものぞ

君が朱なるてぶくろに

雪もうすらにとけゆけり

 

七五調がベースのリズムが心地よく感じる詩ですね。「青」「ぎん」「紅」「朱」と色彩も豊かです。「君」というのは思いを寄せる女の子のことでしょうか。「君が朱なるてぶくろに」白い雪が融けるイメージが鮮やかで瑞々しく感じます。

 

 

 

今週の<気になる言葉>は、セブン&アイホールディングス名誉顧問である鈴木敏文さんの対談記事からの言葉です。

昔から私のモットーは「変化対応」。変化は当然起こるから、あらゆる変化に対していかに対応するかを考えていくことが大切だと。変化の激しいこの時代に、過去の成功事例にすがりついていたら、失敗が多くなる。

この考えに基づきいろんなチャレンジをしてきたのですが、それは奇をてらったものではなく、世の中の変化を読み取り、素早く対応していくための案だったのです。

私もコンビニでおにぎりを売り始めたり、おでんを店頭で提供したりしたのを見た時は心底驚きました。

元祖のアメリカのコンビニでは決してあり得ないやり方だったと思います。それが今では当たり前になってきたような人気ぶりです。

過去の常識に囚われない鈴木敏文さんの柔軟な発想と実行する勇気には脱帽ですね。口で言うのは易しくても、実際にはなかなかできないことです。

 

 

 

今週の<旅スケッチ>は、阿久比図書館展に出すために描いてきた『半田運河界隈』という4枚組の作品の最後の一枚です。

 

 

この作品は、運河(十ケ川)を海側から見た風景です。左の建物は古いミツカンの倉庫を改造して現在ミツカンミュージアムになっているところです。遠くの運河の途中にかかっている橋は源平橋と呼ばれています。

古くからあるミツカン倉庫の古い雰囲気とそれらが水面に映っている様子を透明水彩絵の具とパステルをつかって表現してみました。

静かな半田運河の初秋の雰囲気をお楽しみいただければ、、、と。

 

 

 

<朝の散歩道>の一枚目は、早春の田んぼに現れた雉(キジ)の姿です。

 

雉はこの辺りでは一年中いる留鳥ですが、一月十五日頃が七十二侯『雉始雊(きじはじめてなく)』になっています。この頃から少しづつ雉の活動が始まり、オスは赤い顔と派手ないでたちになって春本番の繁殖期に備えていきます。

その頃になると、甲高い声とバタバタという激しい羽ばたき(ほろうち)も聞こえてくるようになります。このほろ打ちもうまくやらないと、それこそ「けんもほろろ」になってしまいますから、真剣です。

鬼退治ではありませんが、気性はけっこう荒く、縄張り争いも結構熾烈ですし、アオダイショウなどの蛇にも襲いかかっていきます。

 

二枚目は、白い日本水仙にやや遅れて、真っ黄色の花を咲かせているキブサスイセン(黄房水仙)の咲く様子です。

 

原産はフランスやスペインと言われていますが、大正時代に渡来したようです。また香りが強いために「ニオイスイセン(匂い水仙)」とも呼ばれます。

 

黄水仙朝が明るく来てをりし (橋本佐智)

しあわせの香りのやうな黄水仙 (内藤紀子)

過ぎてゆく時間刻々黄水仙 (稲畑汀子)

 

 

 

 

1.「昔から私のモットーは『変化対応』で、過去を捨てろと言いたい」

ー鈴木敏文(セブン&アイホールディングス名誉顧問)ー

 

全国2万店舗を超える日本最大のコンビニチェーン「セブンイレブン」をゼロから創り上げてきた鈴木敏文さんが、同じく100円チェーンをゼロから立ち上げた矢野博丈さんと語り合った「不可能を可能に変える経営哲学」の記事内容がとても印象的で、”起業の原点”を見る思いがしました。

 

昔から私のモットーは「変化対応」。変化は当然起こるから、あらゆる変化に対していかに対応するかを考えていくことが大切だと。変化の激しいこの時代に、過去の成功事例にすがりついていたら、失敗が多くなる。

ですから、過去を捨てろと言いたいですね。世の中が変化している時、常識という過の経験の蓄積に囚われるほど恐ろしいものはありません。私がこれまで既存の常識を覆す数々の挑戦を行い、不可能を可能にすることができたのは、常にお客さんの立場で考え、何が本質なのかを見抜いて、物事を単純明快に発想し、やるべきことを一つひとつ解決してきたからでした。

そうすると、世の中の常識のほうが変わっていくんです。

だからこそ、自分から一歩踏み出す挑戦が必要だと思います。

 

鈴木敏文さんは、例えば今でこそ”お弁当”とか”おにぎり”をコンビニで売るのは当り前になっていますが、始めた当初は1店舗でい1日数個しか売れなかった、と言いま

す。それが今では年間22億個も売れる大ヒット商品です。さらに、”おでん”も同じで、今やコンビニの常識です。

また、セブン銀行を設立したときとか、プライベートブランドを立ち上げた時も始めた時は、すべて大反対されたんだそうです。

 

このように、何かを提案し反対されると「これはやる価値があるな、成功するな」と考え、逆に皆が「いいな」と賛成することは、誰もが考えることですから、あまりやる価値がないし、成功しないと考えてやらない決断をしてきたと鈴木さんは言います。

そう言えば、US時代に同じような話を聞いたことがありました。議長をしていたある会社の創業者が新商品開発会議の決議の席で「この新商品の開発に全員賛成でした。よってこの開発はボツとします」と。

凄い人の発想は、いつの時代もよく似ているものですね。

 

<来週は都合により休みませていただきます>

 それではまた再来週。