私は今、生きている。
何のために生きていくのか、答えは今も出ないまま。
人は、何かを探すために生まれてきたのだという。
少女が歌を選んだのは、歌が少女の呼吸だったからだ。
歌って歌って、歌い続けて、それでもその先に答えはきっとないのかもしれない。
キャンパスを置いてどこかに行ってしまった画家。
残された何百枚もの絵。
とりつかれた様に描き続けた。まるで静かな狂気のように。
あれほど描き続けた画家が何故キャンパスを置いていったのか、きっと誰にもわからなかった。
彼は心を残したのだ。
彼にとっては、描くことは呼吸することであり、生きることであり、彼の存在そのものの証だった。
そして描き続けて何かを知った。
キャンパスを置き去りにして去る瞬間、何を想っただろう。
その真っ白な一ページは、最後に彼の魂を映していた。
そうやって、ひとは生きていくのだ。
白い世界に辿り着いた彼はきっと悟った。
自分の中の何かがそこで終わり、そしてまた新たに始まったのだ。
この場所へ辿り着くために、遠い日、彼はキャンパスに向かった。
どんな迷いがあっただろう。
彼の中には、抱えきれないほどの輝きが存在し、それを何かに残さずにはいられなかった。
彼の中の何かが外に出してと叫ぶ。
自分は生きている、と。
それこそが、止めてはいけない呼吸だったのだ。
その少女にとって、歌うことは息をするのと同じくらい自然なことだった。
大切だった。けれど、歌えないことがどういうことなのか、ちっとも知らなかった。
どんなに苦しいかわかってなかった。
本当に息ができなくなるなんて、どんなに少女の中の少女が叫び続けていたか。
もう一人の少女は、少女の中で、ずっと待っていたのに。
歩いていくなら。
生きてゆくなら。