一、三、六大秘法に対する私の解釈 5

 

三大秘法 1

 

文上略解の三大秘法  

 

 

「寿量品の自我偈に云く『一心に仏を見たてまつらんと欲して自ら身命を惜しまず』云云、日蓮が己心の仏界を此の文に依つて顕はすなり、其の故は寿量品の事の一念三千の三大秘法を成就せる事・此の経文なり」(義浄房御書 全892頁・新1197頁)文永10(1273)年5月 51歳御作

 

現代語訳:如来寿量品第十六の自我偈に「一心に仏を拝見しようとして、自ら身命を惜しまない」とあります。日蓮の己心の仏の境界を、この文によって顕しているのです。その理由は、寿量品に説かれている事の一念三千である三大秘法を成就していると、この経文にあるからです。

 

 

「問うて云く如来滅後二千余年・竜樹・天親・天台・伝教の残したまえる所の秘法は何物ぞや、答えて云く本門の本尊と戒壇と題目の五字となり問うて曰く正像等に何ぞ弘通せざるや、答えて曰く正像に之を弘通せば小乗・権大乗・迹門の法門・一時に滅尽す可きなり、問うて曰く仏法を滅尽するの法何ぞ之を弘通せんや、答えて曰く末法に於ては大小・権実・顕密共に教のみ有つて得道無し一閻浮提皆謗法と為り畢んぬ、逆縁の為には但妙法蓮華経の五字に限る、例せば不軽品の如し我が門弟は順縁なり日本国は逆縁なり」(法華取要抄 全336頁・新156頁)文永11(1274)年5月 53歳御作

 

現代語訳:問うて言います。釈尊滅後二千余年間竜樹・天親・天台・伝教が末だ説いていない秘法とは何でしょうか。答えて言います。本門の本尊と戒壇と題目の五字とです。

問うて言います。正法・像法時代に何故弘通しなかったのでしょうか。答えて言います。正法・像法時代にこれを弘通していれば、小乗教・権大乗教・迹門の法門が一時に滅尽するからです。

問うて言います。仏法を滅尽してしまう法を、なぜ弘通しようとするのでしょうか。答えて言います。末法においては、大乗教も小乗教も、権教も実教も、顕教も密教も、共に教だけがあって得道(仏道を会得すること、得脱・得度と同意)がなく、一閻浮提の人々が皆、謗法となってしまっているからです。逆縁の者のためには、ただ妙法蓮華経の五字に限るのであり、例えば不軽品に説かれている通りです。我が門弟は順縁の者ですが、日本国の人々は逆縁なのです。

 

 

「問うて云く天台伝教の弘通し給わざる正法ありや、答えて云く有り求めて云く何物ぞや、答えて云く三あり、末法のために仏留め置き給う迦葉・阿難等・馬鳴・竜樹等・天台・伝教等の弘通せさせ給はざる正法なり、求めて云く其の形貌如何、答えて云く一には日本・乃至一閻浮提・一同に本門の教主釈尊を本尊とすべし、所謂宝塔の内の釈迦多宝・外の諸仏・並に上行等の四菩薩脇士となるべし、二には本門の戒壇、三には日本・乃至漢土・月氏・一閻浮提に人ごとに有智無智をきらはず一同に他事をすてて南無妙法蓮華経と唱うべし」(報恩抄 全328頁・新260-1頁)建治2(1276)年7月 54歳御作

 

現代語訳:問うて言います。しからば天台大師や伝教大師の、いまだ弘通していない正法があるのでしょうか。答えて言います。あります。

求めて言います。それは、いかなるものでしょうか。答えて言います。それは、三つあります。末法の世の為に、仏が留め置かれたものです。これは迦葉や阿難等、馬鳴や竜樹等、天台や伝教等の弘通されなかった正法なのです。

求めて言います。その形貌はいかなるものなのでしょうか。答えて言います。一つには日本乃至、一閻浮提の人々が一同に本門の教主釈尊を本尊とすべきです。いわゆる、宝塔の内の釈迦多宝、その外の諸仏、ならびに上行等の四菩薩は脇士となるべきです。二つには本門の戒壇です。三つには本門の題目です。日本乃至中国・インド・全世界において、人ごとに有智無智に関係なく、一同に、他事を捨てて南無妙法蓮華経と唱えていきなさい。

 

 

「去る文応年中・師匠日蓮聖人・仏法の廃れたるを見・未来の災を鑒み諸経の文を勘え一巻の書を造る立正安国論と号す、異国の来難果して以て符合し畢んぬ未萠を知るを聖と謂つ可きか、大覚世尊・霊山・虚空・二処・三会・二門・八年の間・三重の秘法を説き窮むと雖も仏滅後二千二百二十余年の間・月氏の迦葉・阿難・竜樹・天親等の大論師・漢土の天台・妙楽・日本の伝教大師等・内には之を知ると雖も外に之を伝えず第三の秘法今に残す所なり、是偏に末法闘諍の始・他国来難の刻・一閻浮提の中の大合戦起らんの時・国主此の法を用いて兵乱に勝つ可きの秘術なり、経文赫赫たり所説明明たり」(四十九院申状 全849頁・新879頁)弘安元(1278)年3月 57歳御作

 

現代語訳:去る文応元年に、師匠である日蓮聖人は仏法の廃れているのを眼前にして、未来の災難を見通し、諸経の文を調べて、一巻の書を造り立正安国論と名付けたのです。他国から攻め来る難が起き、予言された事とぴったり合ったのです。未来の出来事を知る人を聖人というべきでしょう。大覚世尊は霊鷲山・虚空の二処で三度の法会で、法華経迹門と本門にわたり、八年間の法華経の説法を通して、三重の秘法を説き極められたのです。しかしながら、釈尊の滅後二千二百二十余年の間、インドの迦葉・阿難・竜樹・天親等の大論師、中国の天台大師・妙楽大師、日本の伝教大師等は、内心ではこの秘法を知っていましたが、外に向かっては伝えず、第三の秘法を末法のために残されたのです。これは、ひとえに末法の闘諍堅固の時代の始めに、他国が襲来する難がある時、全世界の中で大合戦が起こった時に、国主がこの第三の秘法を用いれば、兵乱に勝つことのできる秘術なのです。この事は経文で明らかであり、その説く法は明白なのです。

 

 

大石寺歴代僧侶の語録

 

三大秘法の中の本門の妙法蓮華経(中略)首題の五字は一部の名字なり」(大石寺開山 日興 記?『上行所伝三大秘法口訣』富要集1巻45頁)著作年不明

 

 

秘法三あり所謂法華本門の本尊と戒壇と妙法蓮華経の五字となり、之れを信敬せらるれば天下の安全を致し国中の逆徒を鎮めん(中略)法華本門の正法を立てらるれば人も栄え国も栄えん(中略) 日目先師の地望を遂げんがために後日の天奉に達せしむ」(大石寺第三世 日目 記、『第六国諌 日目の国諌申状』富要集8巻337頁)元弘3(1333)年11月 祖滅51年

 

 

「此の三の大事は日蓮が申したるにはあらず、只偏へに釈迦如来の御神い我が身に入りかわらせ給ひけるこそ、わが身ながらも悦ひ身にあまれり、法華経の一念三千と申す大事の法門はこれなり」(大石寺第四世 日道 記『三師御伝土代』富要集5巻7頁)元徳4(1332)年正月 祖滅50年

 

 

「末法の今上行菩薩出世して法華会上の砌虚空会の時、教主釈尊より親り多宝塔中の付嘱を承け、法華本門の肝要妙法蓮華経の五字並びに本門の大曼荼羅と戒壇とを今の時弘むべき時尅なり、所謂日蓮聖人是れなり」(大石寺第五世 日行 記、『第六国諌 日行の諌状』富要集8巻340-1頁)暦応5(1342)年3月 祖滅60年

 

 

◎    結論として、

 

『本門の本尊』は「一大秘法の『妙法蓮華経の五字』を具体化」

『本門の戒壇』は「本門の本尊を安置し仏道修行の場」

『本門の題目』は「『妙法蓮華経の五字』に『南無(帰命)』を加え『南無妙法蓮華経』と唱える」

 

と、『一大秘法・妙法蓮華経の五字』の具体化が三法門(三大秘法)であり、妙法蓮華経の五字である一大秘法がその根本なのですが、そこから、創価学会では、

 

本門の本尊とは、日蓮大聖人御図顕(及び御書写)の御本尊であり、

本門の戒壇とは、本門の本尊を安置し奉って信心修行に励む場所を言い、

本門の題目とは、本門の本尊を信じて南無妙法蓮華経と唱え修行する事である。 

 

と、誰もが理解できる様に、平易かつ厳粛な表現にされたのです。

 

 

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