9月3日11時公演

月組 宝塚大劇場

『フリューゲル ―君がくれた翼―』

『万華鏡百景色(ばんかきょうひゃくげしき)』

観劇


つづきです


ショーはなんといっても戦後の闇市が出てくるのが斬新すぎて驚きます

私の大好きな音楽座ミュージカル「メトロに乗って(浅田次郎原作)」を彷彿とさせる場面です

ショーのひと場面とは言え、こんなシチュエーションをもタカラヅカにしてしまえるなら、

いっそ、「メトロに乗って」を上演することも可能なのではないでしょうか

その日を夢見て生きていきます


闇市に集う様々な人々

たくましく商売をする女(咲彩いちご様)やいつの時代もリヤカーをひきがちな大きな男(大楠てら様)

アメリカ人将校(七城雅様)と連れの派手な女(海乃美月様)

あたり一帯を仕切るドン(月城かなと様)と、仲良く付き合う警官(風間柚乃様)

そんな中、戦争から帰ってきた男がやってくる

負傷した腕は三角巾で吊るしたまま、まだ痛みがあり、きっともう元通りには動かないだろう…

日本人も米兵も楽しげに皆たくましく生きている

俺はいったいなんのために戦地へいったんだ…

痛てーっ!

腕にぶつかんなよっ!

ちくしょーっ…

なんだよ、皆前向いて楽しそうに歌ってやがるぜ…

なんで皆で同じ歌うたってんだよ

はやり歌か?俺はしらねぇや…

俺の居場所はいったいどこにあるんだ…


上手の花道近くでやさぐれているこの男こそ、


月乃だい亜様なのです


薄汚れた(たぶん)軍服に黒髪で、いつもの甘い雰囲気のキラキラオーラは封印して、

個性的な登場人物のなかでも、ひときわ異色の存在でした


最後にリンゴを持った少女と明るい笑顔を浮かべたのは、きっとそこに希望のひかりが見えたからに違いない…!

彼の笑顔がこの先の日本を照らしていくだろう


いや、暗転



もちろん台詞はありません

そんな状況を歌うソロもありません

でも、物語があって役を生きている、

そんな月乃だい亜様の芝居に釘付けでした



時をもどして、プロローグの総躍りで、「江戸の男女」というカラフルで賑やかな人々が花火を見ている楽しい場面

皆様ツートンカラーの派手な髪型なのですが、なかでもひときわ面白い髪型の人を見つけました

モヒカン前髪に後ろはポニーテールの男

そんな斬新なスタイルで甘いマスクの良い男を演じる、

これもまた月乃だい亜様なのです




時は流れて渋谷の街角

ティッシュ配りをしているフードをかぶった若い男は朝陽つばさ様

無愛想で無表情なのがいかにも東京といった感じです

しらんけど

朝陽様はそこそこの上級生になっているはずなのに、軽い若者役がいつまでもお似合いなフレッシュな持ち味をここで遺憾なく発揮しています

お芝居のおじさん役より絶対にこちらの方がはまっています

西ドイツでもティッシュ配りをする若者、本当はスパイ、みたいな役ならなお良かったと思います


そして会社員・真弘蓮様はそれらしいスーツが板につきすぎていて、現実の朝のラッシュの通勤電車に乗っていて隣に座っていても違和感が

ないと思われます


ちなみに初回観劇時に、この人堅気ではない、と思った大男(大楠てら様)も舞台の満員電車に乗っていましたので、堅気なのかもしれません

相変わらず、女の子をチンピラから助けてあげる時には格好良くて、きゅんとします


前の場面で季節先取り秋冬ファッションで汗だくで踊っていた若者たちも、羽織ものを脱いでモノトーンな出で立ちで街をさすらっています


ティッシュ配りのお兄さんから無表情にティッシュを渡された若者はなんだか嬉しそうに歩いていくかと思いきや、

振り向いて、

すんません

もうひとつもらえますか?


ティッシュおかわりするのは今をときめく瑠皇りあ様でした


芝居の月組が面白すぎて、

ときめきと妄想がとまりません