20メートルをカップイン 櫻井心那-急浮上

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 JLPGAツアー2024シーズン第19戦『ミネベアミツミ レディス 北海道新聞カップ』(賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円)が7月4日、北海道札幌市・真駒内カントリークラブ 空沼コース(6,667ヤード/パー72)で開幕。絶好のコンディションが整い、大混戦となった。通算7アンダーで首位に立ったのは櫻井心那、吉本ひかる。1打差の6アンダー、3位に堀琴音がつけ、通算5アンダー、5位タイから菅楓華、鈴木愛、リハナ、ディフェンディングチャンピオンの小祝さくらが追う。
(天候:晴れ 気温:25.0℃ 風速:4.4m/s)
《グリーン=スティンプ:11 1/2フィート コンパクション:23.5mm》

 

 「まだまだです」といいながら、櫻井心那は思わず笑みがこぼれた。今季ベストの65をマーク。4月第1週の富士フイルム・スタジオアリス女子オープン第2日以来という60台のスコアは上昇を示す、確かな手応えを得た。

 

 「きょうは、パッティングがとにかく良かったです」が復調の原動力に。約3年ぶりというパター変更が運気を呼び込む。「私は(パターを)替えない人。北海道だから、これも持っていくか、という軽いノリでバッグへ入れました。ちょっとした閃きのようなものです。目にとまったのは削り出しのヘッドだからかなぁ。すごくかっこうよかったから・・・。前週の最終日は32パットです。距離感がさっぱり合わない。気分転換に使ってみよう、と考えた」そうだ。


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 さらに、「北海道が好き。自然がたくさんあるし、空気がとてもおいしい。また、空がすごく広く感じることができるから」。雄大なロケーションも好スコアをアシストする大きな要因となった。

 

 ハイライトは12番のスーパーバーディーだろう。1Wの第1打が右へ行き、第3打の8Iも精度を欠いた。20メートルのバーディートライ。フックラインで2メートルは切れる-という読みがズバリ的中する。鮮やかな弧を描いて、カップへ見事に吸い込まれた。

 

 続く13番もピン手前から連続バーディーを決める。さらに15番=3メートル、17番は左のグリーンエッジから5メートルを。後半も勢いが止まらない。3、4番の連続バーディーの後は、5番でピン手前から8メートルをカップインさせた。まさに、カップが呼んでいる-といってもいい数々のパッティングだ。

 

 一方、今大会がシーズンの折り返し。不本意だった前半戦を、「去年、実力がないにもかかわらず、勢いで優勝。見直してみると終盤、スイングがいまひとつでした。オフも、それに気がつかず、今年の開幕を迎えたことがいけない」と、自身を叱咤。「トップがクロスに入って、右わきがあいてしまうクセがある」が、原因だ。ほんの少しのことでも、取り返しがつかない。ゴルフの繊細さ、怖さを改めてかみしめている。


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 さらには、負のスパイラルから脱出を図ろうと、予選落ちに終わった全米女子オープンでは、現地でフェードボールからドローボールへの変更に着手した。「アマチュアの時は、ドローです。とはいえ、5年ぶりぐらい。もう、どうしようもない状態でした。特に1Wのストレス軽減を解消するには、この手しかなかった」と振り返る。帰国後、ドローヒッターに合う、シャフト変更など、クラブの調整なども並行して行った。

 

 「ここ3週間ぐらいで、すべてがかたまってきた感じがする」と前置きし、「結果が出ていなくても、ムダだと思う試合など1試合もありません。それどころか、トラブルショットが上達するなど、これまで取り組んでいなかったことができている。悩んで、悩んでたくさん失敗を重ねて、今日があります。球筋はストレートドローのような感じ。将来は、試合でどちらでも打ち分けられるようにします」と、高い目標を掲げている。

 

 続けて、「60台のスコアを出せば、次は変わる、と思った。あすからが勝負です」。気持ちよさそうに深呼吸をしていた。

 

以下、各選手のコメント

吉本 ひかる<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

吉本 ひかる(1位タイ:-7)
 「全体を通してパッティングが2-3メートルぐらいにつき、タッチとラインがすごく合っていた。前週にコーチの勧めもあり、パターをピン型からツノ型へ変えました。試合で使うのは初めてですが、イメージが変わっていい感じです。北海道はすごく好きで、スープカレーとお寿司は絶対に食べます。
 あすからはやることをしっかりとやって結果がついてくれば-」


堀 琴音<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

堀 琴音(3位:-6)
 「前週はフォロー、アゲインストの読みをミスしてしまうことがあったので、今週はそれをなくしたいという気持ちでプレーしました。私は方角を信じるタイプですが、その場の風を読もうかなと。長尺パターでのパッティングはカップを見て打つと多少強く入ってしまうので、打つ瞬間はぼんやりとカップを見る程度。上り下りを今まで以上にしっかり見ています。
 前週は悔しかったですが、調子は悪くない。この感じをキープしながらプレーできたら-」


菅 楓華<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

菅 楓華(4位タイ:-5)
 「洋芝に抵抗はあまりなく、懐かしく感じました。通っていたアカデミー、フェニックスCC(宮崎県)がともに洋芝なので、久しぶりに回った感じです。最近、パッティングは強気でショートしないように意識している。そのおかげでバーディーも獲れています。
 今週の目標は、4日間アンダーパーで回ること。あすは午後スタートで、きょうとは違う時間帯のスタートになりますが、しっかりパー5でバーディーを獲りたいです」


鈴木 愛<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

鈴木 愛(4位タイ:-5)
 「アップダウンがあるコースは好きです。ここはかなりありますし、好きそうなコースだよ、と言われていたので、楽しみに来ました。ティーショットがブラインドになるホールが多くて、本当に落ち際が見えない。特徴的な狙い目もないんですよね。狙い目を決めづらいのもありますが、キャディーさんと確認しながらプレーしているので、だいぶコースは覚えられたし、狙い目も決められるようになってきています」


リ ハナ<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

リ ハナ(4位タイ:-5)
 「5月のブリヂストンレディスから、ショットの精度がジワリジワリと良くなってきた。その中で今回は最高の調子だと思います。パーオン率がすごくいいから。きょう一番のプレーは、2番の第3打です。グリーン奥から58度で12メートルをチップイン。気持ち良かった」

小祝 さくら<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

小祝 さくら(4位タイ:-5)
 「出だし2ホールボギーでしたが、巻き返すチャンスはいくらでもあるという気持ちで、前向きにプレーできました。一番良かったのは15 番。セカンド地点から残り95ヤードを 50度で打ちました。つま先あがりで微妙なところからでしたが、うまく打つことができました。
 平日にも関わらず、知っている方や地元の方が来てくださり嬉しかったです。あすはきょうの流れをしっかり続けられるように頑張ります」


林 菜乃子<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

林 菜乃子(8位タイ:-4)
 「今週からパターを久しぶりに変えました。転がりや出玉が合っていたので、そこが良かった。ショットは飛ばない計算で打つなど、自分なりに整理しながらプレーできたことがスコアに繋がりました。
 (藤田寛之の全米シニアOP)カッコよかったです。世界の大舞台で普段と変わらずプレーされていることがすごかった。目の前の一打に集中することが大事だと思いました。私もこんなふうにと思ったことが、きょうのプレーに生かせたと思います。
 あすからは目の前の一打にどれだけ集中できるかが鍵になるでしょう」


川﨑 春花<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

川﨑 春花(8位タイ:-4)
 「ショットの調子はそれほどいい、というほどではなかったけど、きょうはパーオンが16回。バーディーパットを打つことがとても楽しかった。ニチレイレディスからクロスハンドグリップへ変更。狙ったところへストロークできるところがいい。
 4バーディーは3メートルが3ホール、1.5メートルが1ホールです。グリーンの読みとタッチが合っていた。これが私のスタイル。試合を重ねるたびに、そんな感じがしてきました。また、ノーボギーラウンドだったことも自信につながります」


菊地 絵理香<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

菊地 絵理香(8位タイ:-4)
 「全体的にショットの感触も良かったですし、パッティングも久々によく決まりました。早めにバーディーが欲しいと思っていたので 2 番でとれたのは相当大きかった。それだけに後半決められず悔しいです。北海道の皆さんに応援していただけるのはすごく嬉しいですね。きょうは小祝さんと政田さんと一緒にプレーさせていただいて、ギャラリーも多く楽しめました。
 ここまで良いときと悪いときの差が激しいというのが現状。今週はそれが掴めたらと思います。所属先の大切な試合でもあるので、あすからも気を引き締めて頑張ります」

髙木 優奈<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

髙木 優奈(15位タイ:-3)
 「笠(りつ子)さん、佐藤(心結)さん、お二人ともプレーのリズムがすごくいい。同伴競技者に恵まれた、というのが一番の感想です。今大会の開幕前、アドレスで体重がつま先側にならないように、ハーフショットでしっかり修正。さらに、1Wのシャフトを0.5インチ短くしたおかげで、気持ち良くクラブを振ることができた。 ノーボギーラウンドは確か、5月以来かなぁ。シーズン前半戦でちょっと足踏みをしてしまったけど、今回からですよ」


岩井 千怜<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

岩井 千怜(15位タイ:-3)
 「きょうは久々にパッティングが良かった。ラインをしっかり読んで、そのポイントへ打ち出せていたと思います。米国遠征の直前から、パッティングで何かしっくりこない感じがあって、ずっと考えていました。ただ、前週に調子が良かった頃の動画をみて、これだという発見が・・・。ルーティンのタイミングがずれていた。
 打つ前に素振りを2回。カップを見て、すぐにストロークをする。ただ、違和感があった時はリズムや、何度かカップを見てからなど、ほんの少しのことが違っていました。それを修正すると、フィーリングがすごく良くなったというわけです。
 あすは誕生日・・・。もう、22歳か-そんな気持ちでいる。ただ、心は22歳ではなく、15歳ぐらいかもしれない。改めて誕生日を祝うことは、これまでになかったです。あすからは、たくさんバーディーをとる。そして、たとえミスをしても、笑顔で楽しそうにプレーすることを目標にします」


河本 結<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

河本 結(15位タイ:-3)
 「きょうはスタートが肝心。しっかり言い聞かせて臨みました。この3試合、出遅れていますからね。きょう一日しかない-そんな感じです。おかげさまで、アンダーパーでホールアウト。最後は3パットで、ちょっと残念だったけど・・・。
 振り返れば、24時間ゴルフへ費やすことを目指し、腹をくくったのは去年の今大会でした。一年はとてもはやいと感じます。北海道は涼しくて最高。残り3日間はノースリーブを着用してプレーしよう。そう考えています」


政田 夢乃<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

政田 夢乃(28位タイ:-2)
 「きょうはショットがあまり調子よくなかったんですが、それなりにはスコアをまとめられたかなぁという感じです。全体的に距離が長いので、パー5でしっかりバーディーを獲ろうと決めて、獲れたのが良かった。スコアだけで言ったら80点。60台で回りたかったという気持ちはあります。
 少しショットの調子が良くありません。しっかりまとめたい。パッティングの調子はすごく良いと思っているので、(明日は)60台で回れるように頑張りたいです」


宮澤 美咲<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

宮澤 美咲(57位タイ:0)
 「最終ホール、バーディーチャンスでしたけど、3パット・・・。すごく残念です。ただ、16番では6メートルのいいバーディーが決まっているし、あすもパッティングしだいだなぁと思います。
 そうはいっても、地元でしかも思い出のコース。何としても、ギャラリーの皆さんの前でいいプレーを披露したい。きょうは、ちょっと1Wの精度を欠いていた。しっかり修正して第2日へ臨みます」