「よく食べて、よく寝る」臼井麗香が線の細さ解消し単独首位
<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
JLPGAツアー2024シーズン第20戦『大東建託・いい部屋ネットレディス』(賞金総額1億2,000万円、優勝賞金2,160万円)大会第2日が7月19日、福岡県糸島市 ザ・クイーンズヒルゴルフクラブ(6,505ヤード/パー72)で行われた。この日は雷雲接近で午前10時50分、競技を中断。再開後、第2Rを消化した。前日にも増して、スコアが伸び、大混戦ムード。
63のトーナメントコースレコードをマークした、臼井麗香が通算14アンダーで首位に立った。1打差の通算13アンダーは地元Vを狙う三ヶ島かな、青木瀬令奈。4位タイは通算11アンダーで河本結、上野菜々子、川﨑春花がつけている。
(天候:曇り一時雨 気温:30.1℃ 風速:2.2m/s)
《グリーン=スティンプ:9フィート コンパクション:20.5mm》
JLPGAツアー2勝目を狙う臼井麗香が2度の3連続を含む9バーディー、ノーボギーで、トーナメントコースレコードの63をマーク。単独首位に浮上した。今大会開幕前の時点で、平均パット数(1ラウンド当たり28.0769)がツアー3位。この日もパッティングが冴え、インスタート最初の10番でバーディーを奪うと、14番から16番まで6メートル、30センチ、3メートルのバーディーパットを沈めていった。
頭を抱えたのは5番だ。わずか50センチのバーディーパットを外し、「結構切れるラインでした。短いから、それほど切れないだろうと思ったのが甘かった」と悔やむも後の祭り。「8メートルのイーグルパットもカップをかすめたほどだったのに。ショック過ぎて、(パーなのに)スコアにボギーと書きそうになりました」と明かしたほどだ。
しかし「その分も次のホールで必ずバーディーを取ろう」という思いが、続く6番からの3連続バーディーに結びついたのだから恐れ入る。ここでも6メートル、6メートル、3メートルのパットを決めた。さらにこの日は、同組の藤田さいきも66、三ヶ島かなも67と好調。臼井は「相乗効果で引っ張ってもらいました」と謙虚に語ったが、その3人の中でもピカイチのスコアをマークした。
2022年にシード権を失ったが、主催者推薦で出場した今年3月のアクサレディスで、雨天のため2日間に競技が短縮された中、自身初優勝を手にした。1998年度生まれの「黄金世代」で14人目の優勝者という遅咲きだった。
それでもツアー1勝の肩書を得たことは、様々な変化をもたらした。6月のアース・モンダミンカップで、数年前に知り合った男子プロ・片山晋呉に「優勝したご褒美に」キャディを務めてもらったこともその1つだ。
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ツアー31勝を誇る片山のアドバイスで「アプローチのバリエーションが増えました」とうなずく。「今までは頑固に転がすだけ。余程状況が悪くならない限り、ロブショットは打ちませんでした。いろいろなことをすると、ミスの種類が増えるのが嫌だったからです。でも、考え方が少し変わりました」とうなずく。「転がすだけの時は50センチショートするとイライラしていましたが、余裕を持てるようになりました」という副産物もあった。
線の細さも解消しつつある。なかなか40キロ台を抜け出すことができなかった体重を、今年の春先に51キロへ増量し、今もキープしているという。「たくさん食べて、たくさん寝る」のが秘訣。もともと「れいちぇる」のニックネームでファンに親しまれる人気ゴルファーだったが、25歳にして成長のあとを見せている。
残り2日間へ向けて「スコアの伸ばし合いで、誰にでもチャンスがある。みんな上手だから、確実に優勝を狙うというのは難しいです」と慎重に言葉を選んだが、今度こそ4日間を完走した上で、栄冠をつかみたいところだ。
以下、各選手のコメント
三ヶ島 かな<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
三ヶ島 かな(2位タイ:-13)
「後半の2番でボギーを叩いた後、気合を入れて4連続バーディー。同組の雰囲気がとてもよく、いい流れでプレーできた。感謝いたします。ただ、プレー内容を前日と比較すれば、1Wの精度がいまひとつかなぁ。うまくボールをつかまえられずに、コースで調整しながらの一日でした。
とはいえ、あすからも上位でプレーができる。地元でこんないい勝負ができるなんて、まるで夢のよう。楽しみます」
青木 瀬令奈<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
青木 瀬令奈(2位タイ:-13)
「スタートと、上がりホールは風がすごかった。もう爆風といってもいいぐらいです。それでも、最後の9番はとてもいいバーディーで締めくくることができました。上りのスライスラインで、距離が5メートル。右傾斜がとても強く、しっかりストロークをした。大事なパッティングが決まって、いい内容です。
この2日間、技術的なことより、とても落ち着いてプレーができている。確かにピンチは各日、1-2回あるけどリカバリーショットがうまくいきました。きょうの1番はグリーン奥の林へ行ってしまったけど、そこからチップイン。ショートゲーム、アプローチもいい感じです」
河本 結<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
河本 結(4位タイ:-11)
「青木(瀬令奈)さん、原(英莉花)さんと同組。みんなでスコアの伸ばしあいのムードでした。本当に楽しい雰囲気でいいプレーができました。ありがとうございます。
ポイントは12番。10番が2オン3パットでした。ちょっと、うわーっとなったけど、12番で内容がいいバーディーが決まって、流れをつくれたかなぁ。また、雨の影響でグリーンが柔らかく、ピンをデッドに狙っていける。できるだけ、たくさんバーディーをとらなければ上位では戦えないでしょう。
優勝スコアは25アンダーぐらいかもしれない。また、アプローチでもカップを狙える。セッティングがスコアを伸ばしてほしい-という感じですからね。100%の準備をしてあすに備えます」
川﨑 春花<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
川﨑 春花(4位タイ:-11)
「17番のイーグルは残り70ヤードの第3打を左ラフから58度で。打感が良く、本当に気持ちがいいショットでした。きょうの前半、蒸し暑さでちょっとバテ気味でしたけど、ハーフターンでクラブハウスへ入って生き返ったような気が・・・。
あすの目標は、猛暑に負けないことにします」
上野 菜々子<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
上野 菜々子(4位タイ:-11)
「きょうは、暑すぎていい意味で力まず、脱力して打てたのがいい結果につながりました。風も比較的吹いていたので助かりましたね。14番でイーグルが獲れたし、ボギー先行からの64。自己ベストも更新できたし、23歳最後の日はメッチャいい日でした。あすも自分らしく、きょうみたいに脱力、リラックスしてプレーしたい。4日間完走することが、目標の1つでもあるので、そこを意識して欲張らずに頑張りたいです」
山下 美夢有<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
山下 美夢有(7位タイ:-10)
「5番は1Wでワンオン。14メートルのイーグルパットが決まった。こういうホールがあると、プレーをしていて、本当に楽しい。おかげさまで、ショットの精度が良くなっている。ただ、まだ50パーセントぐらいの状態です。
きょうは、チャンスをつくってもバーディーパットが決まらない。あす、あさっては63ぐらいのスコアを目指します。パッティングの調子さえ良くなれば、不可能ではないと思います」
藤田 さいき<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
藤田 さいき(7位タイ:-10)
「同組の三ヶ島(かな)さん、臼井(麗香)さん、すごいプレーでした。この2日間、おふたりのプレーに刺激を受け、私までイメージがよくなった。決勝ラウンドも、ついていけるように、がテーマです。チーム戦だったらよかったのに・・・。
ただ、湿度が高く、体調がいまひとつでした。暑いのも、寒いのも苦手ですからね。体調をしっかり整えて完走を目指します」
ベイブ・リュウ<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
ベイブ・リュウ(10位タイ:-9)
「18番のバーディーパットは4メートルくらい。ショットもよかったですし、パッティングの距離感も合っていた。日本のグリーンはボールの転がりがよく、いいイメージで打てました。ボギーはもったいなかったですが、いいスコアで回ることができてうれしい。暑かったけれど、一打に集中していたので、それほど気にならなかったです。
今週の目標は毎日4アンダー。あすも自身のプラン通りにプレーしたいです」
佐久間 朱莉<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
佐久間 朱莉(17位タイ:-8)
「ボギーなしのプレーができたことは良かったです。でも、バーディーが少なかった。厳しい暑さでしたが、ラウンド中に好物のシャインマスカットを食べて、リフレッシュできました。
あすからはバーディーパットにつけることが大事。一日一日を大切に頑張ります」
小祝 さくら<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
小祝 さくら(21位タイ:-7)
「5番のイーグルは、1Wでちょっと抑え気味に打って、ラインもよく、あとちょっとだったなって感じでした。ピンの方向に飛んでいったので、完ぺきな球が打てました。PWより真っ直ぐいったかも。みんなバーディーやイーグルが出るので、見ている人はおもしろいホールだと思います」
渡邉 彩香<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
渡邉 彩香(41位タイ:-5)
「まず、ホステスプロとして予選通過ができてホッとしています。最後のバーディーは素晴らしかった。後半は暑さとカットラインのプレッシャーで大変な9ホールでしたが、2つのバーディー。自分を褒めてあげたい。日に日にスコアは伸びてきています。あすはビッグスコアを狙って、アグレッシブなプレーをします」
後藤 未有<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
後藤 未有(41位タイ:-5)
「パッティングを狙ったところに打てず悔しかったですが、ショットは悪くなかった。カットラインを気にしていた中での17番。絶対にバーディーが欲しかったところで決まったのは嬉しかった。
あすからはカットラインを気にせず、1つでも上を目指すだけ。攻めて攻めるゴルフをしたい」