Paul Brady / "Welcome Here Kind Stranger" | Pockets Full of Good Intention

Paul Brady / "Welcome Here Kind Stranger"





今日から

またはじめます

自分の見たこと聞いたこと

残していくだけなんですが

誰が見ていなくても

よろしくお願いします







あっという間に半年以上

間が空いていたようで

僕はというと

家を出て

独人になった

素晴らしいことだと思った







人から離れたくなる

きっかけは人それぞれあるにせよ

酔ったように繰り返される煩わしさに

誰もが一度は嫌気がさすはずで

僕にもそのときが来た

たったそれだけのことなのだ

言葉にするのは

とても難しい感情なのだけれど







おはようもただいまもない世界に

首を突っ込んだ僕

宝物の音楽に囲まれて

相変わらず彩りの薄い仕事を続けて

平たい感動を壁に擦り付けて

若いということを妙に醒めてみたりして

それでもなんとか

世間に胡座をかいている

だからまた

よろしくお願いします





Welcome Here Kind Stranger/Paul Brady





あまりに私的なアルバムである

聞いた人全てがそう思っていたとしても

僕はなんら不思議ではない

誰もが心の中に共有できる

普遍的な存在感が

この作品には宿っているからだ

それこそがフォークではなかったか

いや、音楽ではなかったか






ポール・ブレイディの歌は

あらゆるものを飛び越えてやってきて

近くまでやってきたと思ったら

またものすごい力で突き放される

孤高という名の反発力

伝統音楽への接近はこれ以来

作品としては試みられていない







もちろん全ての曲がベストトラックなのだけど

一曲だけ選べと言われたら

"Lakes of Pontchartrain"を

とらないわけにはいかない

ジャクソンの街を出て

ポンシャントレインの湖へと旅をした男が

クレオールの女の子に恋をする

旅愁という言葉がぴったりとくる

秋風になびく音楽







今の自分を歌にしてみるなら

こんな曲の気分なのかもしれない

季節のせいではなく

そんな生活のせいなのだ

決して季節なんかのせいではない