手に汗とほんの少しの痛みが走る。汗でペタペタになった中指に鍵付きの紐を通す。
そんな事をしながら歩いている内に、いつの間にかマンションの自転車置き場に付いてしまった。
今日はいつもより早く起きたので、今日は走りながら乗る自転車も歩きながら乗ろうと思っていた。
錆びてザラザラの手触りの鍵穴に鍵を差し込む。そしてゆっくり回す。
その時は少し背中を曲げるので、少々長めの髪に隠れた項がほんのり冷えてかなり気持ちいい。
軽く屈伸をしながらサドルに跨る。爪先立ちの足をこき使い、全力でコンクリートの地面を蹴って自転車を漕ぎ出す。
そう言えば、僕はよく足を爪先立ちにするなと思う。確か、切っ掛けは……
そう、爪先立ちで走ると足が早くなると本に書いてあったからだ。
自分は運動音痴だったから、よく運動系の本を読んだ。まあ、それのおかげで今は人並みに運動ができる。
いつの間にか、大きな下り坂の前に来ていた。そこからは山が見える。
名前は……忘れた。そこの裏から茜色に染 まった太陽が見える。
僕は、この景色がとても好きだ。
まあ、夕焼けには劣るけど。