■「逢坂剛の百舌シリーズ」50代男性へのおすすめ度
★★★☆☆ ← ナヨナヨしていられない50代男性にピッタリ
■あらすじ
謎の暗殺者「百舌」(もず)を追い詰めろ!
「善」のメインキャラクター達が、
政治による警察の私物化を図る「悪」と対決する全7作品。
ハードボイルド・サスペンス・ミステリー小説。
■キーワード
アイスピック、千枚通し
■感想
ハードボイルド小説をまとめて読めたことに感謝!
逢坂剛(おうさか ごう)さんの「百舌シリーズ」7作品をすべて読みました。
結果、百舌シリーズは、50代男性にあっているとの結論に至りました。
「たまにはハードボイルド系の小説でも読んでみるか」という気分になったら、
ぜひ手に取ってみてください。
「善 vs. 悪の格闘シーン」は、スリリングで読みごたえたっぷりです。
とは言っても、私が面白く思えたのは2作目の「幻の翼」まででした。
3作目の「砕かれた鍵」以降は、「おまけ」的な感じですね。
シリーズの世界観が最後まで同じだったので、
何とか最終作の7作目「百舌落とし」まで読み切れました。
・シリーズの世界観が気に入った。
・善キャラの今後が気になる。
・毎回スリリングな格闘シーンに魅力を感じる。 など、
あなたの「お気に入り」が見つけられたら、
きっと最終作まで読み切れると思います。
夏休みの課題図書じゃないんだから、気軽に読んでみてください。
「もういいかな」と思ったら、そこでやめたらいいんです。
●お願い
「百舌シリーズ」7作品は、必ず発表順・刊行順に読んでください。
これは、文庫本の解説にも「くどいほど書かれている大事なポイント」です。
順番に読むだけですので、お願いします。
●連続した世界観
百舌シリーズは、映画の「スター・ウォーズ」と同じでシリーズものです。
物語の世界観が1作目から最終作まで繋がっています。
2作目の出来事が、3作目に前置きなく登場するので、
3作目から読んだ人は
「あれ? 何のことだろう?」「この人誰だ?」となってしまいます。
それを防ぐには「お願い」でも書いたように刊行順に読むことが大切です。
・キャラクター
メインの「善キャラ」がシリーズを通して登場し、年齢を重ねていきます。
死んでいなくなったり、増えたりもします。
「スター・ウォーズ」の「スカイウォーカー」が1話目から最終話まで、
子供や親として出てくるのと同じような感じです。
百舌シリーズでいうと「美季」と「大杉」がそれにあたります。
とくに「大杉」は、シリーズ後半で50代になるので、
50代の男性読者は、大杉の行動に強い共感を持って読むことができると思います。
・対決
毎回、「善キャラ」vs.「悪キャラ」の構図です。
善は、主に警察(公安)です。
4作目の「よみがえる百舌」からは、探偵や新聞記者も加わります。
悪は、おおまかに政治家と捉えてください。
●気になったところ
1)文章の言葉使いが古く、時代遅れを感じる
これは作者の年齢を考慮すると、致し方ないです。
2)いらない説明が多い
「雑誌連載の関係でページ数を稼がないといけない」
などの理由かもしれませんが、 振り返りや説明が多く、
続けて読んでいるとかったるさがあります。
ここからは、各作品を読んだ感想を書きます。
「百舌シリーズの各作品のあらすじ」は、ネット上に多く紹介されているので、
このブログにはあえて書きません。
気になる方は「作者+作品名+あらすじ」で、検索してみてください。
1作目 百舌の叫ぶ夜 1986年刊行
・星4つ:とても面白かった 2025年7月27日読了
・キーワード:爆弾、暴力団、殺し屋、刑事
「百舌の叫ぶ夜」は、テレビドラマにもなった有名な作品。
私はテレビで「百舌シリーズ」を見てから小説を読みました。
ドラマの「善キャラ」で活躍する俳優さんが、
1から3作目まで文庫本の表紙になっています。
・1作目 西島秀俊 = 倉木尚武
・2作目 香川照之 = 大杉良太
・3作目 真木よう子 = 明星美紀
これが結構良かったです。
小説とドラマの登場人物の顔がリンクして読み進めやすいのです。
物語の世界にもうまく入り込めて楽しく読めました。
スピード感があり、古さを感じさせない文章もいいです。
暗殺者「百舌」(もず)の最後もいいので、ぜひ読んでみてください。
1作目の「百舌の叫ぶ夜」で登場するキャラクター達が、
その後のシリーズでも活躍します。
その意味でも1作目から順に読むことをお勧めします。
2作目 幻の翼 1988年刊行
・星3つ:まあまあの面白さだった 2025年7月31日読了
・キーワード:百舌の復活、北朝鮮、精神病院、明星美季の活躍
「警察」と「政治」という対立軸がもう一つしっくりこなかった。
決して面白くないわけではなかったが、
先の展開が予想できたところがあり、もう一つでした。
この2作目「幻の翼」から、主役がヒロイン「明星美紀」に固定されました。
前作「百舌の叫ぶ夜」に続いて、暗殺者「百舌」の最後がいいです。
「百舌」のどんでん告白がおもしろい。
サスペンスというよりもハードボイルドだと思います。
文庫本の解説は北方謙三さん。
この解説がとてもいいので、文庫本を選んだ方は必ず読んでください。
3作目 砕かれた鍵 1992年刊行
・星3つ:普通 2025年8月7日読了
・キーワード:病院、爆弾、息子、倉木尚武殉職、ペガサス、金貸し
「砕かれた鍵」は、間違いなくハードボイルド小説です。
やっぱり一番面白いのは1作目「百舌の叫ぶ夜」だと思います。
この3作目「砕かれた鍵」で、第1期が終わったと感じました。
ここでやめて4作目以降は読まないのもありです。
私は、意味深なラストが気になり4作目も読んでしまいました。
このラストがなければここで(3作読んだところで)、やめていたと思います。
4作目 よみがえる百舌 1996年刊行
・星3つ:普通 2025年8月12日読了
・キーワード:百舌の再復活、カジノバー、新聞記者、佐賀県の島、津城警視正殉職
メインの善キャラ「美季」と「大杉」の親密度が深まります。
これは、今後の作品には「いいこと」でした。
最後、二人でハワイへ行きます。
「よみがえる百舌」は、一冊の本として長すぎます。
説明が長いし、いらない状況報告が多く、ストーリーのテンポが悪いです。
タネ明し・トリックの説明がなく、コナンドイルの方が親切でまともに感じました。
私の感想は第1期のおまけ的作品です。
文庫本の解説では、
この4作目「よみがえる百舌」で第1期が終了とされています。
ここまで「携帯電話がない世界の物語」でした。
読んでいてかったるかった。
50代はなんとか理解できても、30代には無理ではないかと感じました。
5作目 鵟の巣(のすりのす)2002年刊行
・星3つ:面白かった 2025年8月19日読了
・キーワード:麻薬、拳銃、横取り、色仕掛け、尾行、警察内部の悪
5作目の「鵟の巣」は探偵小説のように追跡対象が明確になり、
前作「よみがえる百舌」よりも話のテンポが良くなりました。
「悪キャラの超絶美人の女性刑事」がキーパーソン。
「善キャラの美季」との女性キャラ対決が、「鵟の巣」の読みどころです。
文庫本の解説では、この5作目「鵟の巣」が第2期のスタートとされています。
5作目を含めた6作目と7作目の「3作品でワンセット」になるので、
続けて読むのなら5作目の内容は忘れないこと。
5作目で、やっと携帯電話が登場します。
作者が悪いわけではないけれど、携帯電話の便利さを知っている人間からすると、
これまでは読んでいてかったるくて仕方なかった。
車での尾行も現代的で良かったです。
4作目の「よみがえる百舌」以降、
余計な文章や遠まわりな説明が多いのは、相変わらずです。
これさえなければもっとスピード感がだせるのに、もったいないです。
連載小説の文字数・ページ数稼ぎがいなめないものの、
これが作者の個性なら、作風なら、受け入れるしかないようです。
6作目 墓標なき街 2015年刊行
・星2つ:つまんない 2025年8月31日読了
・キーワード:武器輸出、警備会社、親子、政治家、新聞記者
6作目の「墓標なき街」は、前作「鵟の巣」の続きです。
「鵟の巣」は面白かったけど、
前作から13年経って発表された「墓標なき街」はいまいちでした。
13年はさすがに間が空きすぎです。
「墓標なき街」は、前作の読者を対象にした作品としか考えられず、
新しい読者をないがしろにしています。
前作の続編を楽しみにしていた読者限定の作品だと感じました。
死闘の決着があまりにもひどい。
読まない方が良かったというのが正直な感想です。
ここにきて同じ作者の小説を、「百舌シリーズ」を続けて読み過ぎて、
ちょっとかったるくなってきました。
「墓標なき街」では繰り返しの説明がとくに多く、
「またかよ。いい加減にしてくれ」と何度も思いました。
同じ事件を追う仲間が増えるたび、
新加入の仲間に事件の経緯を最初から説明します。
それが3~4回繰り返され、頭から読んでいる
文庫本の読者は知っていることを何度も読まされるんです。
ホントにうんざりしました。
「よみがえる百舌」で登場した「島の県名」や「娘の職業」が
変わっているのも気になりました。
エピローグを読んで気が付いたのですが、
6作目で登場する「百舌」は、1作目の「百舌」と通じるところがあります。
兄弟・姉妹、小動物の虐待といったところです。
私、6作目を読むにあたり、大きなミスをしました。
6作目を飛び越えて、7作目の上巻を先に読んでいたのです。
案の定、登場人物たちの人間関係や背景、覚えのない回想に
「あれ?」っと思い、あわてて順番を再確認するハメとなりました。
つまり、後の作品を先に読んでしまうとネタバレになってしまうのです。
これにはまいりました。
「百舌シリーズ」を順番に読む必要性を、身をもって体験したしだいです。
7作目 百舌落とし 上・下 2019年刊行
・星2つ:つまんない 2025年9月7日読了
・キーワード:6作目の続き
7作目の「百舌落とし」は、完全に6作目「墓標なき街」の続きで、
しかもつまらなかった。
6作目と7作目は、発表されない方がよかったように感じました。
5作目の「鵟の巣」まではそれなりに楽しめたのに、とても残念です。
前作「墓標なき街」に続き、状況報告の繰り返しがやたら多いのに辟易しました。
雑誌連載時のページ稼ぎとして使った文章を文庫本にそのまま残すのは、
やめて欲しい。
文庫本の読者は「繰り返し復習させられ」、
何度も同じ内容の文章を読まされることになるから。
■総括
逢坂剛の百舌シリーズ7作品を続けて読んだ感想は、50代男性向け小説だった!
各作品の感想で、気に入らないところを細かく書きましたが、
「百舌シリーズ」は50代男性向け小説であることに間違いありません。
実際に、50代男性の私が40日ほどで7作品・8冊を読了したわけですから。
けして、ブログのネタにしたくて読んだわけではありません。
最後に、
これから「百舌シリーズ」を読む方に私からアドバイスです。
後味良く「ああ面白かった」で締めたいなら、
2作目の「幻の翼」でやめて、その先は読まない方がいいです。
続きが気になって3作目以降も読むのなら、
あとは「おまけ」として割り切って読んでください。
それなりに楽しめると思います。
今回は、ナヨナヨしていられない50代男性にピッタリの
「百舌シリーズ」を紹介しました。
このブログが少しでも小説選びのお役に立ちましたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。







