質問を先の記事に戴いたのですが、コメント欄でお答えするにはちょいと長くなったので別にエントリを立ててお答えしますね。
>女の子に二丁拳銃←これって2個拳銃を持つって事ですよね?
>できるものですか?
結論から言ってしまうとエアガンではできると思います。実銃では無理じゃないでしょうか。
ちなみにベレッタM92FSは本体の重さが約970gほどあります。それに実包の重さ(平均して10.5g~12g)×16発(弾倉に15発、薬室に1発)分の重さが加算されますので、実際には1.2kg近い鋼鉄の塊なわけです。そんなものを両手に持って行動するのは……由真には不可能でしょうね。真奈だったらやりかねませんが(笑)
エアガンのベレッタM92も本体は実銃に近い重さですが、弾丸の分がありませんので(BB弾をどれだけ詰めてもせいぜい60~70g)それだけ軽いし、何といっても発射時の反動が比較にならないので、慣れれば平均的女の子の腕力でも何とかなるでしょう。要は慣れですね。
ちなみにこの二挺拳銃というヤツ、絵的に格好がつくので漫画やアニメ、映画などでよく見かけますけど、現実の銃撃戦においてはかなり無理があると言わざるを得ません。両手に火器を持つことにはメリットもありますが、デメリットの方がはるかに大きいからです。
まずメリットですが、一人当たりの火力を単純に2倍にすることができるという一点に尽きます。
銃撃戦はとどのつまりが弾丸のばら撒きあいなので、より多くの弾丸を発射できるほうが有利なのは間違いありません。で、そのために射手一人当たりの発射数を増すには連射速度を上げるか、砲数を増やすかしかないわけです。
(命中率の問題はここではそれほど大きな意味を持っていません。互いにありったけの火力を叩き込み合う場面では、どのみち、悠長に狙いをつけている暇などないからです)
一方のデメリットですが、前述の重さの問題や反動も2倍になることなどがありますが、何といっても弾倉の中の弾丸を撃ち尽くしたらアウトだというのが致命的です。
拳銃は片手で銃本体を、反対の手で弾倉なりスピードローダーなりを持って再装填を行うため、当然のことながら両手に銃を持つと再装填ができません。弾丸を撃ちつくした後、銃を置いて弾倉交換をするのは相手に「今は反撃できませんから心置きなく狙い撃ってください」と言ってるのと同じです。
(おかしな言い回しになりますが、銃撃戦において銃弾は相手を打ち倒す槍であるのと同時に自分の身を守る楯でもあります。相手は自分が撃った弾丸を避けながら撃ち返してこなければならず、それによって命中率が大幅に下がるからです。もちろん、同じことは相手にも言えるのですが)
再装填する必要がないだけの銃器を持ち歩けばこれを回避することもできますが、そんなことは絵空事以外の何者でもないので、二挺拳銃は現実には実戦には不向きと言わざるを得ないわけですね。
ちなみに両手に銃を持たない、いわゆる予備携行として二挺の銃を持ち歩くのは別に珍しいことではありません。これだと片方の銃を撃ち終わったあと、再装填のタイムロスなしで銃撃を継続することができます。二挺拳銃の代名詞といってもいいジョン・ウー監督作品でも、実際には両手での発射ではなく二挺を使い回す演出の方が多いのです。
>そんなわけで、女性でしかも片手で銃を操れるドラマとかも不思議で仕方ないのですが、
これは訓練を受けたという設定があるかないかと、銃の大きさによって違ってくると思います。
上記のとおり、平均的なハンドガンは1.2kgほどありますので小柄で非力な女性がぶっ放すのはやはり無理があるといわざるを得ません。反動のほうもせいぜい.32口径くらいまでしか耐えられないんじゃないかなと思いますね。
ちなみに日本の警察の拳銃は(主要な部署では)シグ・ザウエルP230JPですが、これは小型で重量も420g(プラス、弾薬8発分)しかないので女性警察官でも大丈夫なようです。ただし、日本の警察官は基本的に片手では銃を撃ちませんが。
>両手で撃っても、狙ったとおり撃てるのは、よっぽど冷静じゃなきゃ無理だと思うのは私だけなのでしょうか??
冷静かどうかというよりは、場慣れしているかどうかじゃないでしょうか。
両手保持のほうが片手よりも命中率が上がるのは事実です。ただし、両手保持の姿勢を間違ってる人がドラマの中(特に日本のドラマ・映画)にはかなりいます。特に多いのが身体の真っ正面で構えている(上から見ると両腕と胴体で二等辺三角形になってる)パターンで、これは100パーセント当たりません。撃った瞬間にマズルジャンプ(銃身が反動で上に跳ね上がる)を起こしてしまいますので。
ちなみにハンドガンで動く物体を狙って正確に的に当たるのは、せいぜい手が届く範囲内だと言われています。
比較になるかどうか分かりませんが、プロボクサーが狙った場所にクリーンヒットできるのはボクサー人生の中でも1、2度だそうです。それくらい、動いている標的を捉えるというのは難しいことなのですね。
上でも書いた通り、銃撃戦の勝敗はある程度までは火力の多寡で決まります。言葉は悪いかもしれませんが”下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる”のです。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
そんなわけで、前の記事を大きく上回る(笑)どうでもいいウンチクを並べてしまいましたが、疑問は解消されましたでしょうか?
わたしも専門家ではありませんので何でも答えるというわけにはいきませんが、疑問質問等ぶつけてくださったら力が及ぶ範囲で調べてお答えしたいと思います。ぶっちゃけた話、”素朴な疑問”には新しい発見があるので、わたし自身のためにもなりますしね。
リクエスチョンでもコメント欄でも(もちろんプチメでも)構いませんので、皆さまからのアツイ質問をお待ちしております。
ちなみにわたしの中で二挺拳銃といえばこの人。コルト・ガヴァメントとS&W・M39を構えるミラ・ジョヴォヴィッチのクールさがたまりません(笑)