タイトルには若干の語弊が含まれるが、厳密に言うと我が家のベッドはセミシングルベッドがふたつである。

最初この提案を妻の口から受けたときには、セミシングルベッドなんてあるの?と驚き、セミダブルの間違いでは?と確認した。
そもそもで言えば私は布団派だ。実家から独り暮しに移っても、布団に拘った。
ただそんな私でもベッドで寝たことはある。シングルベッドだったらおよそのサイズも分かる。
正直、180cm、80kgの巨漢とも言える体格の私には、シングルでも少し狭いのである。
「いやー」と多少の反対の意志は表明した。が、結局のところ我が家では「妻の命令は~~、ぜったい!!」なのである。

このセミシングルベッド制が導入されたときから嫌な予感はしていた。
いや正確にいうと、それは導入される前、提案時点からその予感はあった・・・


そもそも妻は女性の中で見ても小柄で細身なほうだが、180cm、80kgの巨漢とも言える体格である私と、個々のベッドが同じサイズで、それぞれのベッド領域が確定されてしまうのが懸念材料だった。
ダブル、クイーン、キングであれば若干曖昧になろう境界線が、2つのベッドをくっつけるという手段を用いることで、その境界線は朝鮮半島における軍事境界線より明確にされてしまうのだ。

セミシングルベッド制からおよそ2年が経過した・・・

私はまだこの境界線を跨いだことがない・・・

いや、正確にいうと一度だけある。
あれはうっかり足をはみ出してしまったときだった。

腹部に強烈な蹴りが飛んできた・・・・
SEの夜は長い。この職業についている大半のサラリーマンは、きっとこの問題に悩まされているだろう。
繁忙期は最終電車、泊り込みは当たり前、繁忙期でなくても、勤務時間・通勤時間は通常のサラリーマンより長いことが見込まれる。
さらに大抵の職場では、普通のサラリーマンより始業時間が若干遅めだろうと思われる。

そしていま、私の職場は繁忙期にある。


金曜日、朝から23時まで会議室にこもりっきり、軟禁かと思われる一日を過ごした。
23時に会議室から開放され、最終電車まではおよそ30分。
今日は無理か・・・、最終電車を諦めかけた、そのとき。
「タクシーチケットゲットしましたー!」
一緒に会議室の軟禁生活を過ごした上司が、さらに上司からタクシーチケットを入手した。
同時に私も帰宅方法を確保し、最終電車に追われず、自宅に戻ることができる。

日付を超えて、2時。

「そろそろ帰りますか」
タクシーチケットを入手した上司に誘われ、帰路に就く。

3時。自宅に到着。妻、および娘はもちろん眠っているため、玄関の扉を開けるより前から、物音を立てないように細心の注意を払う。足音に気をつけながら、つかの間の休息、そして入浴を済ませる。
4時。妻を起こしてしまう一番のリスクを抱える瞬間。それはベッドへの進入。
寝室のドアからベッドまでの距離、およそ2m強。
「ミシミシ・・・ミシミシ・・・」
洋室であることを恨む。
時が止まったかのようなスローモーションで、1歩、2歩・・・なるべく大股で歩を進める・・・
3歩・・・、そして身体をゆっくり横に向けながら、ベッドに身体を預ける。
次はベッドとの戦い。
掛け布団をゆっくりとあげ、自らにかける。携帯を充電器にセットし、命の次の次くらいに大事なメガネを外す・・・

セーフ・・・

今宵、時間が時間だけに、妻は起きなかった。

ほっと吐息を漏らし、一日の疲れから安らかな眠りに入る。
就寝時間、午前4時30分・・・
このとき私はまだ知らなかった。およそ30分後、自分が叩き起こされることになるとは・・・


5時。背中を激しく叩かれ、目を覚ます。
目の前には妻が必死の形相で騒いでいる。

「大変!!大変!!!」

声は寝起きのものとは思えなかった。私の背中を叩く力も冗談ではない。
「い、イタイ・・・」
と、思いながらも、そうつぶやくことも許さないような真剣さを、妻は窺がわせてる 。

「あっち!!あっちから!!」

と、ベッドの向こう側を懸命に指差す妻。
この必死さ、尋常でない。火事か?!と思い、指が指すほうに目を向けるが、火の手はない。
なんだ、火事でなければほかになにがある・・・こんな夜中の寝室で起こりえる事、お化けか?
そういえば妻はお化けも嫌いだ。もちろん私も嫌いだが・・・

私がいろんな思いに逡巡しているなか、妻は明確な答えを口にした。

「あのときの蜘蛛が!!!」

あのときの蜘蛛、それは私が見てもおぞましい巨大蜘蛛。
完全に始末した筈だったが、まさか生きていたのか?!いや、そんなはずはない。
では別の巨大蜘蛛か?さすがにこんな夜中に私もそいつは対面したくない。嫌気がさした。が・・・

「あ、いない。夢かも・・・」

・・・・
・・・・
・・・・

30分の就寝から目覚め、私があっけにとられていることを尻目に、妻は再び安らかな就寝についた。


またまた伊坂幸太郎。今度は死神の精度。

久しぶりに短編物を読んだ。

クールでちょっと天然な死神と、死を判定される6人の6つの物語。
私の感触的には5つと1つだが…


①ストーカーに追われる女
②任侠な男
③復讐する人
④片想い男
⑤逃亡中の男
⑥老女


短編物としては面白い方だと思うけど、なんか物足りない感が…

やっぱ短編物は自分には合わないのかも…


ただ、読み終えたところ、死神に金城武はぴったりな配役な気がする。
映画が気になるなぁ

あっ、『陽気なギャング』も見ねば…


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