■「塞王の楯」50代男性へのおすすめ度
★★★☆☆ ← 最近、男気感じてないなという50代男性向け
■あらすじ
内容紹介(「BOOK」データベースより)
幼い頃、落城によって家族を喪った石工の匡介。彼は「絶対に破られない石垣」を造れば、
世から戦を無くせると考えていた。
一方、戦で父を喪った鉄砲職人の彦九郎は
「どんな城も落とす砲」で人を殺し、その恐怖を天下に知らしめれば、
戦をする者はいなくなると考えていた。
秀吉が死に、戦乱の気配が近づく中、
琵琶湖畔にある大津城の城主・京極高次は、匡介に石垣造りを頼む。
攻め手の石田三成は、彦九郎に鉄砲作りを依頼した。
大軍に囲まれ絶体絶命の大津城を舞台に、
信念をかけた職人の対決が幕を開ける。
ぶつかり合う、矛楯した想い。答えは戦火の果てにー。
「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、圧倒的戦国小説!
著者情報(「BOOK」データベースより)
今村翔吾(イマムラショウゴ)
1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビューし、
2018年に同作で第七回歴史時代作家クラブ賞・文庫書き下ろし新人賞を受賞。
同年「童神」(刊行時『童の神』に改題)で第一〇回角川春樹小説賞を
受賞、第一六〇回直木賞候補となった。
2020年『八本目の槍』で第四一回吉川英治文学新人賞を受賞。
同年『じんかん』で第一一回山田風太郎賞を受賞、
第一六三回直木賞候補となった。
2021年、「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第六回吉川英治文庫賞を受賞
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■キーワード
石垣、大筒、楯、矛、城、石積み、河原
■感想
今回は、今村翔吾さんの長編小説「塞王の楯」(さいおうのたて)をご紹介します。
今村翔吾さんの小説を読むのはこの「塞王の楯 」がはじめて。
「塞王の楯 」は、第166回直木賞受賞作。
楯をつくる若い職人と矛をつくる若い職人が切磋琢磨して頭領になり、
最後に自分たちの至高の技で激突する。
登場人物たちの男気あふれる行動力、
戦国時代の城をめぐる攻防戦は読みごたえたっぷり。
50代の男性におすすめできる作品です。
・ちょっと意外に感じた直木賞受賞作
直木賞受賞作という事実は、
読了してから今村翔吾さんのことをネットで調べて知りました。
今村さんが直木賞作家であることは知っていたのですが、
「塞王の楯」が受賞作であることは知りませんでした。
その事実を知った感想は「へぇ、そうなんだ」です。
「塞王の楯」を読みながら
「この後の作品で受賞したんだろうな」と感じていたので、
ちょっと意外でした。
師弟の相手を思いやる心、戦闘時における男たちの男気、
戦闘シーンのいきいきとした描写、などの文章はとても秀逸です。
ですが、ライバルの登場のさせ方と因縁の説明、
お互いに相手を認め合う流れなどに、浅さを感じました。
受賞作にしてはもう一つ足りない感じがしたのです。
ひとつの小説としてトータールで評価された結果でしょうけど、
意外でした。
そこは「塞王の楯」を読んでみて、ご自身で評価してみてください。
・「塞王の楯」の特徴
時代小説ってとにかく漢字が多いですよね。
「塞王の楯」も、とにかく漢字が多いです。
しかも、「普段使わない漢字が多い」から読みにくかったです。
「カタカナなんて一文字もなかった」気がします。
「塞王の楯」は長い小説です。
単行本で552ページもありました。
「小説は長いほど良い」というものでもないと思うのですが、
読み終えるのは結構大変でした。
石垣と鉄砲(大筒)の対決はこれまでにない着眼点で斬新でした。
バトルもののエンタメなんだから、
漢字の使い方や長さも含めて、もっと読みやすく書いてもらいたかったな。
物語の特性上、女性には受け入れられにくい小説かも知れません。
・今村翔吾さんの文章について
人柄の良さが感じられる丁寧な文章を書く作家さんだと感じました。
これはいいことですよね。
「まじめな性格だから作品が長くなっちゃうのかもしれないな」
と思いました。
男気を感じさせる文章は秀逸で、ちょっとウルっときた文章もありました。
「よーし、いけいけ」
「やっぱりそうだよな」
「そうこなくちゃ」 みたいに、
読者の気持ちを高める文章は上手いです。
一方で、
五感に訴える文章はもうひとつの感がありました。
「石の肌触り」「土のにおい」「風景描写」など、
料理でいう香辛料みたいなものを、
もっと文章にちりばめてもよかったのではないかと感じました。
文章に「厚み」や「濃く」が加わると、
物語の味わいが増すと思うのですがどうでしょう。
今村さんの今後に期待したいです。
今回は、50代男性が読むと新しい発見があるはずの
「塞王の楯」を紹介しました。
本書以外にも「直木賞受賞作の小説」を紹介しています。
併せて読んでみてください。
【直木賞受賞作の小説】
・エッチな小説を文学として読みたい男性に「ホテルローヤル」桜木紫乃
このブログが少しでも小説選びのお役に立ちましたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。

