キングダム第6話「漂の決意」。

 

河了貂の案内によって、王弟・成蟜の軍から逃れた信と政。

三人は黒卑村の地下にある抜け道を進みながら、王宮で起きた反乱について話を続けます。

王宮のほとんどが王弟側に回っていたにもかかわらず、なぜ政は逃げ出すことができたのか。

河了貂が疑問を口にすると、政は自分を助けた人物について話し始めます。

 

その人物こそ、政の教育係を務めていた昌文君でした。

昌文君はかつて自ら戦場で矛を振るっていた武人。

王宮の中でも、政に忠誠を誓う数少ない味方です。

 

昌文君という名前を聞き、信はすぐに気付きます。

漂を里から王宮へ連れていった男。

あの昌文君こそ、政を王宮から逃がすために動いていた人物だったのです。

 

反乱の危険を察していた昌文君は、万が一に備えて王宮からの脱出計画を立てていました。

黒卑村をはじめ、いくつかの場所に非常時の合流地点を用意していたのも、その計画の一つです。

そして準備を進める中で、昌文君は政と驚くほど顔の似た少年と出会います。

それが漂でした。

 

政とうり二つの漂を見た昌文君は、最悪の事態に備え、影武者として王宮へ連れていくことにします。

ただし、最初から漂を犠牲にするつもりだったわけではありません。

昌文君は自分の脱出計画に自信を持っていました。

漂の存在は、あくまで万が一に備えるためのものでした。

 

しかし、それを聞いた信は激怒します。

漂の命が、政を守るための「もしものとき」に使われた。

信には、そうとしか思えません。

漂を王宮へ連れていった昌文君。

そして、漂を影武者として使った政。

 

信は怒りを抑えきれず、政につかみかかります。

それまで黙っていた政も、やがて信をつかみ返します。

 

そして今起きていることは、単なる個人同士の争いではないと伝えます。

王の座と命を懸けた戦い。

自分は圧倒的に不利な立場にいて、生き残るためには使えるものを使うしかない。

それほど厳しい状況の中で戦っているのだと、信に突きつけます。

 

ただし、政は漂を何も知らないまま犠牲にしたわけではありません。

政の頭には、漂を影武者にすると決めたときのことが残っていました。

王宮へやって来た漂に、昌文君は影武者の役目について説明します。

そこには当然、大きな危険がありました。

政と間違えられれば、命を狙われる可能性もあります。

その危険を知ったうえで、それでも漂は断りませんでした。

 

漂には、信と二人で追い続けてきた夢があったからです。

天下の大将軍になること。

 

下僕という身分から抜け出し、戦場で武功を立てて天下に名を残す。

普通に生きているだけでは、簡単にはたどり着けない大きな夢です。

だからこそ漂は、目の前に現れた大きな機会から逃げませんでした。

 

危険があることを理解したうえで、それでも影武者という役目を受け入れます。

自分たちの夢をかなえるためなら、大きな危険にも飛び込む。

それが漂自身の決意でした。

 

政から真実を聞かされた信は、言葉を失います。

漂は何も知らずに利用されて死んだわけではありません。

自分の意思で危険を受け入れ、夢につながる道として王宮へ進んでいたのです。

 

漂の死を、信が簡単に受け入れられるはずはありません。

それでも、漂がどんな思いで王宮へ向かったのかを知ったことで、信の中にあった怒りは少しずつ変わっていきます。

そんな信に対し、政は二つの道を示します。

このまま里へ戻り、これまでと同じように下僕として生きる道。

もう一つは、王座を追われた政を助け、命の危険が待つ戦いへ進む道。

 

天下の大将軍になる。

信と漂が抱いていた夢に近づけるのは、どちらなのか。

今度は、残された信自身が道を選ぶことになります。

 

キングダム第6話では、漂がなぜ政の影武者になることを受け入れたのか、その理由が明らかになりました。

漂はただ政の身代わりとして利用されたのではありません。

信との夢をかなえるため、自分の意思で危険な道へ踏み込んでいたのです。

その決意を知ったことで、信にとって「天下の大将軍」という夢も、これまでとは違う意味を持ち始めます。

 

【感想】

 

今回で、漂って本当にすごい子だったんだなって改めて思いました。

最初は、ただ王宮の争いに巻き込まれて亡くなったのかと思っていたんです。

でも、ちゃんと危険だって分かったうえで、自分の夢のためにその道を選んでいたんですよね。

そこが分かった瞬間、余計に切なくなりました。

それと同時に、漂の覚悟の強さにもグッときました。

政の言い方はちょっと冷たく感じます。

でも、漂をただ「かわいそうな犠牲者」として見るんじゃなくて、本人が自分で決めたこととして認めているようにも感じました。

信もここで初めて、漂のためだけじゃなく、自分自身の夢のために前へ進もうとしている感じがします。

ここから一気に物語が動き始めたように感じて、すごく印象に残った回でした。