Pockets Full of Good Intention -3ページ目

Milt Jackson / "Milt Jackson Quartet"

 

 

 

 

 

 

「ゴロワーズというたばこを吸ったことがあるかい」で

かまやつひろしが投げつけたのは

クールで野暮な閃光の矢だった

「何かに凝らなくてはだめだ」と

ファンクのグルーヴに載せた矢じりは

遠い2019年の心の臓をも一突きして

どこへ行く

 

 

 

 

 

 

 

宇宙の使命に従えば

世界はどんどんと膨らんでいき

そのうちに

僕たちは放り出されて

あちこちの引力に振り回される

ねじれ、突き飛ばされ、

ひきつけた、と思ったら

また遠い所へ引っ張られていく

 

 

 

 

 

 

3か月になる息子が

腹ばいになって

顔を上げて睨んだ

視線の先に

空虚が

光を放って飛んでいく

その様を見た

 

 

 

 

 

 

 

何を見ようか

空虚の光の先に

未来は

重さのない宇宙の

膨張に向かって進む

そのひと時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブルーズをひた走る

ミルトジャクソン

流麗に動くマレットと

今まさに空気を揺さぶらんばかりの

振動と振動

空虚裂く矢じりが

音になって飛んでいく

 

 

 

 

 

 

曲は"Moonray"

顔を上げたすべての人たちに

とことん突き刺さって

そのまま楔となってほしい

宇宙の果てまで飛んでいく

矢じりに向かって

そっと声をかけておく

 

 

 

 

 

 

Bill Evans / "The Paris Concert"

 

 

 

 

 

 

それそれとはやしたてられて

月がお尻を隠す

まだ白い歯は見せずに

注意深くあたりを睥睨し

今ここで合ってますかと

月も生きにくい世の中だ

今、風は身に重い

 

 

 

 

 

 

 

右、わたし

左、あなた

ステレオとモノラル

一輪車と二輪車

風はその間に吹く

括弧と括弧の隙間

言葉と言葉

そのはざま

 

 

 

 

 

 

 

びっしりと詰まったものは

くだらないもの

風も吹かない

重たいもの

吹けば飛ぶような

歌や音

旅は身軽で

世は重荷

 

 

 

 

 

 

 

ぴゅうと

口笛が鳴る

空気が抜けていく

そのさまを見る

風の通り道に

メロディのライダーが走る

小さなエンジンで

どこまでも走る

どこまでも

 

 

 

 

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口元すら綻ばない

笑みのないエヴァンス

生きにくさと

秘めたる歌心を携えて

季節を悶える

晩年のエヴァンス

 

 

 

 

美しさとは

瑞々しさ

その脱皮と頽廃

脱ぎたてのむき身に

ありのままの皺

ピアノに脱ぎ捨てた殻が

打ち捨てられていく

 

 

 

 

 

風が吹き抜けた

ひとつの

いのちと

いのちの間

 

 

 

 

The New Gary Burton Quartet / “Common Ground”

 

 

 

 

夏は

頼まれもしないのに

派手に音を立てて

やってきた

記憶も

風情も

何もかも飛び越えて

 

 

 

 

 

 

夏は居心地の悪い

独り言をまだ吐いている

夏は揺れている

風も

人も

景色も

 

 

 

 

 

 

一瞬の揺らぎを目にとめようと

西の空に目をやった僕

久しく遠い空を見ていない

眩むようだ

美しい、と思ったら

行ったきりの

心が帰ってくる

 

 

 

 

 

 

ただいま

別れも告げず

僕たちは歩いている

ただいま

言い訳もせず

僕たちは汗を流す

 

 

 

 

 

 

こんな日が

系図のように続いて

やがて

夏が行く

途切れた紙片に

火が付き

焦げていく

 

 

 

 

 

 

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ヴィヴラフォンの音

それは時空の揺らぎ

幾何学的な力だ

空間を捻じ曲げる

金属のマジック

そこに快感を感じたら

あなたはジャズの針穴に

糸を通したことになる









ジュリアン・ラージのギターを

初めて聞いた時

音楽の人間力に改めて

度肝を抜かれた

人間の肯定

包容とは

彼のギターのためにある








こんな素晴らしい音楽に

夜風がスウィングしている

気難しさはなく

そこには蒸し暑さと

未だ焼け落ちない

紙片だけが残っている