日蓮大聖人の御生活の状況 後

 

 

今回も、日蓮大聖人が御弟子達に送られた御消息文より、鎌倉での大聖人の御生活状況を考察してみましょう。

 


 「五尺のゆき(雪)ふりて本よりも・かよわぬ山道ふさがり・といくる人もなし、衣もうすくて・かんふせぎがたし・食たへて命すでに・をはりなんとす、かか るきざみに・いのちさまたげの御とぶらひ・かつはよろこび・かつはなけかし、一度にをもひ切つて・うへしなんと・あんじ切つて候いつるに・わづかの・とも しびに・あぶらを入そへられたるがごとし、あわれあわれたうとく・めでたき御心かな、釈迦仏・法華経定めて御計らい給はんか」(上野殿御返事1562頁  弘安21227日 楠板本尊御図顕の2ヶ月後)
【通解】(冬には)五尺(約1.5㍍)も雪が降り積もり、元々人も通わない山道が塞がり、訪ねて来る人もいません。 衣服も薄くて寒さを防ぐ事もできません。 食物も絶えて命も既に尽きようとしている時に、生命(死)を妨げるご訪問で、喜んだり歎かわしく思ったりもします。 (食べる物も着る物もなく)いっそ、一度に思い切って飢え死にしようと覚悟を決めていた時に、(白米をお送り頂いた事は)消えかけた灯に油を注がれた様なものです。 なんと尊く有難い御志であろうか。 釈迦仏の法華経で決められた御計らいだったのでしょうか。

 

 

所感

 大聖人は少欲知足を旨とし、貧しいながらも質実剛健の生活だった事が窺われます。
こんな状況下で、一見豪華にも見える「本門戒壇の大御本尊と称する楠板本尊」を御建立するお気持ちになられていたでしょうか。
また、「楠板本尊」の漆塗りや、金ピカに仕上げるべく金箔加工は、簡単に素人にできるでしょうか。
金箔加工をするには、金属の金が必要になりますが、鎌倉時代当時の日蓮一門には、金を入手すべく財力も権力もなかったのではないでしょうか。
・・米一合もなく餓死するかもしれない。 僧達も養えず、里に送り返した。・・
諸御書の中で、身延山中の極貧の凄惨な生活を訴える日蓮大聖人が、どうして超高価な金を入手することができるでしょうか?
日蓮一門の信徒が、身延山中の大聖人に砂金等も含めて金を供養したという御書や記録は全く残っていません。
更に、楠板本尊御建立のこれらの作業を完璧に行うには、最低1ヶ月以上かかるだろうと思われます。
これ程の大作業を、5老僧を含む御一門が全く知らなかったという事が有り得ますでしょうか。




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