The Watch on Ameba -2ページ目

The Watch on Ameba

魅惑の腕時計たちを紹介

久しぶりの更新になってしまいました f^_^;

実は実践的な時計の内部を・・・ と思っていたんですけど(練習がてらメカウォッチで)
なかなかメカウォッチのジャンクが見つからなかった (;^_^A

そうこうしているうちに愛用の時計のひとつが止まったんですよ
忘れられない腕時計 (大好きな腕時計 改題) 2010-02-14 (別窓で開きます)

まぁ電池切れなんですけどね


で、ダイバーズの場合は普通メーカー送りにしてオーバーホールを兼ねて
ISO準拠の検査を行ってもらうのが普通なんですけど

過去に使っていたのはセイコー(潜水士時代はプロフ画の600m)がメインで1度だけシチズンも使い
いずれも同じ扱いだったのは日本製だからなんでしょうね

と言うのはダイバーズウォッチのISO化を提言したのは日本なんですよね

当時の諏訪セイコー舎で特殊時計を主に手掛けていた
”徳永 幾男(とくなが いくお)” 氏の働き掛けでダイバーズウォッチのISO規格ができたんですね

で、このダイバーズ(?)はダイヤルにこう書いてあります

AIR DIVER Ⅱ
WATER RESISTANT
10ATM
ALL STAINRESS STEEL

この4行の意味は
空気潜水を意味する ”AIR DIVER” に Ⅱ が付いているのでダイバーズの規格の
”AIR DIVER” と ”PROFESSIONAL DIVER” ではなくてシリーズかモデル名と判断できる

飛ばして4行目はケースの素材ですねステンレスって事ですけど、決定的なのは3・4行目

”WATER RESISTANT 10ATM(ATM=大気圧と言う圧力単位)” って事は10大気圧防水って意味だけど
ISO規格では第一項目に「少なくとも100mの防水能力を有する」ってあるんだ

時計の防水性能で水深表示(300mとか1000ft)がされないで、相当圧で表示されているって言う事は
10ATM(他にBARとかPa(pascal)がある)の水深100mに相当する空気中で水を掛ける事への防水、となる

水に浸って活動するダイビングで考えるとあり得ない

腕時計の防水のランクは
防水無し ⇒ 日常防水 ⇒ スポーツ防水 ⇒ 空気潜水用防水 ⇒ 飽和潜水用防水になる

それぞれの検査内容はメーカーで若干違うと思いますが
防水なし、無検査・日常防水、3BARでの乾式防水(リーク)検査機+抜取浸水検査(10cmの浸水で表示圧まで加圧)
スポーツ防水、5BARでの乾式防水(リーク)検査機+抜取浸水検査(10cmの浸水で表示圧まで加圧)

ダイバーズの場合はISOでの検査規格もあって全数に施され
空気潜水、5BARリーク+10cmの浸水で表示水深の1.25倍相当圧に2時間加圧後6時間以内に大気圧に減圧
飽和潜水、5BARリーク+ヘリウムガスに満たされた10cmの浸水で表示水深の1.25倍相当圧に
24時間加圧後1分以内に大気圧に減圧
(他にも検査工程はあるけど、防水に関してはこれが最低限)

オーバーホール時も同じ検査をするはずなのだが
購入時に販売店に電池交換はどうするか聞いた時『当店で出来ます』と答えたのでがっかりした
(どう考えてもそんな設備は無さそうなので、無検査と確信した)

念のため信頼しているメーカーとして、愛用のセイコーのネイビーボーイズを見てみると

㊧ダイヤルには空気潜水用を意味する ”DIVER'S” と水深がメートルで表示
 ㊨裏蓋には同様に空気潜水用を意味する ”SCUBA DIVER'S” の刻印(写真では上方 (;^_^A ちと見ずらいけど)

どうせダイバーズとして信頼できないなら
自分でやっちゃえっ! ってわけです (;^_^A マネしないでね

まずはピンセットかバネ棒外しで片側で良いのでブレス(メタルバンド)を外す


皮やウレタンバンドと違ってブレスは融通が利かず中々嵌らない
6月の盛岡セイコーでの機械式時計セミナーの2日目の初級コースを

『初級コースでは、若干難しくなるメタルバンドで、皮と比べると組みつけが少し難易度が高い』
2011年06月のブログ (別窓で開きます)

と書いたのは、この理由から

スクリューバックオープナーがないのでラジペンで裏蓋を回す
(キズになりますから止めましょうね (;^_^A )


裏蓋が緩んだら手で回して外します


開けてビックリだ ヽ((◎д◎ ))ゝ


なにが驚いたかって、昔作っていたCITIZEN Cal#20系の兄弟機種のCal#21系が入ってる・・・ (;^_^A 懐かしい

TECHNOSになぜCITIZENが入っているかって?
別に不思議じゃないしバッタモンや偽物じゃないんだよね

CITIZENはエボーシュ供給もしているんだよね

時計業界は各パーツから完製品までを一貫生産する事は意外と少なくて
部品や未完成ムーブメントで供給する事をエボーシュ(ebauche)と呼ぶんだ

で、電池交換に関連する(または注意する)各部名称はこんな感じだ
見やすいようにスペーサーを外しました


①”電池押さえ板” 電池と電子回路全体を押さえるプラス側接点です。 コイル側のアームが電池押さえになっていますが
 1個だけ大きなネジは胴付きネジで締め付けても0.3mmくらい浮いていてアームは簡単に開きますが変形に注意

②”コイル” オレンジ色の部品でステップモーターの#RT(ローター)の回転に必要な地場を作ります。
 巻いてある銅線の太さは髪の毛の1/100以下と極細なので指でこすっても断線してしまします。
 (写真のコイルは見えている側にコーティングしてありますが裏面にはないので断線しやすいので注意)

③”封止管(水晶振動子封止管)” この中に水晶発振のための水晶が密閉されていますが衝撃で破損しやすいので注意

④”オシドリ” 切替機構のスイッチの役目とリューズ巻真のストッパーを兼ねる部品で
 ボスから離れた位置にストッパー部を浮かせる位置のパンチマークがあります。

⑤”輪列受け” 機械式から受け継いでいるモジュールでギア比で1つの回転を時・分・秒に変えるモジュール。
 全部で4ヶ所ある窪みはホゾと呼び、歯車の真を立てて給油ヶ所にもなりますのでうっかり触ると油が手に付き、
 機械体は油切れになったり周囲が汚れて止まりの原因にもなります。

”TECHNOS TAM629 の電池交換 ②” につづく

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ダイバーズウォッチと言えば皆さんはどんなモデルを思い浮かべますか?

ドーバー海峡を渡った世界初のダイバーズでしょうか?
発展モデルが宇宙に飛び立ったあのダイバーズ?

日本のダイバーズの伝説はここから始まったと言えますね


国産初の本格的ダイバーズウォッチ
1966年の第8次南極越冬隊にも採用され、極低温下での性能・信頼性が実証され
かの ”植村直己” 氏の愛用した時計でも有名なんだけど

実はこれは1978年4月29日の世界初の北極点犬ゾリ単独行、北極点到達の時の話しで
植村直己氏は当初海外メーカーのダイバーズを使用していたが
ムーブメントの油の凍結で止まり、補給地点に来ていた知人の記者が使用していた
ハック機構付の改良型セカンドモデルと交換して残りの旅を乗り切ったそうだ

植村直己氏のセイコーダイバーズとの付き合いはもっと古く
1970年5月11日、日本人として初めてエベレスト登頂に携行されたのは
1968年に発売された300mプロフェッショナルダイバーズハイビート(10振動)


国産初のプロフェッショナルダイバー向けに開発されたそうですけど
この当時のプロフェッショナルダイバーズは単に深々度防水と言える事が後に唯一の欠点と判明するんですね
つまり、飽和潜水に対応していないと言う事なんです (;^_^A 裏蓋の無いワンピースケースですけどね

潜水病って聞いた事はあるでしょう?
高気圧障害と潜水障害の中で特に ”減圧症” を差すんですけど

血液中に溶けたガス(呼吸による気体)が圧力の変化で血管内で気泡が発生してしまう事なんですけど
防止策として、血液中に溶けたガスを予測して、特定の水深に一定時間留まりながら水面に浮上するんですけど

潜水病は他にもあって
圧力が増し、空気の大半(約80%)を占める窒素の濃度が240%(分圧でp2.4)に相当する
水深30m付近から麻痺作用が現れ ”窒素酔い” と呼ばれる状態に陥りますし

更に圧力が増し、大気圧では空気の20%の酸素が200%(分圧でp2.0)に相当すると
酸素の毒に犯される ”酸素中毒症” にも陥ります

これらの高気圧障害と潜水障害を緩和させるために空気で呼吸するのではなく
深度が深まると人工の混合ガスで呼吸しての潜水になるんですけれど
時間の経過とともにいずれのガスも身体に溶け込まない ”飽和状態” になります

飽和状態になると、元の大気圧環境に戻るためにゆっくりと時間をかけた減圧に
必要な時間は変わらなくなります
この性質を利用したのが飽和潜水(Saturation diving=サチュレーション・ダイビング、SAT=サットとも略される)

飽和潜水用エレベーター(ダイビングベル)


このベルで作業水深まで低圧のまま潜降し、作業を開始する時に解放して
環境圧にして海中に出る

作業が終わると、環境圧のまま海面上(船上または陸上)の減圧チャンバーに接続して
数日間かけて大気圧に戻すわけだ

減圧チャンバー内


この減圧中と潜水中に呼吸のために使われたヘリウムガスはとても分子構造が小さく
時計の内部に入り込んでしまい、減圧によって時計内部が周囲より高い圧力になると
ガラスが吹き飛んでしまう事があり、時には機械部品も飛んでしまう事がある

或る日セイコーに1通の手紙が届いた
広島県呉市に住むひとりの職業潜水士(PROFESSIONAL DIVER)からだ

その内容は
『ヘリウムガスを使う飽和潜水で壊れない、頑強な潜水夫用のダイバー時計を造って欲しい』
早速調査が開始され研究に費やした時間は何と7年間

実際にこの間にセイコーはダイバーズの新モデルを発表していない

1975年についに発売された ”PROFESSIONAL 600m



ROLEXが世界で初めて飽和潜水時のヘリウムガス対策を施したダイバーズウォッチ
ロレックス シードゥエラー2000(610m)を発売したのは1971年だが
エスケープバルブを採用していた

ROLEXもOMEGAもIWCすらも成し得なかった、ヘリウムの侵入を許さない
プロフェッシュナル・ダイバーズウォッチが日本から発売されたのだ

1978年にはクォーツ化された ”PROFESSIONAL 600m” が発売された


1983年5月にはこのクォーツ化されたPROFESSIONAL 600mを
有人潜水調査船 ”しんかい2000” のマニュピレーター(船外ロボットアーム)に取りつけての潜水実験も行われた


その時の船内からの画像


この時の水深は ”1,062m” だ
600m防水の時計が1,000mを越えて正常に作動し続けたんだ

1986年には更に改良を加え外胴をチタンからセラミックスに変更された
PROFESSIONAL 1000m” として発売されたんだ


これは現行モデルの1000mとほぼ同じだね

現行モデルの ”PROFESSIONAL 1000m
クォーツの ”SBBN013” と機械式の ”SBDX011”

機械式の ”PROFESSIONAL 600m” は2000年に復刻版の
”ヒストリカルコレクションSBDX005” としても発売されていたことがある


この ”ヒストリカルコレクションSBDX005” は ”メカ時計セミナー” でお世話になった
盛岡セイコーにも展示されてたんだ (;^_^A 写真撮っときゃ良かったなぁ

セイコーのプロフェッショナルダイバーズでは600mって言う系譜が多いんだけど
実際の曝露潜水(海中の水圧に曝される潜水)ではフランスのCOMEX社がフランス海軍と
共同で行われるHYDRA(ハイドラ)計画の1988年のHYDRA-VIIIによる
6人のダイバーが534mの実海面での潜水が現在も有人潜水の最深記録だ

加圧実験によるシュミレーションでは1992年のHYDRA-Xで701mを記録しているが
600mまでの圧力に到達するまでに15日かかり、大気圧に戻るにはそこから24日間が必要なんだ

つまり、実用面では600mには達していないんだ

現行モデルには ”スプリングドライブ” 搭載の
プロフェッショナルダイバーズ ”SBDB001” もある


挑戦し続ける者だけがその真価を知ることができる


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先ほど郵便が届きました

そう、先日の ”メカ時計セミナー” を受けてきた ”盛岡セイコー工業” からです
幾つかの記事にして紹介していましたね

ブログ再開を前に、来週は 盛岡SEIKO/The Watch on Ameba  (別窓で開きます)

時計の心臓/The Watch on Ameba  (別窓で開きます)

盛岡着/The Watch on Ameba  (別窓で開きます)

盛岡にて/The Watch on Ameba  (別窓で開きます)

盛岡行後記/The Watch on Ameba (別窓で開きます)

中には数点の写真と新聞の記事のコピーが入っていました


おぉぉ (@ ̄Д ̄@;)
この前の列に居たんだよね σ(・_・)

で、手紙には追伸で
「受講者の中に、このセミナーを詳しくブログに載せてくださった方がいらっしゃいます~」
とのことだ

σ(・_・) とっても興味がありますので、早速ググってみた・・・


あり?
The Watch on Ameba がない・・・ (1番上と次が私の別のブログ)
ってことはだ・・・

興味のある方がここではなくて私の別のブログに行っちゃう? (?_?)

いや、実はご存知の方もいらっしゃると思いますが
” ごんのブログ(慢性膵炎日記) ” って言う私の持病のブログもあるんだよね (;^_^A

テーマ:時計関係/ごんのブ ログ(慢性膵炎日記) (別窓で開きます)

そっちにも軽く紹介していたんだ
まぁ文面は(タイトルも)ほとんど同じなんだけどね (;^_^A

送っていただいた写真も一部公開しちゃいましょう o(^▽^)o スキャンしたのだ






撮影してくださったスタッフの方は、受講者のみなさんの
”テンプ” が動いた瞬間を狙っていたそうなんですけど

σ(・_・) 狙えなかったみたいですね

でも、手元や会場の雰囲気は判りますでしょうか?

来年も行くぞぉ~ (^O^)/

あ!
2日目と機械時計士技能評価試験2級を予定ね (;^_^A


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盛岡からの帰りのバスではほとんど眠れなかった
興奮が冷めきれなかったのだ

分解をはじめ、テンプを外すともう時計は動きを見せない

まるで死んでしまったようで急に寂しくなる

初日の ”体験コース” では約7割を分解して組み上げるんだけど
2日目の ”初級コース” は9割位を分解して、洗浄・給油もして組み直す

工具類もすべて用意されているけど、はじめて見るような専用工具もあると思う
顕微鏡も良い例で、学校で使った事があると言われる方もいらっしゃるだろうけど

双眼顕微鏡は無いだろう
左右の目の視度調整の必要もあるけれど

合わせ方まで教えてくださる

どちらかだけの受講が可能なので、はじめてなら ”体験コース” がお勧めだ
”初級コース” だと、行程が増え時間にも少し追われ気味になってくると思う

講師の方がうまくコントロールしてくださるし、
インストラクターのみなさんが手助けもしてくれるけど

行程の少ない分ゆっくり楽しめるからだ

組立てがはじまると、わりと簡単にできた分解と違って
手こずる場面にも遭遇するだろう

すかさずインストラクターが寄ってきて
『うん、も少し斜めにして ちょっと揺らして・・・ もう少し斜めに・・・ そうそう、ほら入った』

いや、むしろインストラクターの方が童心に帰っているような・・・ (;^_^A いや、失礼

息を飲みながら難関のテンプを組み始めると、興奮と緊張で我を忘れるだろう

そして、テンプがキッチリと嵌った瞬間
心臓が鼓動を再開する

これは忘れられない感動だろう
誰もが思わず声を出してしまい、自分の右手を見つめる、その手は命を吹き込んだ手だ

実は最後までわがままを言って撮影をしたりしていたので
持って行った工具をかばんに入れ忘れ、インストラクターの方が車で追いかけてきてくださった

帰りがけに、どうしても ”一本桜” を見たいと言っていたので
わざわざ追いかけて来ていただいただけでなく

『よろしければ一本桜までご案内しましょうか?』
と乗せていただいてしまった

もう葉桜になってしまったのと、生憎の天気だったのでこんな感じだ (T▽T;)


由来なんぞも書かれていた


いや、ちょっと残念なのは

テレビで使われたそうで (;^_^A テレビ見ないから知らなかったし

声をかけてプライベートになら撮影させてももらえるのかも知れないけど
道路から撮らせていただいた f^_^; 営利じゃないから良いよね

帰りのバスの休憩に寄った ”長者原SA” にあった寄せ書き


震災のキズはまだまだ癒えていない
いや、急を要するような救助の必要が過ぎただけだ

これからが長期戦になるのは間違いないし
何より生活の場を失ってしまった方々も多いはずだ

家であったり、生活の糧をえる職場であったり

あえて、東北・北関東とは言いたくないほどの被害だったので
”311震災” と呼びたいけど

実際に今、じわじわと追い詰められているのは東北・北関東方面の方々だろう
観光にも出かけて欲しい

帰りがけの受講者全員に
『工場の稼働している時に、ぜひ見学にも来てください』 と声をかけていただきました
(節電の関係で休みが土・日ではなくなるらしい)

交通機関もほとんど復旧しているようです

今回の道程は 24日23時発高速バスを使って新宿を発ち、翌25日早朝に盛岡着
現地で1泊して丸2日楽しんで27日早朝に新宿に帰りました

費用は、バス往復¥9,400- 宿泊¥6,000- 他雑費(土産他)¥5,000- 程度で
総額 ¥20,400-

時間と費用はいかがなものでしょうか

休みが取れればもう少し楽しんできたかったところですけど

念のため、宣伝のワイロなんザ・・・ (;^_^A 無い無い
ただの応援ですがな


日本の、それも東北の地に
世界と肩を並べる技術の中心が有るなんて当の日本人が信じられないのかも知れないが

まさに現実なのだ

岩手県と言えば、むかし私の居たC社の岩手工場もある
クォーツ時計の心臓部とも言える主要部品を作る工場だが、その部品が無ければ
アナログクォーツ時計は絶対に時を刻まない

東北と言う地は時計の心臓のような地なのかも知れない
『テンプが回ると、やったっ! って、いっつも思うんだよねぇ』
そう言ったのは、2日目のインストラクターのひとり ”斎藤” 氏


全国大会でも優勝経験のある、エントランスホールに飾られた匠の一人だ
(ご自身のパネルの前で1枚写させていただきました)

『あっ!動いた』 そう最初に声をあげたのは、隣の席の男性だった
講師が覗き込むムーブメントに慎重にセットする手が誰よりも震えていただろう

実は彼は昨日も参加していて
うっかりテンプ(時計の心臓部)に巻かれた ”ヒゲゼンマイ” を伸ばしてしまったのだ

ほぼ全員が初めて触る機械式時計の内部
緊張のあまりの出来事だったのだろう、多少は機械体に触った事のある私も緊張して

思うように外せないで苦戦している最中に
隣で講師が解説していたので、つい夢中になって聞いていた

伸びてしまったテンプを受け取り、講師席の双眼(顕微鏡)を覗き始めると
前面のモニターに映し出される

『うん? あれ? 煽ってるなぁ~ ・ ・ ・ 』
そう言いながら双眼を覗きながら変形しているヒゲゼンマイを整えていく

モニターに映し出されたテンプをあやすようにピンセットがご機嫌を直していく
ちょっと目にする事のできない場面だ

それはまるで息も絶え絶えな瀕死の重傷者が
見る見る生気を取り戻していくように、次第に力強い鼓動を再開していくようだった

むかし、時計工場に勤めていた頃に
機械式MVは手に触れる機会はあったが、カレンダー機能と切替機能だけだった

それでも、テンプの刻む鼓動に心がときめいたものだ
不良化したMVをもらって分解してみたくなって先輩に聞くと

『修正に回すからダメだよ』 といつも言われていた (;^_^A 決りだからね

切替機能やカレンダー機能の組み込みを終え、作動確認する際も先輩たちから
『テンプ触っちゃダメだからね、気を付けてね』 と毎回注意されていたので

”ヒゲゼンマイ” に触れるなんて考えた事も無かったし、見る機会も無かったので
喰い入るように目が釘づけになってしまった

目の焼けるような痛みに我に返ると、瞬きするのを忘れていた (;^_^A

伸ばしてしまったご本人は心臓が喉から飛び出すほど驚いたと思うけど
めったに見ることのできないものを見させていただいた

その男性が2日目は真っ先にテンプを組み上げたのだ
その時の声が 『あっ!動いた』 誰もが声を上げずにいられない瞬間だ

σ(・_・) ガッツポーズ付でした・・・

次々と声が聞こえ始める 『あっ!』 『おぉっ!』 『動いてるっ!』
冒頭のインストラクターの 『テンプが回ると、やったっ! って、いっつも思うんだよねぇ』 に
各インストラクターの皆さんが頷く

時計好きばかりなんだろう

1日目の受講者とスタッフの皆さん


1日目は ”体験コース” として、約7割程度の分解と組み直しなのだが
部品を飛ばしてしまったり、φ1,400㎛(昔で言えばμ=ミクロン)のネジをネジ切ってしまったり・・・
時々、悲鳴に近い声が聞こえればたいてい何かやらかしている (;^_^A

もっとも工場では想定しているので予備のパーツもあるし
3名くらいに1名のインストラクターが付いて必要に応じて手を貸してくれる

とは言え、実際にひとりで組立てている気分は充分に味わえる

時計の専門用語がほとんど判らなくても、理解できるように解説していただけるのは
一切の不良内容を知らされずに渡され、解析しながら規定時間内に修理し、
完璧に修理のできた時計を提出後には面談試験が有るのだそうだ

その内容は
まったく時計の事を知らないユーザーが修理依頼したと言う想定で
故障個所を説明し、修理内容までも理解してもらう必要が有るのだと言う

昼の雑談の時にお聞きした裏話には
『お前、そんな事も知らないで試験官が出来るのか?』
と周囲を笑わせたマイスターも初期の頃いらしたとか (;^_^A 役割演技ですからね

専門家なら当たり前のことでも、無知な素人に伝える難しさは
容易に判るだろうが、それがテストされているからこそ噛み砕いて理解させてもらえるのだろう

2日目の受講者とスタッフの皆さん


2日目は ”初級コース” だが、昨日に引き続き10名が受講し
また、昨年の ”体験コース” や ”初級コース” からのリピーターだけど
皆昨日以上に満足そうな表情なのはモザイクがかかっていても判るだろう

昨年からのリピーターの中には9月に行われる
”いわて機械時計士技能評価試験” の受験者もいらした

私らの様に時計の製造・修理に携わらない者にとって受けられる試験は
機械時計士技能評価試験2級が有る

1級やIWマイスターとなると・・・

国家資格である技能検定制度の一種でもある
国家検定時計修理技能士2級、国家検定時計修理技能士1級の保有者で
なおかつ、機械時計士技能評価試験2級合格後1年以上で1級に受験できるのだそうだ

国家検定時計修理技能士は3~1級があり、時計の修理業務に従事していた経歴が
必要なので、この時点で門戸の狭いものになるだろう

IWマイスターともなると・・・
世界で5名しかいないそうだから・・・
挑戦するのは自由なので止めるつもりはないが・・・ (;^_^A やってみる?

今回の盛岡SEIKOで、私が受験出来るものは何かと聞いてみたところ
一般では ”機械時計士技能評価試験2級” だけなのだそうだ

販売店などの技能者ではない方を中心に考えられているからだそうで
より知識を深めてもらう事が目的だからだそうだ

これには今回使用したCal Y675 が試験に使われ、2時間30分で ”初級コース” 程度の
分解・洗浄・給油・組立て・歩度(時計の誤差)調整・外装装着ができれば良いそうだ

技能育成塾課長とお話しする事が出来たのですが
『受験時期が近付くと受験用と同じMVを練習用に貸し出してもいます』 とのことだ

1日目の ”体験コース” では ”歩度” も測定と調整できたが、本来6姿勢測定するうちの1姿勢だったが
2日目の ”初級コース” では時間の都合で省略

その代わり、マイクロホンがどの音を拾っているのか
また、その音の打点から不具合の見方の、ほんのさわりのような事も聞かせていただけた

帰り際に2日目のスタッフの皆さんの写真を撮らせていただきました


上の写真の前列右2番目の方が、2日間の講師をしていただいた ”観音堂” 氏

この方も、もちろんエントランスホールに飾られた匠の一人


昼食後はスタッフの皆さんとおしゃべりをしたり、
いろいろと裏話も聞かせていただけるのだが喫煙所でインストラクターのおひとりから突然

『普段から接しているんですか?』 と聞かれ、思わず
「離れて20年近くになります」 と答えてしまった (;^_^A 別に問題は無いんだけど・・・ アセッタ

私のように心得のある方が2~3名いらしたようだ
『今年は出番が少なくて、つまんないんだよね』 と笑っていた

年々受講者の数も増えているそうで
今年は発表して間もなく締め切り、一部の方は参加をお断りしたそうだ

いや、それならぜひ回数を増やしてとの声も出たのだが
毎年6月の末に開催している理由と言うのが・・・

傑作と言うか目が点になりそうな理由で
今も思い出すとお腹を抱えて笑い出しそうになる ( ̄ー ̄;

書いても良いのだが
これは生で聞いた方が面白いだろう (。・ε・。) 意地悪なのだ

あ! でも、冗談だったのかも・・・ (;^_^A

ホールでは直売もしているんだけど


ここでしかお目にかかれないだろう
盛岡SEIKO のオリジナルモデル


販路も限られていて
一般の SEIKO のショップには出回っていないそうだ

ショーケース越しなのでうまく写らなかったが (;^_^A いや、ウデだな
”SHIZUKU-ISHI” と銘を打たれたこだわりのかたまりだ

もちろん手に取らせてくれるぞ о(ж>▽<)y ☆

2日目の修了証


この2日で初めて時計内部に触った方がほとんどなんだけど
3~5名に1名のインストラクターがついて手ほどきしてくれるので

特に ”体験コース” なら何の知識も無くても
ただ、時計が好きと言う方でも充分に楽しめるだろう

”初級コース” もさほど変わらないような感じだが、分解度がもう少し進み
洗浄をしてから、給油しながらの組み立てになる

また、バンドも体験コースでは革バンドだったが
初級コースでは、若干難しくなるメタルバンドで、皮と比べると組みつけが少し難易度が高い

工具類はすべて用意されているが
使い慣れたピンセットをお持ちなら、ピンセットだけは持参した方が良いかも知れない

工場見学は、予約をすれば応じてくださるそうだが
節電の関係から土日休みではなくなるそうなので、問い合わせをしてみると良い